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第15話 耐え忍ぶ男たち

「貴島、貴様の胸にある宝玉を差し出せば、命は助けてやる。どうせ、そのまま胸の中に仕舞いこんでも、魂を乗っ取られるだけだ」

 サーベリオンの取引って、オレにとってはあんまりメリットが無い気がする。

「断ったらどうなる?サーベリオン、お前は得をするが、オレにはメリットが無い取引だ」

 ヤツは「ふははははははは!」と高笑いした。相当自信が有るようだな。

「断れないよ、貴島!」

 サーベリオンは学生服のポケットから赤く丸いボールを取り出した。そのボールを空中へ放り投げた。

 ポン!と小さく弾けた。中からヌイグルミみたいな人形が現れた。

「クララ!ウォークマン!」

「了解!」

 エレーヌさんとクララさんはスカートのポッケの中からウォークマンを取り出し、素早くヘッドフォンを装着した。

 オレは、見た事がある。あの人形、忘れもしない!

 フンガアアアア!

「ベテルギウスだ!」

『⊆⊉⊍⊗⊼⋬♍ѪѬѮ҂ӝӘӔӐỲ‱ℍ₩℉℔ɷǾʡʛΐѦҖѿ‼!!!!』

 使い魔は、早速、《天使封じ天使封じの合唱曲》を唱え始めた。そんなもん効くかよ!オレ達人間には聞こえないし、エレーヌさんとクララさんは、ウォークマンを装着しているから大丈夫。

「うあああああああ!」

「きゃああああああ!」

 なっ?エレーヌさんとクララさんが悲鳴を上げて倒れた。何故だ?

「改良型だよ。ペテルギウスA2。コイツは脳に直接《天使封じの合唱曲》を聞かせる事が出来るんだよ。戦闘天使なんて所詮は兵器で造り物だ。対抗策が出たら、手も足も出ない」

 クソッ!サーベリオンめ!なんてことしやがる!

 オレは神威を抜こうとして、刀の柄を掴んだ。

「おっと!貴島、抵抗するな。新型の使い魔はこんな芸当も出来るんだ」

『⊆⊉⊍⊗⊼⋬♍ѪѬѮ҂ӝӘӔӐỲ‱ℍ₩℉℔ɷǾʡʛΐѦҖѿ‼⊆⊉⊍⊗⊼⋬♍ѪѬѮ҂ӝӘӔӐỲ‱ℍ₩℉℔ɷǾʡʛΐѦҖѿ‼⊆⊉⊍⊗⊼⋬♍ѪѬѮ҂ӝӘӔӐỲ‱ℍ₩℉℔ɷǾʡʛΐѦҖѿ‼⊆⊉⊍⊗⊼⋬♍ѪѬѮ҂ӝӘӔӐỲ‱ℍ₩℉℔ɷǾʡʛΐѦҖѿ‼!!!!』

 使い魔は急に金属を引っ掻いたような高い音で叫んだ。

 オレ達人間には気持ち悪い音にしか聞こえない。が、エレーヌさんとクララさんは立ち上がった。ウォークマンのボリュームを上げて対抗したのか?

「戦闘天使達よ。貴島を倒せ。但し殺すな!」

 タン!と屋上の床を蹴って飛び出す二人の戦闘天使達。

「うわあ!」

 オレは驚きの声しか出せなかった。それは、エレーヌさんとクララさんがオレに襲いかかって来たからだ。

 クララさんの大鎌がオレに向かって振り下ろされた。ガッキッと鈍い音がする。オレは鞘に納めたままの神威で、振り降ろされた大鎌を受けた。

「やあああ!」

 ドッスっ!

「ぐはっ!」

 レイセオンさんの鋭い蹴りがオレの腹にめり込んだ。思わず、(うずくま)りそうになる。

「たあああ!」

 バッキッ!

