普通じゃない日常
どうも、久しぶりです。蒼榛です。
すみません、最近いろいろ忙しくて投稿ができてませんでした。(言い訳)
今回は、起承転結の転にあたるところ…ですかね。
そこらへん詳しくないのでよくわかりませんが…(笑)
では、気軽に読んでいってください。
-次の日-
午前中の授業も終わり、俺はいつも通り清水と大宮と共に屋上に向かう。
昼飯を食べながら、他愛もない話をしているとふいに大宮が
「そういえば、ちゃんと悪霊退治やってるか?」
と俺に向かって切り出してきた。
「ふぇ?あ、うん。やってるよ、ちゃんと。」
そうやって片言に返事をすると、
「嘘ね。」
毎度のごとく後ろから、声が聞こえてきた。
「なんだ、木林。何かようか?」
振り返って俺はとりあえずそう質問する。
「用も何も、一緒に昼食食べに来たのよ。…監視のためにね!」
なぜかドヤ顔でそう言った。
「いやいや、監視は今まったくもって関係ないだろ」
思わずツッコんでしまう。
そして、木林はそれがさも当たり前のように俺の右側に座る。ちなみに俺の左には清水、そのさらに左には大宮がいる。
「…監視とは?それと、悪霊退治にしているのはなぜ嘘といえる?」
大宮が、ほんとに不思議そうな顔をしてそう質問した。
内心めんどくさいことになったと思いながら口を開こうとしたが、その前に木林が先に答えた。
「えーとね、実はおとといまではこいつ悪霊退治サボってたのよ。」
「いや、サボってない。」
言い終わるか終わらないかの時に即否定ををしてみるが、
「いやいや、私にそういったじゃない。」
と言われたので、
「いやいやいや、そんなことを言った覚えはない。」
とさらに否定したのだが、
「言ったようなもんじゃない。それに、毎晩日野本君に会いた…じゃなくて、少し教えてもらいたいことがあって、探したけど見当たらなかったもの。」
「うっ…。」
これ以上抵抗しても話は平行線だ。しょうがない、諦めよう。ちょっと言いかけたことが気になったがまあいい。
「はい、サボってましたよ。そうでいいですよ、はい。」
「うん、素直でよろしい。で、監視についてなんだけど、今後今までのように日野本君がさぼらないように、私が毎晩一緒に行動して監視していこうと思うの。」
「なるほど、確かにそれはいい心がけだ。」
とあっさりと了承を得てしまう。まあ、大宮がこれを否定するメリットはないから当たり前といえば当たり前なのだが。
「しかし唐突だな。その行動を駆り立てる何かがあるのか?」
と大宮が切り出すと突然清水が
「まあ、それに関してはここで追及することでもないだろう。では、これからも監視に精進するように!」
といって、手を叩いて無理やり話を締めた。
「…て、おい!お前ら少しは否定してくれよ!」
そのツッコミは、むなしく空を切った。
-その夜-
あの後、木林に言われた時間に、ちゃんと来てみると木林の姿は見当たらなかった。
(あいつ…自分で言っときながら、遅刻かよ…)
腕組みをしながら、右の足の甲を軽く地面から離したり付けたりしながら、木林が来るのを待つ。
(…遅い…)
二十分ほど経ったが、来る様子がまったくない。
(…帰るか…)
そう、思い始めた時、
上から、猛スピードで目の前に何かが下りてきた。
「ごめん!遅くなった!!」
「うぉ!?あ、木林か。」
少し息を切らしている。相当飛ばしてきたんだろう。
「遅かったじゃねーか。何してたんだよ。」
「いや、ちょっと…家庭の都合でね…」
そういう木林の横顔は、どこか寂し気だった。
「…もしかして、夜中に抜け出していることが、ばれたとか?」
「ううん、それは、大丈夫。そこらへんはちゃんとしてるから。」
木林は少しうつむきながらそう答えたが、やはり何かあったとしか思えない。
「じゃあ、何があったってんだ??」
「う~ん…」
少し考え込んだ後、木林は唐突に手を二度叩いた。
「はい、この話はおしまい!そんなことより悪霊退治よ!さっさと終わらせて、さっさと帰りましょ!」
「え?って、ちょっと待てって!」
そういって、無理やり話を中断させて木林は強く地面を蹴った。どうやらこれについてはあまりこれ以上追及しないほうがよさそうだ。しかし、その無理やり作った笑顔はとても痛々しかった。
「さて、ここで提案なんだが、」
悪霊を一体退治した後だった。俺は例の特訓をするために、とうとう切り出した。
「…何よ?もしかして、もう帰ろうとか言い出すんじゃないでしょうね??」
「違う、違う!…ちょっとこれを見てくれ。」
そういうと、俺は右手に力を込める。すると、右手が明るい光を放ち始める。
「わぁ…きれい…で、これをどうするっていうのよ?」
「…こうするんだ。」
