CAMERA DA LETTO DEL MATTINO 朝の寝室 II
「な……?」
レナートは表情を凍りつかせた。
ぼうぜんとしながらも、イザイアにさし出された書物を習慣と思われる動きで受けとる。
「むりに起こしにこなくともいいと言っているのに……」
ジュスティーノは、イザイアの横でゆっくりと上体を起こした。
せっかくイザイアと朝まですごしていたのだ。
家の執務からも解放されたときくらいは、もっとダラダラと二人でベッドですごしたい。
「な……」
レナートは大きな青い目を見開き、ふらりと後ずさった。
二、三歩ほど後ずさったかと思うと、ふいに我に返った表情になり窓ぎわまで一気に後退する。
「なぜジュスティーノ様のお部屋に!」
「若君には、きちんと "ベッドをお借りする” とお断りしたが」
イザイアが長い髪をかき上げる。
「なぜ裸体で!」
「情交したからだろう」
イザイアが何でもないことのようにサラリと言う。
レナートにはとうに関係を知られているのだ。見られてもまあいいだろうとは思ったものの、やはりこの状況であけすけな説明をされると気恥ずかしいなとジュスティーノは思った。
レナートは、ベッドからだいぶ距離を置いた窓ぎわでカーテンをにぎっていた。
威嚇するように声のトーンを落とす。
「……いけしゃあしゃあと」
「恋仲同士が裸で同衾するなど、知らない年齢でもあるまい、従者殿」
「なにが恋仲!」
レナートが声を張り上げる。
恋仲と言ったか。
ジュスティーノはイザイアのセリフを頭のなかでくりかえした。
うれしさと照れでうつむく。
「なにをたぶらかされているんですか! ジュスティーノ様!」
「いや……」
たぶらかしだということくらい分かっている。
それでも心があまく締めつけられる。
昨夜は、途中で名前を呼んでくれていなかったか。
いつもはからかうような口調で「若様」と呼ぶのにめずらしい。
「ゆうべは若君と楽しかったよ、従者殿」
イザイアがふたたび口の端を上げる。
「ぬけぬけと!」
「ご報告申し上げただけではないか」
イザイアは立てた膝に片腕をあずけて、肩をすくめた。