 今度はクララさんが大鎌の柄を下から掬いあげた。オレの右わき腹にめり込んだ。

左の方へ吹っ飛ばされた。屋上の上を転げまわる。激痛が走り、声も出ない状態だ。

「まあ、新型ベテルギウスの欠点は、人間とか、悪魔は操れない事かな?それはやっぱり宝玉の力を使わないと無理なようだね」

 サーベリオンの高笑いが聞こえて来た。

「サーベリオン今すぐに止めないと、お前を撃つわ!」

 桜子さんが銃をサーベリオンに構えているのが見えた。

「サッキュバス、撃てるものなら撃ってみろ!悪魔のお前が、上級天使のオレを撃ったら、条約違反で大問題になるぞ。自分の家族を路頭に迷わす気か?」

「くっ!卑怯な!」

「桜子さん!二枚刃を呼ぶんだ!急いで!」

「わかったわ!二枚刃君ね!」

 桜子さんは黒い羽を広げ、空へ飛んで行った。サーベリオンは興味なさそうな顔で見上げている。

 オレは桜子さんに援軍の要請をした。サーベリオンに悟られないよう、暗号を使った。桜子さんはが切れ者で助かった。暗号の意味を直ぐ理解してくれた。

 オレは片膝付きながら、ヨロヨロと立ち上がった。もう、いろんな所が痛い。エレーヌさんとクララさんの攻撃は必要以上に続く。オレは鞘に納めた神威で何とか二人の攻撃を防いでいるが。反撃出来ない。そうさ、彼女達に刃を向けるなんて出来る訳が無い。二人の攻撃はコンビネーションが素晴らしく、何発も身体に喰らう。このままじゃ持たない。

「私は、あんたら天使と悪魔のルールに制約されないからね!」

 サーベリオンに向かって斬り込んで言ったのは深井キャプテンだ。サーベリオンの方に乗っているベテルギウス共々、真っ二つにする勢いで、薙刀を振りかざした。

「無礼な下等生物め!お前の相手は彼女がするさ!新型のペテルギウスは妖精も操る事が出来るのだよ!人間め、汚らわしい!近寄るなよ」

 サーベリオンは左腕から豪奢なロングソードを抜き、ポーンと放り投げた。ソードが飛んで行った先で、剣を受け取ったのは……佐原イリアだ。

「何で?佐原さん!止めて!」

 佐原イリアはロングソードを腰だめに構え、深井キャプテンを串刺しにしようと突っ込んで行く。

「ええい!」

 深井キャプテンは薙刀【正俊】でイリアのロングソードを払いのける。それでもイリアは突撃を止めようとしない。

「佐原さん!しっかりして!」

 深井キャプテンと佐原イリアの力量の差は歴然としていた。深井キャプテンはイリアを軽くあしらうが、イリアを傷つける事が出来なった。深井キャプテンには部の悪い勝負だった。

「反撃出来ない!どうすればいいの?」


 オレはもう、満身創痍だった。膝をついて、呼吸も荒い。口の中では血の味が止めどなく続く。右腕には力が入らない。多分、折れていると思う。頭から血が流れているのだろう。額にヌルッとした感触があり、左目に血が血が入っている。前が良く見えない。

 全身の痛みを耐え、立ち上がった。立たなきゃ何も出来んから。

「どうだ?貴島、俺の力を思い知ったか?今謝れば、命だけは助けてやる」

 サーベリオンはエレーヌさんとクララさんの後に隠れながら、憎たらしいセリフを吐きやがった。ここに来ても、彼女達を盾にするなんて、何処までも性根が腐ったヤツめ!

「クソ喰らえだ。オレは馬鹿野郎に下げる頭はもっていない」

「そこまで痛めつけられて、そのガッツは見事だ。お前見たいなヤツが手下だった良かったよ」

 本当に馬鹿野郎だコイツ。誰がお前の手下になるかよ。

「最近、好きな女の子に振られて、むしゃくしゃしている野郎がいるんだ。そいつはヤツ当たり先を探しているんだ」

 オレは本当に追いつめられているようだ。援軍を呼んでいる。助けを呼んでいる。だがまだ来ない。

このまま、ヤツに宝玉をくれてやるのは悔しし、絶対に避けなければならない。いっそ宝玉と共に果てようか?神威の切れ味なら痛みも感じないし、宝玉だってオレごと真っ二つに出来るだろうから。

「やれ、戦闘天使」

 サーベリオンの命がオレの眼の前の戦闘天使に下った。

 エレーヌさんはスカートの中からレイピアを取り出しオレに向かって構える。クララさんも大鎌を携えオレとの間合いを詰めて来た。

 いよいよ止めを刺す気のようだな。最後にエレーヌさんとクララさんの顔を眼に焼き付けておこう。オレは、二人の顔を見た。

「え、エレーヌさん?クララさん?」

 思わず、彼女達の名前を呼んでしまった。止めを刺そうと剣を翳して歩み寄る二人の瞳から、涙が流れていた。それは頬を伝い流れ落ちる涙となっていた。

 そんな彼女達の涙が意味する所は間違いない。エレーヌさんとクララさんは心まで操られている訳じゃない!彼女達は自分の意思を持っている。

「これは……簡単に自害する訳には行かなくなった。彼女達の心を救い出さないと」

 さあ、どうするか?死ぬ気なら、最後にあがいてみようか!

 ピーンポーンパーポーン!

