第4話 天界教育審議会 vs 鬼教師―“正義”とは何か、天界の教壇で問う!
天界最高議事堂 ― 光の間
白く輝く法廷。
中央には巨大な秤の紋章。
そして被告席には地獄帰りの鬼教師、さっちゃん先生。
その隣で青ざめているのは、副担任の大天使ミカエル。
天界ニュースの天使たちが押し寄せ、取材用ホログラムを浮かべる。
「速報です! 体罰疑惑の鬼教師、審議会に出席!」
「天界教育史上初の“ビンタによる時空歪曲事件”!」
ざわつく議場。
そして壇上には、威厳に満ちた白髭の存在、天界校長、GOD。
「静粛に。これより、第777回 天界教育審議会を開廷する。」
◆告発側 ― 天界教育庁長官セラフィム
「被告・さっちゃん先生は、3年ONI組の生徒に対し“暴力的行為”を行いました。
天界教育法では体罰を厳禁としています。弁明は?」
マイクを向けられても、さっちゃん先生は腕を組んだまま。
その目は鋭く、しかしどこか寂しげだった。
「弁明なんていらないわ。叩いたわよ、確かに。でも、それは壊すためじゃない。繋ぐためよ。」
議場にざわめき。
セラフィム「教育に“暴力”が必要だと?」
さっちゃん「必要ないわ。でも、“言葉だけで届かない心”もあるの。」
◆証人席に立つ ― 善人ウラト
白いローブに着替え、静かに証言席へ歩くウラト。
議場の視線が集まる。彼の頬にはまだ、赤いビンタの跡が残っていた。
「……俺、あのビンタ、嬉しかったっす。
誰も俺を叱れなかった。誰も、俺の“本音”を見なかった。でも、先生だけは違った。」
セラフィム「生徒を殴らせて“感謝”するなんて、間違ってる!」
ウラト「違わねぇよ。あれで初めて、俺たちは先生を“先生”だと思ったんだ。」
偽善バイクも手を挙げる。
「俺も……本当はビビってた。でも、あの鬼教師が教えてくれた。怖くても、ちゃんと向き合うこと。」
慈愛アイコが涙をぬぐいながら言う。
「もう……無視なんて、したくない。」
議場が静まり返る。
天界の光が柔らかく差し込む。
GOD、静かに立ち上がる
「さっちゃん先生。」
「はい、校長。」
「おぬしのやり方は、天界のルールには反しておる。
だが心の在り方は、天界そのものを思い出させてくれた。」
ミカエル「えっ……てことは、無罪ですか!?」
GODは微笑みながら杖を突き立てた。
「よって、さっちゃん先生の処分を保留とする。
だが……次にやったら、首だ。」
さっちゃん先生、深々と頭を下げる。
「了解です。……次はビンタじゃなく、言葉で殴ります。」
ミカエル「それもどうかとーー!!」
◇◇◇
3年 ONI組の教室にて
放課後の教室。
夕陽に染まる窓辺で、生徒たちが机を並べて掃除している。
善人ウラトが、黒板に大きく書く。
『ありがとう、鬼先生』
その文字を見て、さっちゃん先生は少しだけ笑った。
「ふふ……天界も悪くないわね。」




