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~今日もメモリー改ざんが忙しいです~

ブオーーーン…

会社に着いた真治はヘルメットを取りながらため息をついた。

「はぁ…ダリ…」

会社の自動ドアが開き広いフロントには人がごちゃごちゃしている。

「何が楽しくてこんなに集まるんだか」

エレベーターに乗る。

7階のボタンを押し、エレベーターが動き出す。

チーン

3階でエレベーターが止まる。

ドアが開くと綺麗なブロンドヘアーと透き通る蒼い瞳の女性が入ってきた。

その女性は真治を見ると笑顔で声をかけてきた。

「こんにちは」

流暢な日本語だ。

「ど、どーも」

「あなた猫田さんよね?猫田主任の息子さんの」

「そうですけど、あなたは?」

「私はエリーナ、よろしくね」

「エリーナ、よろしく」

(聞いたことない名前だな、まぁ部署も違うからしゃーないか)

エレベータが動き出す。

6階で止まった。

チーン

「またね、猫田さん」

「あー、どうも」

エレベータが動き出す。

「むっちゃ美人だったな…」

7階に着く。

チーン

扉が開くと目の前に仁王立ちしている父の姿があった。

「よう、真治」

「お出迎えしてくれるなんて優しい上司だな」

「それで、野暮用とはなんだ?」

「なんでもかんでも知りたがりすぎなんだよ気持ち悪い」

「会社の風紀を乱されると困るから聞いているんだ」

「きゅうと飯食ってたんだ」

「ほーこんな時間までか」

「まだ昼前だ」

「本来なら朝8時、いや10分前の7時50分には出勤しているべきだろう」

「どうせそれが本来の社会人の姿だ、とか言うんだろ」

「何か間違っているか?」

「いいえ、その通りです」

「じゃあ何故それが出来ないんだお前は」

「仕事をするにあたり時間というのは大切だというのは俺でも分かってるよ。ただ効率悪い仕事はしたくないしできるだけ自分の仕事は早く終わらせたい。そのパフォーマンス能力を維持し続けるためには必要な睡眠時間やモチベーションが大事になってくるよね。でもここの規則に従って働いているとそのパフォーマンス能力が著しく低下する。それは自分にとっても会社にとっても悪影響だ。それなら規則に縛られず自分のペースで確実に仕事が終わらせられるようになればどちらにとってもプラスなわけだ。長く働いたからって給料が変わるわけでもない。しかも仕事内容はメモリーの管理と刻印されるときにミスが出ないように見る、あとは書類制作と整理だ。自分がやるべき仕事はAIが机の上にすべて用意してくれている。あとはAIの指示通りにその仕事をこなすだけ。つまり何が言いたいかというと親父の言う通りにするよりより効率を上げて仕事してる俺のやり方のほうがよっぽど良いってことさ」

「…口だけはいっちょ前だな」

「口だけ?ちゃんと仕事はこなしてるし、電話でも言ったけど俺の行動に問題があれば親父より先にAIが注意してくるじゃないか」

「…」

「結局親父が気にしてるのは世間体だろ、社会人だからこうあるべき、会社にいるならこうするべき」

「…」

「もう俺もとっくに大人だ。あんまりそういうの押し付けてくんなよ」

「自由には気をつけろよ」

「あ?」

「自由をはき違えるなよと言っているんだ」

「ご忠告どうも」

真治は自分のデスクに向かう。

席に座るとAIが話しかけてくる。

「猫田真治様、ご出勤ありがとうございます。本日の仕事内容はこちらになります」

机に仕事内容と予定表が映し出される。

「…3時間、だな」

真治はつぶやく。

真治は立ち上がり自動販売機に向かう。

「大事なのは糖分」

腰のポーチから黒曜石を取り出す。

ガチャン

「ピー。黒曜石 メモリー確認中…清算が完了しました」

自動販売機が光る。

「俺の相棒はお前だ、おしるこ」

ピッ、ガゴン

「ちゃっちゃと終わらせて明日の仕事の準備しないとな」


~三時間後~

「よーし終わったー、お疲れ様でしたー」

真治は軽く挨拶をしてオフィスを出る。

「待て真治」

「なんだよ親父」

「俺はこれからも口うるさいぞ」

「はいはいどうぞご勝手に」

「いずれお前にも分かる」

「何が?」

「お前が思っているより世界は広い」

「そりゃそうだろうな」

「もっと大切なことがこの世にはあるんだ」

「大切なものねー」

「それが何かは人によって違う。お前にも必ずあるはずだ。それを見つけるためにも時間は有効に使えよ」

「はいはい分かったよ」

(親父よりよっぽど世界を見てるっつの)

真治は会社を出た。


バイクに乗り着いた先は仕事場である廃屋。

「ねーこちゃーん、待ってたよー」

「お前は暇か」

「俺は暇だ!」

「試合近いんだろ?」

「大丈夫ー、コンディションは最高よー!」

「高校生でまさかの総合格闘技世界統一チャンピオンになるなんてな」

「才能があったみたいでさー」

「運動神経は負けてないはずだったんだがな」

「猫ちゃんはパソコン、俺は格闘技、それぞれやれることあるんだからいいじゃーん」

「たしかにな」

「明日の準備するんでしょー」

「そうだ、明日来る社長はどんな奴なんだ?」

「あーそうねー、とりあえず大手の鉱石掘削会社だけどー」

「普通の人か」

「んー普通ではないかもー」

「どういうことだ?」

「まーとりあえず部屋に行こうー」

「そうだな。あ、そうだ。お前にこれ」

「なにこれー?」

「駅前の店限定のステーキ弁当だ」

「やったー--!猫ちゃん大好きー--!」

「やめろ!抱き着くな!」

2人は廃屋の2階に向かった。

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