~今日もメモリー改ざんが忙しいです~
「猫田主任、お疲れさまです」
「おうお疲れ、今日はあいつは出勤してるか?」
「いえ、まだ出勤してないようです」
「はぁ、バカ息子が」
トゥルルルル、トゥルルルル、トゥルルルル
「はい、メモリー管理会社盛岡区支社です」
「猫田主任、真治さんからのお電話です」
ガチャ
「なんだ」
「おー親父、もう出勤してるのか」
「当たり前だろ、お前は何してるんだ」
「今ちょっと野暮用で…」
「あと30分で出勤しないとクビにするぞ」
その時AIが話し出す。
「猫田真治を解雇すると会社におおきな損失が生じる可能性があるため今の発言を撤回してください」
「…だってさ」
「ちっ、AIめ」
「ちゃんと出勤するから安心してくれ」
「お前は社会人としての自覚が足らん」
「それは否めませんので反論はしません」
「ここ最近お前おかしいぞ」
「なにが?」
「帰りもやたら遅いし、自分の仕事だけチャチャっと終わらせてどこかに出かける」
「なにか問題でも?」
「他の社員の目もあるんだ、もう少し気を遣ってくれないか」
「他は他、俺は俺だ」
「そういうことじゃなくてだな」
「もし問題があるならAIが黙っちゃいないだろ、何も言ってこないんだからいいってことだ」
「AIはコンピューターだ、人間じゃない」
「親父は考え方が古臭いんだよ」
「なんだと、お前あまり調子に乗らないほうが身のた」
「とーにーかーく、ちゃんと出勤するから、じゃあな」
ガチャッ、ツーツーツーツー
「…」
「大丈夫ですか?猫田主任…」
「…コーヒーを買ってきてくれ」
「分かりました」
その頃ハンバーガー屋では…
「あーうるせえ親父だよホント」
「ほんふぁふぉふぉひゅーふぁよ」
「あ?」
「…ごきゅごきゅ、ぷはー!そんなこと言うなよーって言ったんだー」
「なんでだよ」
「はっへほやひふぁんふぁ」
「口に物入れながらしゃべるんじゃねーよイライラすんなー!!!」
「モグモグ、ぷはー!ごめんごめんー」
「ちゃんと話せ」
「だって親父さんがいなかったら猫ちゃんハッキングで金稼ぐつもりだったじゃーん」
「それの何が悪いんだ」
「悪いに決まってるじゃーん普通に考えてー」
「生きれればなんだっていいじゃねーか」
「昔も今も変わらないのは、大人になったらちゃんと働くってことだよー」
「その考え方が古臭いって言ってんだよ」
「古臭くても変わらないものは変わらないのー」
「はぁくだらん、食ったなら俺は行くぞ」
「おう猫ちゃん、今日はありがとねー」
「会計お願いします」
「チーズハンバーガーセットとメガビッグバーガーセットで黒曜石35個になります」
「じゃあこの磨かれた翡翠で」
「少々お待ちください」
そう言うと店員は翡翠を機会に乗せメモリーを確認する。
「はい、ではこちらで清算いたします」
「ごちそうさまでした」
鼠太がこちらを笑顔で見ながら手を振っていた。
「…」
真治も手を上げる。
真治はバイクにまたがり会社へと向かった。