 突然、構内放送のチャイムが鳴った。校舎全体に響き渡るチャイム。

『生徒会からお知らせします。二年A組、島田忠勝君。今すぐ屋上へ来て下さい。友人の貴島元就くんが呼んでいます。早く来ないと、貴島君が島田君の好きな女の子をばらしちゃいますよ!』

 これは生徒会長の声だ。あんな事言ったらオレが忠勝に恨みを買っちまう。

「たあああ!」

 ドスン!

「ぐはあああ!」

 クララさんの大鎌が、オレの腹に刺さった。だが刃を向けられた訳じゃないから切創は無い。

 そうか、あれで、クララさんは操られる意思に逆らって、オレを殺さないようにしているのか?

『ぬううううう!何だ?この痛みは?元就何してる』

 久々に聞いた。この頭に直接話しかけてくるのはレオンだ。

「今まで何やってたんだよ?死んだかと思った」

『いやあ、電撃らしきものを喰らって、気を失っていたんだ』

「オマエに聞きたい事がいっぱい有るが……今、緊急事態だ。レオンの力を借りたい。でないと、オレ達は死んじまう!」

 魂を乗っ取られる問題はこの際、考えない事にする。

『そのようだな。どうすればいい?』

「他人を操る能力が有ると言ったな。あの人形使い魔を操る事が出来るか?」

『容易い。じゃあ、もう一度、使い方を説明する』

「早くしてくれ!もう、オレは持たないぞ!」

この会話の間、オレはエレーヌさんのレイピアを神威で防ぐので精一杯だ。神威は抜かずに鞘に納めたままだった。もう、鞘はボロボロだぜ。

『面倒だ。我が直接、あの使い魔を操る。任せろ』

 とレオンが話した瞬間、あのヘンテコな金属を引っ掻くような音が止んだ。

エレーヌさんはオレへの攻撃を止め、振り向きざまにベテルギウスに向かってフルーレを投げつけた。

 見事、ベテルギウスの額に突き刺さり、その使い魔は黒い粉となって……消えた。

「ああああ……元就君!」

「元就さん!死なないで!」

 エレーヌさんとクララさんが武器を捨てて、オレを抱き起してくれた。オレはもう、立つ事もままならなった。彼女達の不安げな顔、その心内がストレートに現れた表情を見て、彼女達が元に戻った事を確信した。


「どうした、戦闘天使。何故貴島へ止めを刺さない!どうした?俺の言う事を聞け!命令だ!」

 オレを抱きかかえる彼女達の腕の隙間から、サーベリオンが見えた。ヤツは酷く狼狽している。そのサーベリオンを睨む、お二人。

「レオン、助かったよ。武士の情け。最後にヤツへ一太刀浴びせなきゃ気が収まらん!」

 と、立ち上がろうとした時だ。サーベリオンのヤツがヤケクソになった。

「ち、チクショウ!どいつも、コイツも俺様に逆らいやがって!」

 遂にヤツは胸元から拳銃を出した。

「クララ!元就君を!」

「わかっているわ!」

 二人の天使様はオレに覆い被さるようにして、サーベリオンの凶弾から守ってくれようとしている。だけど、女の子に守れれるのはオレの本意じゃない。

 二人を、掻き分けてヤツに一太刀浴びせようとした時だった。

「元就!助太刀するぜ!後は任せろ!」

 その声は強烈で鋼の様な堅い意思と殺気を伴って現れた。

「忠勝か?」

 忠勝の声を聞いた途端、オレの戦闘意欲は薄れて行った。むしろ、忠勝にブレーキをかけないと、サーベリオンを本当に地獄へ送り込んじまう。

 忠勝はサーベリオンの前に立ちはだかった。

「来るな!撃つぞ……撃つぞ、撃つぞ!」

 シャン!と滑るような音を立てて、忠勝の愛刀【伊舎那】が振り降ろされた。

 サーベリオンが手にしていた拳銃はグリップを残して三分割に斬り裂かれた。忠勝の得意技。やはり、サーベリオンは忠勝の相手にはならん。武人としての格が違いすぎる。

「撃てるもんなら、撃ってみろ!今度は逃さん!」

 ヤバイ!忠勝はサーベリオンを討つつもりだ!オレは二人の天使様の腕の隙間から這い出て、止めに入った。

「忠勝、助太刀は感謝する。だが、オレにも一太刀やらせろ……それよりもお前は深井先輩と佐原さんを止めろ!」

 忠勝が振り向いた先で、深井キャプテンと佐原さんが未だにチャンバラをやっている。どうやら佐原さんの呪縛は解けていないようだ。

「わかった!」

 忠勝は深井キャプテンの方へ駆けて行った。


「いい加減、眼を覚ましなさい!私だって、いつまでも手加減出来ないんだからね!」

 深井澪は「はあ、はあ」と息を切らせながら、薙刀を構える。佐原イリアのロングソードの攻撃を薙刀でかわしていた。深井澪と佐原イリアの技量の差は大きく、イリアの剣を凌ぐのは容易かった。ただ、重く大きな薙刀を振り回す為、深井澪は体力の限界に近付いていた。しかも、深井澪はイリアに反撃が出来ない。