明るい光をまとった右手を強く握り、思いっきり力を込めて前に突き出す。すると、炎の塊が一直線に飛んでいき消えていった。
(…うん、今日は調子がいいな…)
ここまできれいにできたのは我ながら初めてだ。
「ふ~ん。で、これをどう使うっていうの?」
「それは、もちろん悪霊退治に利用するんだよ。」
ドヤ顔でそう答えたが、木林の反応はどこか鈍い。もっと驚くと思ってたのにその反応は意外だった。
「う~ん…でも、それだったら剣を使ったほうが早い気もするんだけど…」
「いや、遠くにいる悪霊を近づくまでもなく倒せるじゃないか。」
「う~ん…」
しばらく考え込んだ後、言葉の整理が終わってから木林は話し出す。
「で、それはちゃんと狙ったところに打つことができるの?」
「それは…」
否、出来ない。
「それに、いちいちそうやってこぶしに力入れてるとその間に逃げられちゃうわよ?」
もっともでございます。
「その発想はなかった…」
「…バカなの?」
「う…うるせぇ!」
バツが悪くなり思わず顔が赤くなる。
「くそ…それなら…!!」
今度は、剣を取り出し木林とは反対の方向を向く。そして力を込める。すると、剣全体が赤く輝き始めた。
(この技は、まだ成功したことはないが…今日の調子なら…いける!!)
力を込め、剣を力強く振った。すると、剣を振った放物線の形のまま赤い炎の塊が飛んで行った。さっきのとは違いかなりの大きさだ。その大きさに自分自身、少しの間言葉を見失った。
「…こ、これなら、どうだ!」
木林もさすがに少し驚いた様子で、目が見開いていた。
「…まあ、確かにこれならさっきよりも短い時間で打てるから逃げられる前に仕留めることが可能ね。それに範囲も広いから狙いやすそうだし。」
とかなり、真面目にそう答える。こういうことに関してはほんとに真面目だよなと少しだけ感心する。
「よし、今からはこれで悪霊を狩ることとする!…いいよな?」
「うん…いいんじゃない??って私に聞かれてもわからないわよ!」
「よーし、許可は出た!これからの狩りは楽しくなるぞ~!!」
両手を、上に突き上げる。すると、木林はクスッとわらうと、
「…もう、すぐ調子に乗るんだから。」
と、どこかうれしそうな声でそう答えた。
結局、その日はその後悪霊を見つけることができず、時間も時間なので帰ることとなった。まあそれでも、前一人で狩っていた時と比べれば、早い時間なのだが。
その後はいうもの、毎日木林と集合して悪霊を退治する日々が続いた。炎を使った悪霊退治を思っていた以上に楽しく、この力も悪くないと思い始めていた。しかしその矢先だった。突然、大宮にこう切り出された。
「…あまり、炎を使って悪霊を退治するのは、やめろ。」
唖然とした。間違えなくこの言葉がふさわしい感情が沸いた。
「なんで…だよ…」
せっかく楽しくなってきた悪霊退治。それに水を差された感じだ。
「なぜなら、弱い悪霊がこの付近から逃げてしまうからだ。あそこまで派手にやられると、弱い悪霊は近寄らなくなる。」
「それの…どこが、問題なんだよ…!?」
「弱い悪霊が済まなくなったところには、強い悪霊が住み着きやすくなる。それは、命の保証をしかねる事態だ。」
なんだよそれ…意味が分からない。
命を落としかねない?なんだよそれ、こんな力を持っておきながら命を落とす?現実味がなさすぎる。
「…もしかしてあれか?」
俺は、少し汗をかきながら、反論する。
「お前、俺に嫉妬してんだろ。」
そうだ、そうに違いない。
「俺の力に対しての成長具合に嫉妬してんだろ!そうだろ!なんだよ、命の保証もできないって!意味わかんねぇよ!そもそもお前、調子乗りすぎてんだよ!さっきから上からものを言いやがって、何様のつもりなんだよ!!」
大声で、叫ぶ。…正直、ここまでいうつもりはなかった。
「…今日の夜11時、公園の上で待ってる。」
少し黙り込んだ後、呟くようにそういって足早に大宮は帰っていった。
「くそ!!!なんなんだよ!!」
俺は、家に帰ると学生カバンを思いっきりベッドにたたきつけた。感情の整理がいまだに追い付いていない。正直、大宮との約束は守ろうか迷った。でも、ここで引くのは男じゃない。
「よし、待ってろよ…」
俺は、布団に体をくるめて静かにこみあげてくる怒りの感情を押し殺していた。
夜11時。俺は、時間通りに公園の上に到着した。
「…来たな。」
約束通り、大宮は待っていた。まあ、こいつが約束を破ることはないということは十二分に理解している。服装はというと、いつも通り黒のジャージの上下である。
「で、何すんだ?俺は今機嫌が悪いんだ。さっさと用件を伝えてくれ。」
腕組みをし、ギロっと睨み付けながらそういう。すると、大宮からは予想外な返事が待っていた。
「今から、ここで俺と決闘をしてもらう。」
決闘…?
