~今日もメモリー改ざんが忙しいです~
「猫ちゃん!頼みがある!」
勢いよくドアが開いたかと思うと色黒で金髪のガタイの大きな男が入ってくる。
「まーたお前か…どうせいつものめんどくさいやつだろ?」
色白で黒髪の真面目そうな男がパソコンをカタカタといじっていた手を止め、呆れたような声で言った。
「そう言うなよー猫ちゃーん」
「お前が持ってくる物はだいたいめんどくさいんだよ」
「へへ、分かってるじゃーん」
「んで?今日はどうしたんだよ。まぁお前のことだ、また女絡みだろ」
「そーなんだよー、まーたやらかしちゃった」
「じゃあそれ、よこせよ」
「ホント助かるー猫ちゃん!はい」
「今回はネックレスか、メモリーを改ざんするのも楽じゃないんだぞ」
「でも猫ちゃんメモリー見るの好きじゃん」
「ん-、否めん」
「ははっ、ほらねー。じゃ、よろしく」
主人公 猫田真治 愛称 猫ちゃん コードネーム CAT
親友 本田鼠太 愛称 きゅう コードネーム RAT
「ほー、今日のネックレスは18金か」
「そうそう、婆ちゃんに卒業祝いで買ってもらった格闘技用のグローブと交換したんだよ」
「お前それ交換してよかったのか?」
「だって可愛いベイビーが欲しいって言うからさー」
「はっ、何が可愛いベイビーだよ」
「とにかくそのネックレスのメモリーを婆ちゃんとのメモリーに変えてほしいんだ」
「はいはい、分かったよ」
そう言うと猫田はパソコンの横にある機械にネックレスを置いた。
ネックレスを置いた機械は物にあるメモリーを読み取り、映像としてパソコンにデータが移るようになっている。
読み込んだメモリーの内容によって物には付加価値がつけられ、それにより物の価値が決まっていくシステムになっている。
天井からぶら下がっている機械は特殊な光を照射し、パソコンで作った新しいメモリーを入れることができる猫田が作ったオリジナルの機械だ。
「じゃあ早速メモリーを確認するか」
猫田がスイッチを押すとパソコンにメモリーが映し出される。
「きゅうちゃーん、あ、そこはダメよ、あっ!」
「いいだろー可愛いベイビーちゃーん」
猫田はパソコンの画面を消した。
「いやーお恥ずかしいですなー」
「親友の情事を見せつけられるこっちの気持ち考えたことあるか?」
「本物の素人モノだぞー」
「…キモイ」
「まあまあいいじゃんかー、とりあえずメモリー変えてくれよー」
「よりによって物の鑑定士の彼女がいながらよくこんな事ができるよな」
「俺にとってはすべての女性は俺の可愛いベイビーちゃんなのよーん」
「はぁ、付き合いきれん」
「そう言いながらもいつも頼み事聞いてくれる猫ちゃんにはマジで感謝してるってー」
「本当なら金を払ってもらいたいところだけど、まぁお前とは付き合いが長いしいろいろ世話にもなってるから無料にしてやってるだけだぞ」
「だから感謝してるってばー」
「じゃあ、新しいメモリー入れるからお前はそこに座ってろ」
「あーい」