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自問自答~side.災蓮~

このテストの目的とは何なのか

玲一れいいちは自問自答していた。


入学したばかりで、互いの実力なんて当然知らないし、分からない

性格も―分かりやすい奴は分かりやすいが―よくわからない

そんな相手と組んでの『サバイバル演習』

いつもなら、もしくは個人なら、お互い見知った相手同士で策を練れば可能なことすら不可能になるかもしれない

見ず知らずの他人に自分の命を預けるなんてこと、出来るはずがない


それは玲一自身も例外ではない

しかしそれでも、ただの馬鹿なら手綱を握って巧く操ってしまえばいい

けれど――と、自らのルームメイトであり今回のパートナーでもある少年を見やる



「んだよ」

「…べつに」



一言で言ってしまえば野性的

加えて戦闘好き

単純といってしまえばそうなのだがバカではないのだ

というか馬鹿ではあるかもしれないがアホではないだろう

なにより戦闘能力は比べるまでもない位自分と差がある。


玲一に襲い掛かってこないのは戦ってもつまらないから

その一点のみ


玲一は確かに体力等は平均あるかないかであり戦闘を行うつもりは玲一本人にもない。


その頭脳や洞察力を駆使して仲間のサポートにあたることが適していると自分で理解していた

当然これから先ずっと仲間というわけにも行かないであろう彼に自分の能力を語るほど玲一は馬鹿ではない

だというのに彼、陰陽おんみょう 吉昌よしまさはそれを理解しているようであった

と、いうより感じ取ったという方がしっくり来るのかもしれない



(獣の感…か)



情報も少ない者達を相手にするというのにパートナーが一番扱いづらいとは…

ため息をついてってしょうがないと玲一は思った

というか誰だってそう思うに違いない

…馬鹿でなければ



「あー…つまんね。なにかいねーかな…。

ま、最初から戦える可能性があるってのはいいんだけど」



吉昌のような者には大歓迎な演習でも玲一のように情報を武器にするような者にいきなりの実戦は最悪だ

あまりの相性の悪さにもし自分の不得意な直接的戦闘になった場合どうするか…

などと最早もはや確定事項として対策を考えはじめる

最悪の事態を想定しておけば被害は少ないというが、そんなもの本人の手腕であるのだから


想定はしましたが対処できませんでした


最悪すぎる。というかどこの間抜けだ

この学校にいる中でそこまで間抜けな奴はいないだろう

玲一本人だって例外ではない



「いつまでも動き回ってたってしょうがない。

拠点を決めるか今日休む場所くらい探すべきだと思うけど?」

「休む…?疲れてもないのに休めるかよ。

それに、オレは戦いたいんだ。強い奴と戦えるんなら別にテストの結果がどうなろうといい」



玲一は違う。

評価は高い方がいいのだ

必要な情報をスムーズに手に入れるためにも、印象がいいにこしたことはないのだから



「しかし……どうしたんだい?」

「んー?気付かねぇ?ま、まだ結構距離あるけど――人の気配だ!

で?どうする?オレは聞くまでもなく狩るけど」



気配?…野生の感というのもあながち間違ってはないというのか





玲一は自問自答する

どう行動すべきかと

そして答えは―――




「ライバルは、減らしておこう」




目的も、判定基準も、合格ラインも合格できる人数も


一切が不明なテスト


ならば、まだ余裕のある初日で障害は減らしておくべきだ


このテストが能力を見るためのものであるなら尚更である


それが現段階での判断



「じゃあ行くぜ?遅れても置いてくし、危なくなっても無視するからな」

「頼るつもりはないよ」



ただ利用するだけ




きっと向こうはこちらの接近に気が付いてはいない

ならば地形を把握できれば片方を相手にすることもできるかもしれない



(問題は、相手だ)







さて、彼らの向かう先には――――?

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