転校生
どうも、蒼榛です。
書き方が時々変わってたりしますが気にしないでください。
あと、人の心情って書くの難しい…
「じゃあ、行ってきまぁす。」
朝眠たいながらも、一応挨拶をして家を出る。久しぶりの早起きで、しかも前日には夜中まで悪霊退治をしていたため非常に眠い。けどそんななかでも俺は、ゆっくりと歩きながら無理やり思考を回らせる。
(夏休み前と同じぐらいの時刻には、何とか出られた。朝食は…ちょっと適当になってしまったがまあいいだろう。え~と…学校で何かすることがあったような…)
そこではっとする。そして、俺は走り始めた。いつもの道を懐かしむ暇もなく、学校に着いた。何人か知り合いにあった気もするが、気にする余裕はなかった。もちろんだが力は発動させてない。おかげで、自分の足がとても遅いと錯覚してしまう。朝早いので思ったより人は少ないが、力を使うには少し人目についてしまう。それに学校にいきなり出てきたりでもしたらどうなるかわからない。人目がつかないところでこっそり発動することも考えたが、場所を探すのに時間がかかる。俺は、ただひたすら無我夢中に走った。
(ちと遅れたか…)
時計を見てみると、8時を少し過ぎたころだった。俺は、息を荒げながら少し急ぎ足で屋上へと上がった。
「おい日野本、はやくこい!」
お、この張りのあるよく通る声の中にもどこか優しさを感じるしっかりした口調は、清水だ。
「ち、ぎりぎりで間に合うと思ったのによ。」
俺は、久しぶりに会ったうれしさで、笑みを浮かべながら少し息を切らした声で答える。
「ちゃんと時間考えて家を出たか?」
「いやー昨日の悪霊退治が影響してさー寝坊してしまって…。」
上っ面だけでもと少しだけ反省しているふりをする。もちろん、反省などしていない。
「それ本当か?実際は忘れてただけなんじゃないか?」
さすが清水、いきなり確信をついてくる。
「それもあるな。てか、それしかないな。うん。」
腕を組んで、目を閉じて大きく二回うなずく。
「やっぱり忘れてたのかよ!」
そういうとしばしの沈黙のあと、同時に笑い出す。すると、その間に割って入るものがいた。
「そんな話はもういいから、さっさと悪霊退治について報告し合おう。」
この冷たい空気を読まない感じはそう、大宮である。
そんな話はないだろっと思ったが、口には出さず怪訝そうな顔をした。
「久しぶりにあったんだから少しぐらい談笑させてくれよ…まあ、そろそろ時間がなくなってきたししょうがないか。」
報告というのは、何匹悪霊を倒したかを報告することである。またこの学校は、8時15分から始まるので時間もそこまでない。
「で、清水。お前は夏休み中に何匹倒した?」
「おれか?おれは、確か三十は倒したはずだぜ。毎日一匹は、絶対倒すようにしていたからな」
意外と清水が、まじめにやっていることに驚いて、思わず「へ~」と間抜けな声が出る。
「お前はどうなんだ?日野本?」
「あ、俺か?俺は…確か…まあ、二十五ぐらいだろ。」
とてもあいまいな口調で言う。もちろん嘘である。
「嘘をつくな。」
「まあ、そういうなって。 そうだ、お前はどうなんだ?」
すかさず、話題を自分から大宮に移す。
「話題そらした感まるわかりだな。まあいい。…五十一体だ。」
俺は、目を見開いた。