「澪姉!止めろ!」

 忠勝は澪とイリアのチャンバラに飛び込んで行った。伊舎那を構える。澪に向かって。

「はあ?あんた、何やってのよ!攻撃を受けているのは私なのよ!」

 その言葉に怯む事無く、忠勝はジリジリと澪との間合いを詰めて行く。

 対する澪も忠勝に向かって構える。伊舎那と正俊の切先が「キンキン!」と音を立てて触れ合う。

「俺は佐原イリアを守ると言う血判を交わした。相手が誰であってもだ!」

「あんたねえ!……馬鹿野郎としか言いようがないわ!」

 ドスッ!

「な!」

 イリアは忠勝の後に廻り、羽交い締めにした。そして、あろう事か、ロングソードを忠勝の喉元に当ている。

「動かない方がいいわ、島田先輩」

 動けば忠勝の喉を切り裂くと言うイリア。

「何のつもりだ?佐原!」

 忠勝は驚愕の表情であった。まさか、イリアがこんな事をするとは夢にも思っていなかった。イリアはか弱い女性で、守るべき存在であると、そう信じ切っていた。

「島田先輩……私を護ってくれるのですよね。そう、血判状の約束通り」

 イリアが眼を吊り上げて不気味に笑う。

「貴島先輩はダメだわ、もうボロボロで使えそうにない。でも島田先輩一人でも十分だわ!」

 イリアは忠勝を突き離す。すぐさま、イリアと距離をとって伊舎那を構える。

「これを見て下さいな」

 スカートのポケットから、血判状を取り出したイリア。ヒラヒラさせながら、忠勝へ見せびらかす。

「この約束状に嘘、偽りはないのでしょう?」

「ああそうだ。俺は佐原イリアを護ると誓った」

「だったらぁ……」

 イリアは忠勝にゆっくりと近づき、彼の右腕に自分の腕を絡めた。

「私と一緒に来てくれないかなぁ……悔しいけど、私には戦う力が無いし、汚れるのも嫌。島田先輩が私を護る為に戦ってほしいのよ……」

 忠勝は無言でイリアを見た。そして、愛刀の伊舎那を鞘へ納めてしまった。

「た、忠勝!何やってんのよ!」

 澪は薙刀を握り締め、慌てふためく。

「うふふふ……ありがと。島田先輩」

 イリアは忠勝に抱き付いた。澪を見定めて、不敵に笑う。

「そんな、紙切れ一枚で!」

 澪は薙刀で血判状を突き刺そうと飛び出した。鋭い刃がイリアに迫る。

 ガキッ!

 忠勝が鞘に収まった伊舎那で澪の薙刀を受け流した。血判状に薙刀が突き刺さる直前で刃の軌道を逸らした。

「おっと、危ない、危ない。御役目ご苦労だわ、島田先輩」

 だが血判状は左下三分の一を澪の一撃で削ぎ取られていた。丁度、【貴島元就】の部分が脱落した。

 イリアが「ちいっ!」と舌打ちをする。

「まあ、いいわ。どうせ、貴島先輩は重傷で使い物にならないから、後は金づるを連れて行けば……」

 イリアは忠勝の手を引き、歩きだした。澪はただ、茫然と見ているしかなかった。彼女は忠勝が自分の意思でイリアの味方に付いたとしか思えなかった。そしてイリアがただの少女ではない事が直感でわかり始めていた。



 オレはフラフラしながら、サーベリオンに向かって歩を進めた。ここは一発、頭のてっぺんだけじゃなくて、髪の毛全部そり落としてやろうかと思っていた。

 オレが一歩づつ、前に進むと、サーベリオンも一歩づつ後に下がる。もう屋上のフェンスが迫っていて逃げ場が無いよ、サーベリオン。

「クソッ!覚えていろよ!」

 ヤツが翼を広げた、飛んで逃げるつもりだ。チャンス!ヤツが飛び上がる瞬間をねらって、髪の毛を全部削ぎ落してやるからな!

 オレは神威を抜いた。

 ガッシつ!

「何?忠勝!」

 オレが神威を抜こうとした瞬間、柄の先に刀の鞘の先端忠勝の伊舎那の鞘にぶつけられた。オレは刀が抜け抜かなかった。

「このヘタレボンボン!行くわよ。あんたには少しだけ役目をあげるから!」

 佐原さんがサーベリオンの胸ぐらを掴んで引っ張っている。

「忠勝、一体なにを……」

 グサッ!

