歩けるようになったら情報収集が加速した件
転生して数年。
私は、転生幼女として順調にスペックを解放していた。
まず歩けるようになった。
これが大きな武器になった。
そんなことが?
と思うだろ。
情報収集には歩けることが大切なのだ。幼児には…
かといってどこでもいつでも自由に歩けるわけではない。
そこは幼児としての武器をフル活用する
ただの落ち着きのない子、元気な子、なんでもいい歩くことを正当化する演技するだけだ。
おかげで廊下を歩きながら誰にもバレず情報を盗み聞きできる幼児へと進化した。
「……へえ…。今日の寄付金は銀貨3枚、と。」
私は柱の陰から修道女――いや、資金管理責任者のメモを覗き込みながら分析する。
(銀貨3枚。子供20人。シスター5人。単純計算で――)
脳内で電卓が高速回転した。
(……足りない。完全に赤字運営。)
現世では何十億という資金を動かしていた私が、今はパンの残りカスを見て涙ぐむ仲間たちと暮らしている。
人生は実にランダムである。
ある日、私は歩きながらふと思った。
「……これ、経営破綻寸前の施設じゃない?」
ただの孤児院ではない。
これは倒産寸前の会社だ。
子供たちは社員?生産性は全くない。
シスターたちは経営陣。
そうだろ…
寄付者は投資家?顧客?
顧客か…
収入は不安定、備品は古く、修繕費はゼロ。そして未来の展望は霧の中。
――私は悟った。
「……これは再建案件だ。」
シエラ。元ファンドマネージャー。
市場を操り、利益を積み上げ、人の欲望を武器にしてきた女。
そんな私が――この世界ではただの幼女。
だが。
幼女は幼女でも、経済感覚のある幼女。
――差は歴然だ。
私は窓から外を眺めた。そこにはこの世界の村、教会、遠くに商会らしき建物。
行き交う馬車。露店。商人。貨幣。
この世界は、市場がある。
ならば――
「……いける。」
私はゆっくり立ち上がり、ニヤリと笑った。
「――まずは資金源の確保からだ。」
孤児院の再建。
幼女の成り上がり。
世界経済の掌握。
全ては、ここから始まる。




