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プロローグ
翌日。聖帝宮邸社交場にて。
「諸君。今日はよく集まってくれた。感謝する」
全員の前で長い金髪を持つ隻眼の青年、聖帝宮皇児が挨拶を述べる。
「まあ、これはただの夜会だ。無礼講でいこうじゃないか……と、言って夜会を楽しんでもらおうとしたんだが……神埜! まだだ。まだ俺の挨拶が終わってねぇ! 料理に手を付けるのはまだ早え!」
皇児が部屋の中央のテーブルに並べられた料理を自分の皿に盛りつけている男を注意する。
男は、優雅に礼をすると、そそくさと部屋の隅に移動した。
会場にいる人々からクスクスと笑いが零れる。
「あぁ……なんかすまないな。じゃ、乾杯」
皇児の苦笑交じりの乾杯の声に合わせ、会場にいた全員がグラスを掲げた。