 オレの言葉を遮る激痛が胸に走った。その場が一瞬のうちに静まり返った。激しく痛む自分の胸を見る。

 そこには長い剣が突き刺さっていた。剣を握っているのは佐原さんだった。

「怪我人なら、カヨワイ私でも、剣を突き立てる事は出来るよ」

「ゴフっ……佐原さん、何で……」

 佐原さんはオレの胸に刺さっている剣を抜き、その傷跡に右手を突っ込んで来た。俺は堪らず、血反吐を吐く。桜子さんとの時とは全く違う。本当に苦しい。

「とった!」

 佐原さんは右手を引き抜いた。その手には銀色のボールが握られていた。

「そ、それを……返せ……」

 オレは必死に手を伸ばすが、意識がドンドン薄れて行く。もう、眼は見えなくなって、苦しいとかも感じない。

「さよなら、貴島先輩。宝玉は私が……」

 その辺りでオレの意識は無くなった。


 イリアは元就の血で真っ赤に染まった右手で白銀に輝く宝玉【レオンを握っていた】

「ʟ≶≬ɧΘ⊀ʗʑʎʗ、ΐʖΌɧʧѸҞӃ‡※‰Ѩ!」

 イリアが天使語で何か呟いた。その時宝玉は真っ白に色が変化した。

「いやあああああああ!元就君!」

 エレーヌが元就を抱きかかえた。もうピクリとも動かない。

「元就さん!しっかりして!」

「元就!」

 クララと澪も元就の下へ駆け寄る。彼女達は真っ青な顔で眼に涙を浮かべながら元就の胸を押さえ出血を止めようとしている。エレーヌも澪も制服を元就の血で真っ赤に染まっている。クララの法衣も赤く染まる。

「行くわよ、島田先輩、ヘタレボンボン!」

 イリアは絶望に打ちひしがれるエレーヌ達を横目に屋上を出て行った。忠勝はただ無言で元就を見つめていた。

「島田先輩、早く!」

 イリアに促されて、忠勝も屋上を降りた。



「クララ、医療キット!」

 エレーヌはクララに手を出して医療キットを催促した。クララは法衣の下から医療キットのバッグを取り出した。

 クララは乱暴にバッグを開け、真っ白なガーゼを取り出す。それを元就の胸に当てる。エレーヌと澪がガーゼを押さえつける。純白のガーゼが深紅になる。

「まずいわ、クララ!このままじゃ、元就君は……」

 エレーヌは涙を零しながら、必死に手当をする。

「エレーヌ、元就さんをこのまま神界の野戦病院へ運ぶわ!」

 クララはイヤリングを引きちぎり、大鎌を出現させた。その大鎌で、元就を囲む四人の周り、屋上の床をグルンと楕円状に斬り裂いた。

「ごめんなさい!深井さんも一緒に来て下さい!」

「えっ?ど、何処へ」

 戸惑う澪を無視して、切り裂いた屋上の床は意識の無い元就達を乗せたま、高速エレベータのように、天空へ向かって垂直に上昇し出した。

「死なないで!元就君!」

 エレーヌの心からの願が籠った、叫び声が青天の空に響き渡った。



 屋上から降りる階段、周囲を警戒しながら、廊下を駆けるイリア以下二名。彼らは美術準備室の前で立ち止まった。

「島田先輩、ここ、開けて」

 イリアが指差す準備室のドア。鍵が掛ってる。忠勝は愛刀で一閃。鍵のみを斬り、ドアを開けた。

 周囲を警戒しながら、中に入る。

「ねえ、ヘタレボンボン。貴方の家は名家だったわね。連れてって頂戴」

 イリアはサーベリオンの胸に人さし指を突き立てて、命令している。これにはサーベリオンも怒り心頭となった。

「何だと!てめえ、妖精風情が名門サーベリオン家の跡取りに対して無礼だ!この場で死刑にしてやる!」

 サーベリオンはイリアの髪の毛を掴み、引き摺り回そうと手を伸ばした。

「馬鹿ね……島田先輩、お願!」

ばちーん!