「おい…まじかよ。」
俺なんか、一体見つけるだけで一苦労だったぞ!?でも、大宮ならやりかねないか。
「…まじだ。」
「頑張りすぎだろ!あまり頑張りすぎると、体壊すぞ?」
「…君にだけは、言われたくないな。」
吐き捨てるようにそう大宮は言った。こいつ、俺がさぼってる前提で話していやがる。いや、まあ事実だからなんもいえないけど。
「よし、じゃあ冬休みは頑張るぜ!ってことでその準備として、今から一週間はサボっていいか?」
ダメだ。っと即答される。いや、わかってたけど。
「ちぇー、少しぐらい休ませてくれよ。」
「お前は十分休んでいるだろ。」
確かに、二人と比べたらそうかもしれない。しかし、普通の一般的な人と比べたら頑張ったほうではないか?っと思い、食い下がってみる。
「けど、俺らまだ中学生だぜ?この時期に遊ばなくてどうすんだよ?」
「まあ、確かにそうだな。俺も少し言い過ぎかもな。いいだろう。毎日やれとは言わない。ただし、三日に一回くらいはやるようにしろ。」
「お?…おう。」
思いがけず、承諾されたため少し返答がうぼつかない。
「それと、冬休みはあまりやらなくていいぞ。」
「…なんか、逆にそう優しくされるとなにか裏があるのではないかと思ってしまうんだが。」
俺が腕を組んで微妙な顔をしていると、大宮は、
「…この悪霊退治に巻き込んだこと自体には、僕自身少し負い目を感じているんだ。だから、そこまでしっかりやってもらうつもりはないんだよ。」
と、大宮にしては優しい言葉を発した。
「でも、まあ日野本のことだから言わなくてもどうせさぼるんだろうけどな。」
「ああ、そういうことね…」
まあ、つまり言っても言わなくても変わらないってことですね。はい。
「ただし、」
今度は、今までよりも厳しい口調でそういった。俺は、そのあと大宮が言ったこととその厳しい口調にとても違和感を感じた。
「絶対に悪霊退治は、この町周辺で行うこと。そして、絶対に街にはいかないこと。」
「え、お、おう。」
(街にはいってはいけない?いったいどういう意味だ?)
ここで、呼び鈴がなって話は終了した。
教室に帰ってみると時間はもう朝礼が始まる二分前を指していた。
「おっと。何とか間に合った。あぶねーあぶねー」
独り言をつぶやいて席に着く。周りを見渡してみると、夏休み明けで久しぶりに友達に会うためか、教室はまだがやがやとしていた。朝礼開始のチャイムがなる。しかし、なかなか先生は入ってこない。そして、教室もまだがやがやしたままである。
「おい、なんかあったのか?」
俺はさすがに気になったので、隣の人に尋ねた。
「いやー、なんか噂によると、今日、転校生が来るらしいよ。」
「へぇ~。どんな人?」
「さすがにそこまではわからないけど、とりあえず女の子って噂だよ。」
「ほう、なかなか興味深い情報ではないか。」
そんな会話していると、やっと先生が教室の引き戸を開けて入ってきた。戸が開くと同時にみんな会話をやめ前を向く。俺も同じようにする。先生の後ろにはその転校生と思われる人物が後ろからついてきていた。
つぶらな瞳に、つやのあるきれいにまとまった茶色のショートヘアー。身長は高くも低くもない感じで、体は少しやせ気味だが、よくいう一般的な体形である。
(おぉ…なかなかかわいいんじゃないか…??)