「で、日野本が勝ったら、悪霊退治に火を使うことを許可しよう。だが、私が勝ったら大人しく指示に従ってもらおう。」
「…勝利条件は?」
「簡単だ。相手が降参するまでだ。」
なるほど…。
「じゃあ、殺してもいいんだな?」
もちろん冗談のつもりだ。
「ああ、やれるならな。」
この言葉にはどこか自信を覗かせていた。そして、それが俺の癪に障った。
「…!!」
俺は無言で地面を思いっきり蹴って、左手に力を込めてこぶしを振るう。
「おらぁ!!」
大宮はこれを左に移動していとも簡単に避けた。だが、これは想定の範囲内だ。
俺はその炎の後ろを追尾し、右手で剣を鞘から抜く。そして、右に飛ぶ。
「シッ!」
体が大宮のちょうど横になったところで俺は炎をまとった斬撃を飛ばした。
(よし、勝った…!!)
そう思った瞬間だった。
「なっ…!?」
大宮は、左手を掲げる。するとその左手から鉄の盾が出現し、大宮の体を守った。
「ちっ…!」
俺は、その盾に向かって突進する。そして直前で飛び上がった。しかし…
上空から見えた大宮は空いていた右手で黒い球を作って今にも投げようとしていた
「…くっ!?」
上空での方向転換は不可能で、俺はすぐに防御姿勢を取る。
だが、大宮から放たれたその鉄球は俺の左に逸れ当たらなかった。防御姿勢を取ったまま着地すると、大宮は目の前から消えていた。
「え…」
呆然と立ち尽くす。そして、気づく。
首元に剣が当てられていることに。
「日野本、貴様の負けだ。」
後ろから大宮の声がする。どうやら俺が防御姿勢で剣で視界を遮っているときに、後ろに回り込んだようだ。
剣が首筋から消えたのを確認すると、俺は膝から崩れ落ちた。
「…わかったか?貴様は、まだ弱い。」
大宮は、静かにそして力強くそういった。
「では、大人しくいうことを聞いてもらうぞ。」
そういうと、後ろを向いて大宮はこの場を立ち去ろうとする。
…予想外だった。ここまで大宮が強いとは。全く知らなかった。
それを知らないで、どこか浮かれていた自分が急に恥ずかしくなってきてそれと同時に自分自身に対しての怒りの感情がこみあげてきて…。もう感情がごちゃ混ぜ状態で自分でもよくわからなくなった。
「くそぉぉぉおおおおお」
俺は、気が付いたら地面を蹴っていた。そして立ち去ろうとする大宮に、
…不意打ちを食らわせる…はずだった。
「!?」
目の前で突風が吹いて、俺は思わず後ずさる。前を見ると、そこには木林が両手を広げて立っていた。
そうか、今日も一緒に悪霊退治をする約束してたんだっけ。
「何してるの!」
「え…と」
なんと答えようか困っていると、右の頬に衝撃が走る。
「…!??」
俺は、驚いた顔で木林を見る。その顔は鬼気迫るものがあった。それで、俺は我に返ることできた。
「ごめん…」
俺は、そうつぶやいてバツが悪くなりその場から逃げるように立ち去った。
木林の目には光るものあった。
読んでいただきありがとうございます。
序章は次で最後となります!!