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やる気のない日野本淳

どうも蒼榛です。

少し遅くなってすみません。

ちょっと体調崩したりしてまして…(言い訳)

今回も相変わらずのクソ文章ですが読んでくださるとありがたいです。

 木林が、初めて悪霊退治をしてから、一週間たった。あの後というもの、木林は普通に教室で話しかけてくるようになったし、屋上で一緒に飯を食べることも多くなった。そして今、俺はというと…

 必殺技を考えていた。

え?何のことだって?もちろん、力のことである。必殺技もなにも剣を振るだけではないかって??いやいや、よく思い出してほしい。木林を救ったとき、俺は、手から、何を出した?そうだ。つまり、そういうことだ。

 実をいうと、木林が初めて悪霊退治をする日の前日に、寝不足だったことは、これが関係している。悪霊をたくさん狩ったというのは、あれは、嘘だ。本当いうと、あんまり狩っていない。とはいってもいつもよりは狩ったが。あの日からというもの、俺は、どうやったらもう一度手から、炎を出すことができるのだろうかと、思考をめぐらせていた。そこで、耐えきれなくなり、俺は、その日の夜、試したのだ。炎がどうやったら出るのかを。あまり、大宮や清水に見つからないようなところを探し、いろんなポーズを決めて、手を前に突き出してみたんだが、どうもうまくいかなかった。だが、何度か試している間に、少しだが、炎を出せるようになって、最終的には、火の玉が飛ばせる程度にはなった。

 そして、それから、一週間。俺は、だいぶ進歩を遂げ、ある程度だが、炎を操れるようになった。そこで、昼休みの弁当を食べ終わった後、つまり今、どうやったら、かっこよく炎を出せるのか。そして、それをなんと呼ぶか。つまり、必殺技を考えているのだ。

炎斬えんざん炎撃えんげき炎柱えんちゅうう~ん…こんな感じか??」

「なーに考えてるの?」

この声は木林か。俺はメモをさっと隠す。

「あ、いや、なんでもないぞ!なんでもないからな!」

「ふ~ん?で、質問なんだけどさー。」

あ、ここスルーなのね。

「なんだ?力のことなら、また、明日の昼休みにでも…」

「いや、違う違う。この数学の問題なんだけど…」

「…ほう。授業中をよく睡眠時間としているこの俺に勉強の質問とは。いい度胸ではないか。」

「あ、それもそうね。じゃあ、他の人を…」

「冗談だ!って、あれ?ほんとに行っちゃうの?ちょっと待って…」

ほんとに他の人のところに行こうとしてたのを何とか引き留める。

実は、数学はそこまで苦手な科目ではない。ある程度の問題は解けるはずだ。

「…て、あれ?ここって結構前の範囲じゃないか。」

見してもらった問題は、約2か月前に習った内容であった。

「あ、うん。実は転校する前にここやってないのに、こっちではもう終わってて、ここまるっきし抜けてるのよ。」

「ははぁ…なるほど…で、なんでこのタイミングで?」

「うーん…そろそろ…テスト近いから?」

腕を組みながら頭の上にはてなを浮かべながらそう答えた。てか、なんで疑問形なんだ…

「…いや、まだ一か月も先だろ。」

「違う。そこはあと一か月しかないって考えるのよ?」

どうやら、俺とはテストに対しての思い入れが違うらしい。俺は、せいぜい二週間前くらいから軽く勉強を始めて、前日に一気に詰め込むタイプだ。

「…まあ、確かにこの範囲わかってないと後に支障をきたす範囲も出てくるだろうから、今の時期に知っておくことは、大事かもしれんな。」

「でしょ?時間ないから、さっさと教えなさい。」

「それ、人にもの頼む態度か?まあいいけど。」

この範囲なら、結構得意なほうだ。なぜなら、まだ力を手に入れる前で、真面目に授業聞いてたからな!…いや、今も真面目に聞いてるよ??うん。

「…で、ここがこうなるから、これをここに代入して…」

「あー、なるほどね!だいたいわかったわ。ありがとね。」

少しだけ教えたところで、すぐにそう木林は言った。…教え方がまずかったのだろうか?

「え?ああ。なんかあんまうまく教えられんで、すまんな。」

「ううん。そんなことないよ。とってもわかりやすかった。」

「そうか?ならよかった。」

じゃあ、なんでこんな中途半端なところで話を切ったんだ??