俺は、心の中でつぶやく。
まず、見た目は好印象である。顔たちもまとまってるし、すらっとしている。かといって大人っぽいというわけでもなく、どこか少女らしさも伝わってくる。とても親しみやすそうだ。まわりもどこか浮ついた雰囲気になっているように感じる。転校生ということで、少しおどおどしているところもとてもかわいらしい。
ここで、担任先生の紹介が入る。
「えーと、この人は今日からこのクラスの新しいメンバーになる、木林明日香さんだ。みんな仲良くしてやってやれよ。じゃあ、簡単に自己紹介しようか。」
先生は、そういってその木林明日香という名の人物に自己紹介をするように促す。転校生は、それに対して小さく「あ、はい」と返事をしチョークをもって、自分の名前を書き始める。
(木林明日香か…)
俺はその黒板に書かれた心の中でつぶやく。森の中でとてもいい香りがする、そのような風景が頭の中に浮かんだ。
「き…木林明日香です。 これからは宜しくお願いします…。」
とても緊張した少しこわばっているような声で、木林は挨拶をした。俺は、ほんと女の子らしい女の子だと思った。
夏休み明け初めの授業は、現代文だった。寝不足だったこと先生のゆったりした口調が相まって、ものすごい眠気に襲われ、数分ほど話を聞いたのち耐えられなくなり結局この授業は睡眠時間と化した。転校生である木林は俺の席から一個後ろの列、つまり一番後ろの列の五つある席の教壇側から見て右から二番目であった。俺はその一つ右側に位置する窓際の席だったので、授業を受けている間、軽くは目に入るはずだ。転校生に対して、あまり悪い印象を与えてしまうのも少しあれだったので、ちゃんと起きておこうと思っていたが、昨日の疲れもありあっけなく沈んだ。その次の授業は数学だったが、一時間目に寝たぶんだいぶ眠気が取れていたため何とか耐えることができた。起きていることに夢中で授業の内容はほとんど頭に入ってこなかったが。
三時間目を迎える。図書という授業だ。それは毎週月曜の三時間目だけに行われている、図書室で本を借りてそれを読むという授業である。
俺は、正直このまま教室で寝てしまいたい気分だったが、清水にせかされ、重い足取りで、渡された図書カード(これに借りた本を記入する。)を持って図書室へ向かった。
中三の教室は三階にあり、図書室は二階にある。俺は清水と話しながらなんとか意識を保ち、なんとか図書室にたどり着いた。
(…とりあえず、さっさと本を選んで、寝るか…)
本棚から適当に本を探す。真面目な本は嫌いなので、とりあえずファンタジー系の本を手に取る。うん、なかなか面白そうだ。まあ、読まないけど。
本を手に取り、図書室の席に適当に座ろうと体を反転させる。その際、横目に入った外の風景に少しの違和感を感じた。
(…え??)
思わず外の方を見る。そこには何かいた。それが人ならなんの問題もない。しかし違うのだ。
(…間違いない。あれは…)
悪霊だ。
そう認識したと途端、背筋が一筋の汗が流れる。一刻も早く退治しなければ何が起こるかわからない。いやしかし、今すぐ図書室を飛び出したらとても目立ってしまい、力の発動どころではなくなってしまう。周りを見渡してみる。もちろんだが、誰も気づいていない。見えないのだから。大宮と清水はというと、大宮に関しては、多分気づいているのだろうがどうすればいいのかわからないのだろう。なにごともないような顔で本を読んでいた。清水に関しては…う~んと唸り声をあげながら本をまだ選んでいる。あの状況だと多分まだ気づいていない。
(…どうする!?)
俺も、大宮に習ってとりあえず席に着く。しかし落ち着かない。目の前に脅威があるとき、俺は無視できないたちなのだ。寝るどころではない。眠気などとうに覚めた。軽く思考をめぐらしたあとあることを思いついた。
「先生、ちょっとトイレ行ってもいいですか?」
名付けてトイレ大作戦!!ベタだがいい作戦だ!
「あ、いいですよ。」
意外とすんなりと許可がもらえたので、急いでトイレに向かう。トイレに入ると、人は一人もいなかった。
(よし…これなら…いける!!)
