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ドラゴンは幸せが分からない  作者: ほのぼのる500
目覚めと国を捨てた冒険者
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3

―元冒険者 ガルガ視点―


 目の前の存在に圧倒され、言葉が出ない。まさか物語の中でしか存在しないと言われていたドラゴンが、本当にこの世にいるなんて。

「ははっ、ここにきて正解だったな」

 俺はメディート国に所属していた元冒険者。元孤児の俺は、生きるために冒険者になった。ある時、スタンビートが起き、友人の住む町を守るために命を掛けて戦った。なんとか勝利をおさめ、町を守った時は本当に嬉しかった。そしてその功績が認められ、俺の名は勇者としてメディート国に広まる。

 あの時はとても嬉しかった。それまでの苦労が報われたようで。

 ただ、俺の事をよく思わない者たちに狙われる結果にもなってしまったが。今までは、なんとか奴等の張った罠を掻い潜って来たがとうとう冤罪で捕まった。冒険者仲間たちのおかげで助かったが、メディート国は俺を切った。「勇者の名を二度と語るな」と。今までメディート国のために、体を張って来たというのに。

 冒険者として、メディート国を守ることが虚しくなった。だから俺は、冒険者を止めてメディート国から出た。仲間たちは止めてくれたが、あの虚しさはどうしようもなくて……。

 メディート国を出て、途方に暮れた。何をしたらいいのか、分からなかったから。今まで俺は、誰かに俺という存在を認められたいと頑張って来た。親に捨てられた俺でも、皆の役に立つのだと。

 でも俺は、国に捨てられた。

 どこに行こうか。何をしようかと迷っている時、冒険者仲間から聞いた「ドラゴンの森にいる賢者」の話を思い出した。

 本当に賢者がいるのか、分からない。でも、俺にとっては神からの啓示のように思った。だから、ドラゴンの森に来た。まさかドラゴンの森に着いて二日後に、メディート国の騎士たちと戦う事になるとは思わなかったけどな。

 少し前からメディート国では噂が流れていた。国王が、ドラゴンの森を攻めるのではないかと。だが、ドラゴンの森には獣人たちがいる。彼等は、ずっと森を守り続けてきた存在で、その力もかなりのもの。だから、俺たちの間ではただの噂話として片付けられていた。

 ドラゴンの森に着いて二日後。空を沢山のワイバーンが飛び回っていた。すぐに、メディート国の中でも最強と言われているドラゴン部隊だと分かった。そして噂が本当だったという事も。

 ドラゴンの森では、あちこちで戦闘が開始された。メディート国の地上部隊と獣人たちが戦っている中、空からのドラゴン部隊が攻撃する。仲間をも巻き込む攻撃に、メディート国に対して嫌悪感を覚えた。だから俺は獣人たちと共にメディート国の騎士たちと戦った。

 だが、ドラゴン部隊の圧倒的な力に獣人たちはどんどん倒されていった。このままでは確実に負けるとなった時、地面が大きく揺れた。あまりの揺れに、戦っていた者たちは動きを止める。

 ドラゴン部隊はそれを好機と見たのか、空から一斉に攻撃を始めた。獣人たちもメディート国の騎士たちも多くの者が、死んだ。次の攻撃がくると身構えた瞬間、地面が今まで以上に大きく揺れ地下から巨大な存在が姿を現す。

 最初に見た時、それが何か分からなかった。本で見た事はあった。でもあれは、物語の中にいる生き物。だから、見た事がある筈なのに、それが何か頭が理解しなかった。

「ドラゴン様だ」

 獣人たちの叫び声と歓声で、ようやくそれが何か理解した。

 空が真っ赤に染まった。空にいたドラゴン部隊が一瞬で消えた事実に体が震える。あれほど、圧倒的な力を見せつけていた者たちが一瞬で消えたその事実に。

 ドラゴンの登場に、メディート国の騎士たちはあっけなく死んで行く。それを見ながら、苦笑してしまった。少し前まで彼等を仲間だと思っていた。でも今は、彼等が死んでいるのに何も感じない。

 あんがい、自分は冷たい人間だったのだと知った。

 ドラゴンを追うと、崖の上に降り立つのが見えた。目的があったわけではない。ただ、目の前でドラゴンを見たかった。だから、急いで崖を登りドラゴンの前に出た。

目の前にしたドラゴンは、あまりに強く美しくて。なによりドラゴンが持つ驚異的な力に、俺はまだまだ弱いのだと教えてくれた。


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