疑問に思っていると、ちょうど昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴る。

午後の授業が始まると俺は、また必殺技を考え始める。

炎界(えんかい)炎弾えんだん…う~ん、なんかしっくりこないなぁ…もっと、面白い技名ないかなぁ…)

ペンを右手でくるりと回す。授業の内容はあまり頭に入ってこないが、今は世界史の授業中である。…ふむ、どうやら今は少し話が脱線しているようだ。

「そして、当時15世紀のイタリアでは、『仮面舞踏会』が行われていて…」

(仮面舞踏会…ね…)

その時、ふと頭にある言葉が浮かんできて急いでペンを走らせる。

(…うん、これはいいかも。)

授業のノートの上の方には大きな字で「火炎舞踏会」と書かれていた。


今日ほど夜を待ち望んだ日は、なかったかもしれない。俺は力を開放し、こっそりと部屋の窓を開け、すっかりと日の落ちた暗闇の世界へと、飛び込んでいった。

今夜は、昼間に学校で散々考えていた必殺技を試すのだ。いつも拠点としていた公園とは違う少し離れにある公園へと向かう。少し遠いが、ここなら多分大宮たちにばれることはないだろう。

公園にたどり着くと、人ひとりもいなかった。まあこの時間だ、人がいないのも納得である。俺は、右手を胸のところに持ってきて力をこめる。すると右のこぶしは、赤い炎をまとい始める。

(よし、やるか)

今日も炎が使えることを確認すると、俺はいったん右手の力を抜いた後全身の力も抜いて、目を閉じ大きく息を吐く。息を吐き終わると、目をカッと見開き右足を勢いよく後ろに下げる。それと同時に右手も引き、手を関節の部分をまげて力をこめる。そして、手に真ん中に炎が集まりだしたところで俺は叫んだ。

「炎…撃!!」

右手を名いっぱい前に突き出す。すると手のひらに溜まっていた炎が放たれ、炎が線状に飛んでいく…はずだったんだが、

実際は、その溜まっていた炎が丸い球体状でまっすぐに飛んでいっただけであった。

(あれ??おかしいなぁ。イメージでは完璧だったんだけどなぁ。…もう少しためたほうがよかったか?)

まあ、最初なんてそんなもんだと無理やり納得しつつ、他にもさまざまな思いついた必殺技を試してみるがすべてどうもうまくいかなかった。

「もう少し慣れが必要だな…」

右手を見ながらつぶやく。たくさん力を使ったためか少し体に疲労感が溜まっている。これ以上やるのは少し難しそうだ。

(さて、帰るか…)

俺は、今日も悪霊を倒すことなく帰路に着く。


次の日、睡眠不足のせいか体に倦怠感があったが、学校には行った。

いつもの光景、いつものけだるい授業、いつものあまり風変りしない学食。一つ変わったことはといえば、木林が昼休みに昼食を屋上で食べた後や放課後に話しかけてくることが多くなったことくらいだ。そして、今日も昼休み教室に戻ると木林が話しかけてきた。

「あの~昨日教えてもらった数学についてなんだけど。」

「あー、そういえば途中で終わってたっけ?それともわからないとこがあった?」

「う~ん。ちょっとわからないとこがあって…」

(なんだ、やはりわかってなかったんじゃないか)

俺は、木林がわからなかったというところを、自分が知っているさほど多くない知識でできるだけわかりやすく教えた。こういう質問を俺にしてくるのは、ただ純粋に俺が話しかけやすかったのか、それとも俺と話がしたかったのか。俺には、正直言うとよくわからなかった。

(もし、本当に好意があるとしたら勉強の話はしないんじゃないか)

とか考えたりもしていた。前には、どこぞの主人公とは違うとか言ってみたりしていたが、実はさほど変わらないのかもしれない。当時は、ほぼ確信をもってあいつは俺に好意を持っていると思っていたが、たまに話しかけてくるだけで、それ以外大きな進展がないため、最近ではその確信は完全に揺らいでしまっていた。

「ん、ありがと、大体わかったわ。」

「おう、またわからんとこ出てきたら言ってくれ。こたえられるかどうかわからんけど。」

「はーい。」

そうそっけない返事をすると、木林は席に戻る。ほんとによくわからないやつだ。だが、直接聞こうにもどう切り出せばいいのか全く分からないし、もし好意を持っていなかったとしたら、その後どう言い訳をすればいいのかわからない。

 (っていっても俺自身あいつのこと考える時間が多くなってきたな…これがもしかして、あいつの狙いか!?)

そこまで考えると、なんか馬鹿らしく思えてきて考えるのをやめた。

放課後、さっさと家に帰ろうと教科書などをバックに放り込んでいると、

「ねぇ、ちょっと一緒に帰らない?」

っと木林に声を掛けられた。ちょっと予想外の展開に少したじろぐ。

「え?あ、別にいいけど。」

俺は、いつも大宮と帰るのだが今日に関しては大宮が日直の仕事で帰るのが少し遅くなるということなので、先帰ると伝えていた。…まあ、つまり、こいつと二人っきりということだ。

(これは…少し進展がある予感…!!)