意識を集中させ、力を開放する。力の発動に関してはもう慣れたので問題なく成功した。
トイレの扉をそって開けて、外を見る。
(いた…間違えない。悪霊だ。)
俺は地面を蹴り、悪霊との距離を詰める。この校舎は、真ん中に中庭があるため、四角い形をした後者だが、真ん中は空洞になっている。だから、反対側の廊下に行くには少し大回りしなくてはいけない。ちなみに悪霊がいたのは、図書館から出て、右にまっすぐ行ったあと、左に曲がったところの廊下の奥の方だ。
俺はすぐ悪霊のところにたどり着く。歩数で言ったら約三歩といったところか。近くで見ていると、丸い体に手が生えている。いつも狩っている悪霊と同じタイプだ。
俺はすぐに剣を抜く。そして振る。それは、空振ることなく悪霊の体の正面を真っ二つに切り裂いた。これで悪霊は消滅する。あっけないが大体こんなもんだ。
(これでよしっと。っていっても驚いたな…)
学校内で悪霊が出たのは、初めてのことである。そもそも、悪霊は人が多いところを好まない…と聞いた気がする。多分今回は、夏休みで学校に人がいなかったので住み着いていたところ、いきなり大量に人がきて思わず出てきてしまったんだろうと個人的見解を述べておく。
そこまで思考をめぐらせると、俺は急いで教室に戻ろうとトイレに戻り、力を解除した。そして、何事もなかったかのように席に戻る。
そのとき、転校生である木林とばったり目がある。そこにはなぜか、戸惑いと驚きの色が見えた。
(…何だったんだ?あの不思議なものを見るような目は…)
図書の授業も無事終わり教室に戻って席に着いた俺は、さっきの木林の視線が気になってしょうがなかった。
(うーん…特に目立つようなことは、なかったと思うんだけどな…いや、確かに目立つ行動はとったけど!あれは一般の人には見えないから!…うまく誤魔化せたつもりだったんだが。なんかまずったか??)
右手で頬杖を突きながら難しい顔をしていると前から声を掛けられた。
「日野本、ご苦労だった。」
この声としゃべり方は、大宮だ。俺はそこでいったん思案をやめ、大宮を見上げる。
「いや、ほんとびっくりしたぜ。学校には出ないんじゃなかったのか?」
「ああ、どうやら人がいなかったからうっかり入り込んでしまったらしい。」
「やっぱりそうか…」
そこで、さっきまでの思考を思い出す。
「そういえば、あんときの俺の行動なんか問題でもあったか?」
「…いや、特に問題はない。機転の利いた素晴らしい行動だったと思うぞ。」
「それはどうも。」
だとしたら、なぜあんな目を?いや、もしかしたら気のせいかもしれない。
(こっちもいきなりのことで動揺してたからなぁ…)
軽く相手の心理を見間違えることなんて、よくあることだ。うん。
しかし、これだけで済めばよかったのだがそうもいかなかったのである。
…あれから、一週間ほど経過した。
(…また、視線を感じる。)
あの日からというもの、気のせいかもしれないがいつも誰かに見られているような感覚がある。ただ俺が神経質になっているだけなのだろうか。
…もしかして、幽霊!?
と最初は思ったが、どうも違うらしい。というかこの一週間でもう大体誰からのものなのか見当がついた。
(…確かめてみるか)
俺は二限目が終わった後、突然なにかを思いついたかのごとく教室から飛び出した。しかし、これはただのフェイクだ。俺は、教室を出ると少しだけ走った後すぐ立ち止まり隣の教室と自分の教室の扉の間にさっと隠れる。しばらくしたのち、やはり教室から少し慌てた様子で出てくる女の子がいた。左右をキョロキョロと見渡して、俺と目があう。
「…!?」
声にならない声で驚く人物。木林だ。
「やはり、お前か…」
あの日からずっと俺に視線を送り続けてる人物。そう、それは転校生の木林明日香であった。
「俺に、何か用か??」
俺は木林の目をじっと見つめながら、そう問うた。
「え?いや、その…何でもない!」
そういうと、足早に教室に戻ろうとするので、
「いや、ちょっと待てよ。」
っと手を掴んで、引き留める。
「え?ちょっ!?手、掴まないで!!」
そういって、思いっきり手を振り払われる。見ると少し顔が赤くなっている気がする。そして妙に視線が怖い。
「えっと、その…なんかすまん。」
咄嗟に謝る。こういう時はさっさと謝ったほうがいい。というかそうじゃなくて。
「…で、なに?」
少し落ち着いたらしく、視線を外してそう聞いてきた。
「いや、俺にずっと視線送ってるだろ?」
すると、今度はさっきとは違い動揺の色が見える。
「な…何の話よ?」
「いや、どこでとぼけられても…ずっと視線を送られ続けるとさすがに気づくって。今も俺のこと探してたじゃないか。」
さすがにこういわれると、逃げれないだろ。そのための鎌かけだったわけだし。
「…そう。」
木林は、少しの間俺の目を見た後また視線を逸らして呟くようにそういった。
…これは、認めたといってもいいよな??