「はれええあ……」

 忠勝の平手打ちがサーベリオンの左頬を直撃。打たれてその場を転げた。

サーベリオンの顔には綺麗な紅葉のような赤い手の跡が付いた。

「あんた、本当に馬鹿ね。あんたみたいなヘタレが島田先輩に勝てる訳ないでしょ!黙って私の言う事を聞きなさい!」

「は、ハイ」

 左頬を擦りながら、床に尻を付ている。非常に情けない恰好のサーベリオンを上から目線で蔑むイリア。その眼に根負けして。サーベリオンは左腕からロングソードを抜き出した。そのロングソードを使い、美術準備室の床を丸くくり抜いた。そのくり抜いた場所にイリア、忠勝、サーベリオンが立った。

「い、行きます」

「さっさとしなさい!グズ!」

 イリアがつま先でサーベリオンを小突いた。それが合図のように丸くくり抜いた準備室の床が地下に降りて行く。

 忠勝は押し黙ったまま、ただ、ただ、空を見つめる。何処に焦点を合わせる訳ではなく、遠くを見つめている。左手に伊舎那を納めた鞘を握り締めながら。

 その忠勝の顔を下から覗き込む瞳が二つ。好奇心に満たされ、キラキラと輝く瞳で、忠勝を覗き込んだ。

「ねえ、貴島先輩の事、心配なんですか?」

 イリアは忠勝の顔だけではなく、心の中も覗き込む。

「当然だ!ヤツは俺が倒すべき相手だ。ここで死なれては困る」

「私は島田先輩に何かあったら困ります!」

 イリアは腕に嵌めているブレスレットを外して、忠勝の右腕に嵌めた。忠勝は右腕を掲げブレスレットをマジマジと見つめる。

「御守りです。島田先輩を守ってくれます。島田先輩は私を守って下さい」

 忠勝は初めて、イリアの眼を見た。黒い瞳には不思議と濁りが無いように思えた。イリアはニコッとほほ笑んだ。

 忠勝は複雑な気持ちだった。イリアと言う少女に何か感じられる物が有った。

 ズウウンと低い地響きのような音を立ててエレベーターが停止した。そこは暗く湿度が高い場所だった。湿気とカビ臭さが鼻に付く。眼の前には木製のゴツイ扉が有った。サーベリオンが扉を開けてくれた。

「ここが俺の家……クルナス城だ」

 扉の先は明るかった。長い廊下が拡がる。サーベリオンの案内で廊下を進んだ。

「なあ、佐原、父上様に会ってどうする気だ?」

 ドガッとサーベリオンの脚を蹴ったのはイリアだ。頬をプーと膨らませて怒っていた。

「佐原様と呼びなさい!この馬鹿犬!」

 イリアに怒鳴り付けられてシュンとするサーベリオン。もうその姿には名門の跡取りの威厳は消え失せていた。

 忠勝は「俺には関係ないね」と言う澄ました顔で前だけを見据えている。そして左手の伊舎那はすぐにでも抜けるように、鍔へ親指をかけていた。

「若様!クランツ様!」

 元気よく駆け寄って来る少年が一人。蝶ネクタイ、タキシード、白手袋。その出で立ちから、執事と思われる。だが執事と言うには若すぎた。忠勝やイリアと歳は大差が無いように見えた。

 忠勝は立ち止り、左足を半歩後ろへ下げた。半身に構え、伊舎那の柄を握る。そしてその目は執事に注がれている。

「おお、ペッター。父上は居るか?至急お目通り願いたい」

「はい、クランツ様、直ちに」

 良く訓練された執事だと感心する忠勝。執事は会釈をして忠勝達を案内する。

 お目当ての場所に到着したようだ。無駄に大きく派手なドアだと思う忠勝。ドアの大きさは天井知らずにデカイ。

 日本家屋の襖とは相対する扉であると思う。襖は機能美、この扉は虚飾と呟く。

ゴゴゴゴゴゴゴ!と音まで豪華さを伴う扉が開いた。

 扉の中へ案内された。部屋と言うには余りの広さ。白い壁は艶がキラキラと光る大理石。床には毛足が長い真っ赤な絨毯が敷き詰められている。忠勝は場違いな場所に来てしまったと思う。

奥行きも広い。その突き当りエンドは一段高く。大きな椅子が一つ置かれている。椅子の脇に長く煌びやかな装飾が施された(つるぎ)が備えられているのを忠勝は見逃さなかった。

 椅子には大柄で編上げのブーツと身体をすっぽりと覆った白いマントの男が座っていた。

「父上様!」

 クランツが父と呼ぶ白いマントの男の前に行く。

「この馬鹿野郎!あれほど人間界へ行くなと言ったではないか!しかも転校までして、人間にでもなるつもりか!愚か者め!」

 ドッ!と鈍い音がした。白いマントの男のブーツがクランツの腹にめり込んだ。クランツは堪らず腹を押さえ蹲る。ゲホゲホと咽返る姿を見て忠勝は「さすがに可哀想だ。あれは本当に父親のすることか?」と思う。自分にも似た経験が有る為か、クランツに対して同情心が出て来た。