少し、ほんとに少しだが心臓の鼓動が早くなっているのを感じた。


…なんだこれ…

俺は、心の中でつぶやく。想像してたものと違いすぎる。

「大体…こういう力を手に入れているんだから、それくらいしないと…って話聞いてる??」

まあ…つまりあれだ。俺は今、お説教を受けている。

なぜこんなことになったのかというと…、だいたいこんな感じだ。

「最近、悪霊退治してるあんたを見たことないんだけど、ちゃんとやってるの?」

俺は、その時こいつにこんなこと言われるとは思っていなかったため驚いた。そして、なぜこいつからそんなこと言われなければならないんだ?という感情も同時に発生した。

「あーまあ、やってるよ。うん。」

適当に答える。すると、木林はこちらをジト目でジーと見てきた。

「な…なんだよ。」

「…嘘ね。」

まあ、そんな感じで気が付いたらお説教のようになっていたというわけである。

「あー、はいはい。わかりました。明日から、ちゃんとやりますって。」

「明日じゃなくて、今日からね!…で、ちゃんとやってるかどうか確認したいから、前、待ち合わせたところで待ち合わせましょう。」

うわぁ…こいつ、誤魔化そうとする心見透かしてやがる…

「…わかったよ。で、何時だ?」

「十一時。遅れたら明日、どうなるかわからないわよ?」

含みを持った邪悪な笑みを浮かべる。…いったい、なにが待ってるというんだ!?

「で、あとこれ明日から毎日だから。」

そう、この日俺の必殺技特訓は、唐突に終わりを遂げたのだった。


夜。午後十一時前。俺は、言われた通り、公園のところで木林を待っていた。服装は、いつも来てるジャージだ。まあ、動きやすさを考えると妥当だろう。

 そうこうしているうちに、木林が姿を現す。服装はというと…どこか幼さを感じるかわいらしい…寝間着を着ていた。

「…待った?」

「いや、今来たところだ。」

「そう、ならよかったわ。」

そういうどこかのカップルがよくするような会話をすると、俺はすぐに悪霊を退治するために地面を蹴る体制を取った。

「待って!」

すると、横から木林に呼び止められた。

「なんだ?決して帰ろうとしているわけではないからな?」

「う~ん…ちょっと信用ならないから、一緒に行動しましょう。」

こいつ…ほんとに俺のこと信用してないな…なんか悲しくなってきたぞ…??

「そんなに俺と一緒にいたいのかよ…」

俺が、そうぼそっとつぶやくと、唐突に木林は顔を赤くして

「え、いや、決してそういう目的じゃないからね!!監視よ!これは、監視が目的なんだからね!!」

っと、大声で、叫ぶようにそういって、顔をそっぽに向けた。

…なんで、そんなに必死に否定する。これは、俺のことが相当嫌いなのか?いや、それとも…??

「まあ、いいや。さっさと狩って、さっさと帰るぞ。」

「あ、うん。」

その返事を聞くと、俺は地面を蹴った。木林もそれに習って地面を蹴る。

…三十分ほど経っただろうか、俺たちは悪霊を5,6体ほど狩った。最近では、かなりいい成果である。

…つまらない…

俺は、丸い球体に手が生えたような悪霊を右手に握った剣でぶっきらぼうに斬ると、心の中でそうつぶやいた。

昨日までの必殺技特訓と比べて、やることが単純でかつ地味である。もう少し華やかさがあってもいいのではないのだろうか?

そのとき、妙案が思いついた。

(そうだ…!悪霊退治を特訓がてら炎を使って狩ればいいんだ!!)

なんで、今まで思いつかなかったんだろうか。これをすれば、悪霊を倒せるだけでなく炎の扱いにも慣れることができる!!

 たしかに、大宮達にはばれてしまうが悪霊は退治しているので悪いことはしてない。言い訳もつく。

「…なににやついてるのよ。何かに目覚めでもしたのかしら?」

どうやら、表情に出てきたらしい。

「いや、ちょっといいことを思いついてな…明日から、実践してみるわ。」

「ふ~ん?なら、明日楽しみにしているわ。」

俺は、悪霊が消滅したことを確認すると剣をしまう。

「じゃあ、今日は、これくらいにしとくか。」

「うん、そうね。明日もちゃんと来なさいよ?」

「お前は、俺の母親か?まあ、ちゃんと来てやるから。じゃあ、また明日。」

「うん、また明日。」

そうして、俺たちは帰路に着く。


読んでいただきありがとうございます。

次も二週間後くらいに投稿する予定です。

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