はぁと大きく息を吐いて、こう続ける。
「別に、緊張する必要はないんだよ?転校生だからって。」
「え?いったいなんのこと??」
ここにきてまたとぼけるか。
「素直じゃないなぁ。いや、だから俺と話がしたかったんだろ??」
そういうと、木林は一瞬ポケっとした顔をした後、クスッと笑う。ここにきて初めての笑顔である。
「…あんた、大きな勘違いをしてるわよ。」
「え…?」
今度は俺がとぼける番である。
「私、あなたと話したかったわけじゃなくて、あなたの行動をただ観察してただけよ。」
「え?それってどういう…」
俺の頭にはたくさんのはてなが浮かぶ。そしてその次の一言で疑問が解消されると同時に俺の中に大きな動揺が走った。
「…え~とね、日野本君。いや、これ勘違いだったらごめんね!あの…先週の図書の授業の時、なにかと黒いものを退治したりしてなかった??」
四限も終わり、ようやく昼休みだ。俺はいつもやっているように、親からもらった弁当をもって、大宮と屋上に向かった。清水は今回、用事があるらしく、屋上には来なかった。
俺は、結局あのあと答えをあいまいにして逃げるように教室に戻った。その時に木林の「私は勇気を出していったのにそっちは答えてくれないのね。」という言葉には心がとても痛んだ。そして、最後の去り際に「あなたこそ、素直じゃないのね。」で俺の心はとどめを刺された。正直、答えたほうが楽だったかもしれない。だが、いきなりそんなこと言っても信じてもらえるかわからないし、それに木林をこのことに巻き込みたくなかった。まだ転校したばかりなのに、いきなり悪霊とか言われると、それはとても億劫なことではないかと。そもそもなんで木林に俺の姿が見えてるんだ??
「…なあ」
飯を食べずにずっと下を向いていた俺は、重い口を開いて、大宮に声をかけた。
「…なんだ、神妙な顔して。」
大宮は、ちょっと心配そうな顔をしている。こいつもこういう顔するんだな。
「俺らの姿って俺ら以外に見えることってあるのか?」
すると、大宮は、少し安堵した表情に変わり、
「なんだ、そんなことか」
といった。そんなことって…こっちは真剣に聞いてるってのに。
「それなら、前、言ったはずだ。力があるもの同士以外からは見ることができないと。」
「いや、そうなんだけど、その…例外?とかないの?」
大宮は、少しだけあごに手をあてて考え込む。
「そうだな…はっきりとは言えんが、霊感とやらが強い人なら気配くらいなら感じることができるかもしれない。」
少し間を置いた後、さらに付け加える。
「それと、もし見えたという人がいたとしたら、そいつは力をすでに宿しているか、または今まさに力に目覚めようとしている可能性が高いな。」
「力を手に入れてるが、それに気づいてないってことか?」
「まあ、そういうことだ。」
そこで、一つ疑問点が自分の中に生じる。
「って、ちょっと待て。力に目覚めてなくても幽霊が見えるってことあるのか?」
「まあ、そういうやつがいてもおかしくないな。俺も実際に見たことないから推測でしかないが」
「なるほど、大宮にも知らないことってあるんだな。」
「…当たり前だ。」
最後は、吐き捨てるようにそういった。
力を宿している…か…、じゃあ、木林も力を宿してしまっているってことか?
上を向いて思考をめぐらせる中、ふと思う。
「…そういえば、なんで俺が力を宿すってわかったんだ?」
「…」
大宮は、無言で食事を再開し始めた。
…こいつも素直じゃないな。
と俺は思った。
読んでいただきありがとうございます。
次の話は多分少し遅くなると思いますが、頑張って来週中には投稿したいと思います。