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仲違い  作者: 立石文作
8/9

由紀子の友情

 由紀子は、千佳が何をそんなにこだわっているのかがわからなかった。告白の事は、誰にも話したくないし、触れてもほしくないということが、どうしてわかってもらえないのか?

 そういえば、千佳は昔からこんなふうに、由紀子が望まないことや、そうして欲しくないと思っていることを、敢えてやろうとするところがある。

 例えば由紀子が、小学校を休みがちになった時である。久しぶりに登校して、なるだけ目立たないように、ひっそりと学校生活に戻って行きたいと思っているのに、病弱なお嬢様キャラとふれまわって、みんなにいじらせようとしてきたり、また中学校に入学したてで、部活と塾の両立に頭を悩ませていた時に、ちゃらちゃらした不良の多いグループと仲良くするように勧めて来たり……。

 千佳からしたら、由紀子が周囲とうまく馴染めるようにしていたことなのかもしれないが、由紀子からしたら、ありがた迷惑でしかなかった。由紀子は、もともと誰とでも仲良くなる必要はないと思っていて、周りに媚びたり、自分が我慢をしなければならないような友人関係に、本当の価値があるとは思えなかった。

 千佳は、昔から孤立しがちな由紀子の事を気にかけて、いろいろと世話を焼いてくれるが、逆に由紀子は、千佳の事が心配になることがある。なぜなら、千佳がいつも周りに合わせて自分を押し殺し、いじられキャラに甘んじて、実は蔭では泣いている事をよく知っていたからである。由紀子は千佳に、もっと自分を大事にしてほしかった。自分にとって不当な要求は、はっきり拒絶してほしかった。その結果、千佳の周りから誰もいなくなったとしても、それでいいではないか。たとえそうなっても、由紀子だけは千佳に寄り添っていようと思っていた。かつて千佳がそうしてくれたように。それが、由紀子の思う友情であった……


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