「クランツ!そこにいる下賤の輩は何者だ?妖精と人間か?あんな汚らわしい者たちを我が城へ招きいれるとは、何処まで馬鹿野郎な息子だ?さっさと始末して捨てて来い!」

 白マントの男の視線が忠勝とイリアにその視線が注がれた。男は厳しい目つきで見入る。忠勝はその視線に冷たい殺気を感じてた。思わず、その視線を受け白マントの男に対して殺気を放つ。

「なんだ?その反抗的な目つきは?人間如きが、頭に乗るな!」

 白マントの男は立ち上がった。今し方まで座っていた椅子に備え付けられていた(つるぎ)を抜き取り、忠勝目掛け、ギシギシとブーツの音を立てて歩いてくる。

「恐れなら、閣下。これをご覧ください!」

 ひと際大きな声で、白マントの歩みを止めたのはイリアだった。男の片膝を付き、頭を垂れる。白マントが歩みを止めた理由はイリアが差出した手の上にあった。

「それは……レガリアか?貴様何処で手に入れた?」

 イリアは顔を上げ、男と視線を合わせる。

「貴島元就の身体より奪いました。閣下の望むものはここに有ります」

 男は宝玉を見入る。何かに気付いたような笑みを浮かべた。

「やるではないか。それにレガリアに封印を掛けたのか?」

「はい、封印は掛けた者しか解く事ができません。閣下が私をこの場で御手討ちすれば、この宝玉はただのボールになってしまいます」

「俺が、そのレガリアを欲している事を、何処で聞いた?」

「はい、御子息が宝玉を渡せと貴島元就へ迫っていたからです」

 男もニヤリと笑う。それに対しイリアはほほ笑みを返した。横で見ている忠勝はイリアに関心していた。男に対して一歩も引かない駆け引きを見せている。俺には真似が出来ないと思う。

「女、何が望みだ?」

「はい……私、佐原イリアとこの者、島田忠勝を召し抱えて頂きたく存じます」

 男は腕を組み、黙考した。が、決断は早かった。

「良かろう、お前たちを召し抱える。そこのバカ息子や口ばかりの魔天使達よりも使えそうだ。そのレガリアを手に入れたのが何よりの証明」

「有難う御座います」

 イリアは深く頭を下げた。一方の忠勝は男から視線を逸らさない。

「そちらの男は……本物の狼のような振る舞いだ。犬にはならんと言う訳か。それもよいだろう。俺が必要なのは強い男だ。軟弱ものはいらん」

 男は、執事を呼んだ。さっきのペッターだった。執事に指示を出す。そして、忠勝達に向く。威厳とオーラを放とうとして、力んでいると忠勝は推察した。

「良いか!お前たちの(あるじ)は俺だ。フランク・サーベリオンⅧ世だ。この名前胸に刻むが良い。レガリアは佐原イリアに暫らく預ける。命に代えて守り通せ!」

 イリアは再び頭を下げた。忠勝は仁王立ちしたままだった。


「クランツ様……大丈夫ですか」

 ペッター執事がクランツを介抱している。クランツはまだ、蹲ったままだった。

「ペッターよ、放っておけ!自分の脚で立てない者など、足手まといにしかならん!サーベリオン家の跡取りとして、自覚が足りなさすぎる!」

 男……フランク・サーベリオンは再び自分の息子を罵倒し始めた。ペーターがおろおろしている。多分このような事はこの家では日常の出来事なんだと、忠勝はため息をついた。

忠勝はクランツの傍に行き、彼を自分の右肩へ担ぎあげた。

「放っておけ!と言ったのが聞こえなかったのか!」

 フランク・サーベリオンが怒りを隠すことなく、忠勝を睨む。手にしていた(つるぎ)を持ちあげた。

 負けじと忠勝も伊舎那の鍔へ親指を掛け、鯉口を切った。

 忠勝とフランク・サーベリオンの視線が激突した。一瞬の出来事で勝負が付いてしまった。周りにいた者には全く見えない、感じられない戦いだった。戦いで、なんと、フランク・サーベリオンは怯んでしまった。背中に冷たい物を感じて、忠勝を一瞬恐ろしい物と感じてしまった。フランク・サーベリオンは他の者に気付かれないよう、平静を装う。

