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第22話 死闘

突然の来訪者に全ての者が振り返る。

インフェルノを使える者は、

過去に1人だけいたが既にこの世にいない

そして最近で使えるようになったのは、

国内でもただ一人なのだ……



「シャルロット様!」



みんながシャルロットに注目している中、

一人動き出す機会を狙っていた者がいる。



それはカートである。

カートは緊迫した状況の中でも、

キャロルを助ける機会を狙っていたのだ。

シャルロットに注目が集まる中、

倒れているキャロルを連れてマリアの元に即座に移動する。



「マリア様、キャロルの回復を!」



マリアは頷き、すぐに治療を開始していく。

小さい頃から護衛として傍に居たキャロルを、

死なせるわけにはいかない。


マリアは走馬灯のように日々を思い出していく。

キャロルと初めて出会った時。

回復魔法を初めて使い喜び合った瞬間。

そして聖女として就任した時も泣いて喜んでくれた……




「キャロル、絶対に……

 絶対に、死なせない!」




そしてキャロルを救出された事に、

セシルは嫌悪感をあらわにする。




「良くやったわ、カート」



「いえ、シャルロット様、

 気をつけて下さい……

 いつものセシルではありません」



「まあ、そんな事だろうと思ったわ」




シャルロットは独自に調査を開始し、

セシルが今回の事件に関与しているのではないかと踏んでいた。



「ふふふ、私が裏切っていたなんて

 良く分かったわね」



「最近の誘拐事件、

 痕跡すら残さずに消えていた。

 それが出来る人物を考えて、

 固有魔法を使える者に探らせていたのよ」



シャルロットの部下に優れた固有魔法使いがいる。

その者のスキルを利用して調査をしていた。



「迂闊だったわ……

 まずはその者を始末するべきだったわね」



「でも遅いわ、セシル……

 あんたはここで倒す」



「シャルロット殿下、

 残念ながら貴方では私には届かないわ

 貴方程の才能なら後5年有れば、

 良い線いってたかもね」



不敵な笑みを浮かべながら、

そのように言い放つセシル。

剣術レベル7、高速剣を所持するセシルに対して、

シャルロットの持つスキルは剣術レベル3、

火魔法レベル4である。

更に5年分の年齢差があるセシルに対して、

身体、戦闘経験の両面で劣る。



「まあ、普通に考えたら実力差は歴然よね……

 でも、何故私がこの年齢で火魔法を

 急成長出来ると思う?」



一般的にレベルを上げるために数年はかかる。

13歳にして火魔法レベル4は異常な到達点だ。




「これは火の精霊王イフリートの契約の腕輪

 これを見てどういうことか、

 あんたなら分かるでしょ?」




「イフリートと……

 ふふふ、それなら少しは楽しめそうね」




火の精霊王イフリートの契約の腕輪は、

契約者のスキルレベルを大幅に上昇できる。

まさに国宝レベルの腕輪だが、

使用後は数日間激痛に苛まれる。



「炎の精霊王イフリート!

 私に、シャルロット・ルミナスに、

 力を貸しなさい!」



すると腕輪から赤黒いオーラが溢れ出し、

シャルロットを包み込む。

まるでシャルロットを喰らい尽くす勢いだ。




「す、素晴らしい!

