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底辺ダンジョン配信者、奇襲する

「ガアアアアァァァァッッ!!!グアアアッッ!!!!」


 キュクロプスの分厚い皮膚にはアリサのレイピアが深々と突き刺さりどす黒い血が流れている。激痛に暴れ狂うキュクロプスから振り落とされないように耐えながら海斗は力を込めてさらにレイピアを押し込む。


「あと少しだ、ってやばい!」


 海斗の存在に気づいたキュクロプスに掴まれてしまう、怒りに任せてそのまま邪魔者を握りつぶそうと指に力を入れる。


「あっぶねぇ! 保険で塗っといて助かったぜ!」


 するりと指をすり抜けるとレイピアを引き抜いて地面に降り立つ。海斗は下着を残して服を脱ぎ「スライムの粘液」を体に塗り込んでいたのだ。


・ミンチ回避乙

・流石に臓物シャワーは求めてないからな

・ほんとにキュクロプス襲ってこなかったな


「てめぇがバカで助かったよ。美人に夢中になるのは分かるが周囲をもっと見た方がいいぜ!」


 キュクロプスが誘い出された場所、それは海斗達が落下した小部屋だった。海斗は

キュクロプスと入れ違いに一つ上の階層へ向かい、2つの階層を繋ぐ縦穴から待ち伏せしていたのだ。


「アリサ! かなりダメージは入ってる、あと少しだ」

「大丈夫? 思いっきり掴まれてたけど……」

「へーきへーき、それよりあいつだ」

 

駆け寄ってきたアリサにレイピアとマチェットを交換する。致命傷にはまだ足りない、あともう一手必要だ。

 レイピアが引き抜かれたことでキュクロプスの首筋からはおびただしい量の血が溢れ出し、みるみるうちのその肉体を赤黒く染め上げていた。「シャドウモスの鱗粉」による煙幕もじきに晴れるだろう。


「次の攻撃で決めるぞ」

「……ねぇ、君名前なんていうの」

「カイトだ、『DUNGEOUN(ダンジョン) LIFE(ライフ)ちゃんねる』で不定期に配信してる。絶対見てくれよ?」

「ふふっ、そうね絶対見るわ。ここまでしてもらって見ないなんてありえないでしょ?」


 顔を見合わせてお互い少し笑ってしまう。ああ、本当に綺麗な人だ。絶対に、生きて帰ろうと再び強く決意する。


・いけーー! 姫を死なせるなーー!

・ここまでやったんだ、ぶっ倒しちまえ!!!

・もしかしてガチで勝っちゃう?

・五分五分だな

・レベル差厳しいのでは

・うるせーごちゃごちゃ言ってない応援しろ!!!

・¥5,000 カイトとアリサ頑張れ!!

・¥120 俺たちのパワー受け取ってくれー!

・うおーーーーー!!!


 マジかよ、同接3000人とか初めてだぞ。こいつはいよいよ負けられなくなったな。


「行くぞ!!!」


キュクロプスの顔から煙幕が薄れていく、あと数秒後には完全に視界が開けるだろう。アリサと共にキュクロプスの(ふところ)まで走り抜ける。魔力は見えているはずだが、突然の動きに反応が遅れたのか俺たちの接近を許してしまう。


「「喰らえええ!!!!」」


 冒険者用スマホから放たれた強烈な閃光は、暗闇に慣れたキュクロプスの眼を完全にホワイトアウトさせた。


「—————ガァァァァァアアアッッッ!!!!」


 ダンジョンの様々なシチュエーションに対応するため、冒険者用スマホには様々な機能が搭載されている。高出力フラッシュライトもその一つだ。普通に目に入れるだけでしばらく視力を失うような代物だ、デカい目玉には相当な激痛に違いない。


「はあああぁぁ!」

「シュッッ!」


 マチェットとレイピアの連撃がキュクロプスの肉体を傷だらけにしていく。前後不覚になっている今がチャンスだ、とにかくダメージを与えなくてはとガムシャラに刃をふるい続ける。


「……ッ、……グッ」


 キュクロプスは腕で頭を守るのに精いっぱいで反撃することすら出来ない。既に数十の剣戟を浴びて息も荒く、じりじりと後退している。


(このまま押し込めれば、倒せる!)


そのまま切り刻み続け、入口付近までキュクロプスを追い込んでいった。キュクロプスは背を向けて小部屋の入口で座り込んでしまった。


「いけるっ! もう立ち上がる体力もないんだわ!」


 アリサが背中にレイピアを何度も突き立て攻撃を続ける。今の所、作戦はすべてうまくいっている。だが、海斗は底知れぬ不安を感じていた。逆に嵌められているようなそんな気がしてならなかった。

 そんな事を考えているとキュクロプスに動きがあった。おもむろに立ち上がると砲丸投げのように大きく振りかぶってこちらを攻撃する体勢を取ったのだ。


「アリサ! 気を付けろ」

「大丈夫! あいつの腕のリーチは完璧に把握してるわ」


 最後の足掻きだろうか、血の川ができるほど出血している以上もう満足に戦えないだろう。

キュクロプスは力を振り絞って、腕を薙ぎ払うように攻撃をする。俺たちは難なくその攻撃を回避しとどめを刺す…………はずだった。


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