「あんたにとっては愚息かもしれないが、俺にとってはクラスメートで一応友達だ。これ以上の折檻は勘弁してくれ!」

 忠勝はフランク・サーベリオンにその一言だけを言って、大広間を出て行った。慌てて、イリアとペーターが慌てて忠勝を追いかけ、大広間を出て行った。

「ふう……何者だ?あの小僧」

 忠勝達が去って、大広間はフランク・サーベリオン一人となった。

 誰も居ないのを確認した。彼の顔は今、汗だくとなっていた。生まれて初めて冷や汗をかくのを感じていた。

 あの場で忠勝を無礼討ちにしなくて良かったと思う。忠勝に切り掛った瞬間、自分の方がかなりの高確率で返り討ちに遭う事が明白だった。

「あの小僧の強さは使える……使い終わったら、始末しないと危険だがな」

 フランク・サーベリオンは椅子に戻り、深く腰掛けた。

「まあ、いいさ。宝玉が手に入ったのだから、次のステップへ進む」

 フランク・サーベリオンはジェイソンを呼び出しそうと、電話を取った。


「なあ、ペッターさん。サーベリオンを何処へ運べばいい?出来ればベッドへ寝せたいのだけど」

 忠勝がペーターを呼ぶ。その顔は温和で普通の高校生に戻っていた。ペッターは少し驚いた。フランク・サーベリオンと対峙していた島田忠勝とは全くの別人のように感じられたから。

「あっ、済みません。あの廊下の角を曲がった所にある医務室へお願いします。そこにベッドが有ります」

 ペッターの指し示す方へ進む。ペーターがドアを開けてくれた。確かに医務室だと。消毒液の匂いが鼻に付いた。

 忠勝はクランツをベッドに寝せた。

「島田……」

 クランツはか細い声で忠勝を呼んだ。

「なんだ?」

「お、俺を友達と言ったな……め、迷惑だ。下賤の輩に友達は作らん!」

 忠勝は大きなため息をついた。呆れ顔になっている。

「もう、よせよ。サーベリオン、お前はあの親父さんと同じ道を歩く事は出来ないって自覚してるんだろ」

 その言葉を聞いたクランツは、悔しさの余り、眼にいっぱいの涙をためた。クランツは涙が流れないように、必死に堪える。

忠勝はその涙を見て見ぬふりをする。

「サーベリオン、お前の気持ちは良くわかるよ。俺も親父とは全く合わなかった。俺はそれを悟った時、親父と袂を分けた。俺は自分で自分の歩む道を作る事にしたんだ」

「全く、何だか哀れでしょうがないわね。幾ら馬鹿野郎でも同情しちゃうわよ」

 イリアとペッターが洗面器と濡れタオルを持ってきた。イリアが濡れタオルで汚れたクランツの顔を拭く。顔を拭くどさくさに紛れて、彼の眼の涙も拭いとった。

「有難う……そして今まで俺がした事は……済まなかったよ」

 クランツは初めて礼を述べた。心の奥底から出た言葉だった。



 オレは……眼に浸みる明るさを感じていた。真っ白な明るさ。随分と長く寝ていて、随分と長い夢を見ていたような気がする。その夢は……覚えていない。ただ、色んな人から「元就!」と名前を呼ばれたような気がする。

 段々と意識が戻ってきた。確か、オレは……佐原さんに胸を刺されて……死んだんじゃねーのか?

 もしかして、ここは天国か?そうなのか?

オレの眼は少しずつ見えるようになって来ているけど、真っ白で明るい事しかわからない。

 腕を動かそうとしてみた。力が入らなくて動かない。丁度、脚がしびれた様な感覚と同じだな。

 今度は指を動かしてみた。

 おっ!右手の人さし指が動いた。親指も動いた。右手に感覚が戻ってきた。右手の平に何か柔らかくて、ふわふわして、暖かい感触が感じられた。

 左腕も動かそうとした。

 ズキン!と痛みが走った。どうやら死んでいないらしい。生きてるから痛いんだと納得する。

 視界も段々とハッキリして来た。白くて明るいのは、どうやら、オレに大きな白い布の天蓋がドーム状に被っているからだ。そしてオレは、ベッドの様な物に寝かされているらしい。右手の感触はこのベッドの感触か。

 身体の状態を見ようと、視線を降ろした。

「?」

 声が出せないけど、驚いた。オレの胸に二本の太い管が突き刺さっていた。ビニールみたいな管。赤色と青色の管だった。丁度心臓で、佐原さんに剣を付き立てられた位置に刺さっている。

 何だ?これはと思い。管がどこへ繋がっているか確認する為、赤青の管を自分の胸から視線で追い掛けた。

 オレの胸からぴょんと飛び出した管は、胸の上、二十センチくらいの所で右側にカーブを描いていた。そのカーブの先、オレは更に視線で管を追いかけた。

「??」

 右隣り、オレとくっ付きそうな至近距離に半裸と言うか、全裸と言うか……大事な所だけにタオルを掛けた女性……エレーヌさんが寝ている。それよりも驚いたのは、オレの胸から出た赤と青の二本の管は、そのまま、ダイレクトにエレーヌさんの胸に差し込まれていた。

「な、なんじゃこりゃ?」

 オレは、ここで初めて、声を出す事が出来た。

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