 素晴らしいわ、シャルロット様……

 こんなにも、私が高揚するなんて!」




「うっあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」




突然の苦しみに耐えるシャルロット。

場内に響き渡る悲鳴に比例するように、

シャルロットの炎の出力が上がっていく。


そして、炎が蛇のように、

シャルロットの周りを螺旋状に回転していく。

更にシャルロットのスキルレベルが上がる。

剣術レベル6、火魔法レベル8。

この瞬間、ルミナス最強格の戦士へと昇華した瞬間だった。



「す、凄い、これが……

 殿下の真の実力なのか」



カートはシャルロットの実力に驚愕した。

更に、自分とは別次元の領域に達した、

シャルロットに恐怖すら感じている。



「お姉様……」



マリアは激痛に苦しむ姉に胸を痛めている。

更にこれから死闘を繰り広げるのを心配で堪らない……



「いくわよ、セシル」



苦痛に顔を歪めながら、精霊王の力を制御した。

今までのシャルロットとは全く違う強者の風格を漂わせている。



「さぁ、私を悦ばせて……」



咄嗟に高速剣を繰り出すセシル。

しかしその攻撃に対して、

シャルロットは螺旋の炎で防いでいく。



「これは厄介ね」



この炎がある限りセシルの先手を凌げる。

セシルの高速剣を凌ぐ手段は無いと思われたが、

まさかそれをやってのけるとは思いもしない。

誰しもが信じられないと目を見開いている。



「こちらからもいくわよ!」



高速で魔術を連続発動する。

セシルの足元、正面、背後、

左右の五方向に魔法陣が生まれ、

インフェルノを5連続で繰り出した。




「インフェルノ・プリズン」




まさにインフェルノの牢獄。

逃げることの許されない一撃が、セシルを襲った。




「や、やったか?」




カートが思わず呟く。




しかし暗黒のオーラを身に纏うセシルが上空を飛び上がり、

インフェルノの牢獄の隙間から逃げ出す。

飛翔系のスキルなど持ち合わせていない。

ただ単に脚力のみで上空を駆け上がった。



「残念ね……

 牢獄の上部に隙間があったわ」



上空に飛び上がっているセシルは言い放つ。

しかし、その動きを予期して、

シャルロットが目前に迫り攻撃を繰り出した。



「そこに誘導したのよ……

 ここなら必ず外さない!

 地獄の業火」



回転する炎を直接セシルに浴びせる……

イフリートの固有スキル、地獄の業火。

この大技はシャルロットが持つ技の中でも最大火力の技だ。

しかし、特に当てるのが難しい。

連続技からのコンボで完璧に当てて見せた。

シャルロットが苦しんできた以上の熱をセシルに与える。



「ぅあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」



セシルの悲鳴が鳴り止まない。

誰しもが仕留めたと確信する。

その瞬間……



「ぁぁぁぁぁぁアハアハハハハハ」



悲鳴の途中から少しずつ笑い声に変わる。

その笑い声から余裕を感じてしまう。




「っく……」



まさかこれでも仕留められなかったのかと、

シャルロットは唇を噛み締めた。

炎の中から黒いオーラが透けて見える。



「アハハハ、危なかったわ……

 これがなかったら、私は死んでいたわ」



そしてセシルは手から宝剣を取り出して、

見せると同時に宝剣は崩れ去った。



「ま、まさかルミナスの宝物庫から盗まれた、

 奇跡の宝剣……

 あんたが宝物庫から盗んだ犯人なの?」



ルミナスの秘宝の中でも最上位の宝剣。

一度だけ死に至る傷を負っても、

宝剣が身代わりになることが出来る。

宝物庫から盗まれた宝剣は目の前で崩れ去った。



「この宝剣を持っていなければ、

 私は死んでいたわ」



今までよりも歪んだ笑みを浮かべつつ、

シャルロットを見つめる。



シャルロットは連続で大技を使い、

大量の魔力を消費している。

明らかに疲れを見せており、

シャルロットの螺旋の炎も消えてしまった。



「今のは、とっておきだったんだけどな」



「シャルロット殿下、素晴らしい才能だわ……

 でも、もう終わりね」



シャルロットの方へと急接近するセシル。

そして高速剣が繰り出される。

剣聖に対して、剣のみで戦うのは分が悪い。

胸を突き刺され更に蹴り飛ばされてしまう。






「お、お姉様っ!」






「マリア……に、逃げて……」






「いや……いやだよ……

 ……おねえちゃん……」






ルミナス最強の剣聖セシル。

シャルロットへの最後の攻撃を繰り出した。

しかし、その一撃を、同じ剣撃で弾き返す者が現れる……








「何者だ……貴様!」









「クリス・レガード……

 今日ここで剣聖を倒す者だ!」







突如として剣聖の前に現れたクリス。

大切な人を必ず守ってみせると心に誓う。

そして、これから死闘を迎えていく……

◆◆作者からのお願いです◆◆

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

読者様の期待に応えるよう、全力で頑張ります!



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最新話を追いやすくなります。



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