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第2話 訪問者の正体、そして 

 誰だろう?友達で遊ぶ約束をした人はいないし、N○Kの集金はちゃんと払ってるから来ないはずだし、宗教勧誘かな?


 そんなことを思いながら、玄関をカチャリとあけると、


 「やぁ、初めましてかな?如月修君」


と出会い頭に話しかけてきたのは、ダンディな30代後半くらいのイケメンなおじさんだった。


 「は、初めまして。えっと…あなたは?」

 「あぁ…すまんすまん。私は北条克人(ほうじょうかつと)、北条グループの現会長だ」


  北条グループ

  日本の四大財閥の一つで総資産300兆円超、この国で知らない者はいないと言われ、世界的に見ても資産がトップ10に入る一流グループだ。


  その現会長がなぜこんなボロアパートに住んでいる貧乏な俺を訪ねたのだろうか。

 

「あの、玄関で立ち話も何ですから、中に入って座りますか」


 と、言ってとりあえず北条さんを家に招き入れ、イスに座らせた。

 そして、二人分のお茶を用意してお出ししてから、


 「あの、その会長さんが俺に何か」

 「うむ、実はな康介――お前のお父さんはな俺と小中高と同じ学校で家も近かったんだ。まぁいわゆる腐れ縁っていうか幼なじみっていうかそんな仲。でな、まぁ直々飯とかに行ってたんだけどな、この前会ったときに、いきなり『旅行行くから息子の世話してくんねぇか』って言われてな」


 いや父さん何言ってんだよ。いくら昔からの友達言ったっていきなり子を世話してくれ

って言われてうなずく人いないでしょうが。


 「まぁ最初は断ろうとしたんだけどな…」


 そうですよね、断りますよね。


 「しかし、あいつには借りが一つあってな、それを返せるし、こちらとしても都合がよかったからね」


 ん?都合がよかったってどういうことだ?


 「実はな、私には娘が一人いるんだがな小学校の頃何かあってショックを受けてな、それ

  以来心を閉ざしてしまってな」

 「何か?」

 「うむ、その何かは私にも教えてくれなくてな。俺の嫁にしか話してないんだ。聞いても娘との約束だと言って教えてくれなくてな」


 なるほど、友達に裏切られたとかかな?


 「しかも娘には幼馴染と呼べる子はいないし、それ以来友達もおらず立ち直れていないんだ」


 心の傷を癒してくれる人がいなかったのか。それかよっぽど心の傷が深かったのかな?


 「そこでだ。君は娘と同い年だから、もし君さえ良ければ娘を助けてくれないか?

もし解決できなかったとしても、お礼として高校3年間の学費と生活費は私が払おう。

君の父さんとの約束も果たせるからな。頼む」


 そう言って北条さんは俺に向かって頭を下げてきた。

 実は俺の小学校の頃も友達も別の友達に裏切られて、心を塞ぎ込んでしまったことがあった。だから妙に親  近感みたいなものが湧いてきた。


 「頭をあげてください。僕で良ければ力になりますよ。でも具体的に何をすれば?」

 「そうだな。娘に大事なのは話し相手とか友達だと思うんだ。」

 「そうですね。一回自分の思いをさらけ出せば、また心を開いてくれると思いますよ」

 「うむ、でもまずは娘と会わないことには始まらないな。よし、いこう!」


 え?行く?どこに?


 「どこにって決まってるだろ。私の家だ。家にいればいつでも話せるしな。なら学校も一緒にしたほうがいいな。高校も娘が通っている学校に変えるか?」


 ちょっと待て待て待て。話が進みすぎだろ。一緒に住む?同じ学校に行く?いや無理だろ!


 「ちょっと待ってください。何でそんな話になるんですか」

 「一緒に住んだほうが話せるだろ」

 「まぁ、そうですが」

 「学校も一緒の方がいいだろ」

 「いや待ってください。そもそももう行く高校は決まってるんですが」

 「その高校じゃなきゃだめか」


 よくよく考えてみると俺が選んだ高校も学費を抑えるための地元の高校だし、何の未練

もないが。


 「確かに君の一存じゃ決められないな。よしあいつに聞いてみよう」


  うん?あいつ?


「もしもし、俺だ。お前の息子を俺の娘が通う学校に通わせたいいんだが……」


 どうやら電話相手を俺の父さんらしい。でもまぁ、いきなりそんなこと言われて許可するはずないだろ。


『おう、いいぞ』


 いいの!今回のことで気づいたんだが、どうやら父さんは重要なことをさらっと決めてしまうらしい。


 「了解。じゃあ、入学手続きはこっちでやっとくわ」

 『おう、ありがとな。じゃあまたな。修のこと頼んだわ』

 「ということでね。行こうか」


 こうして、俺は財閥令嬢の話し相手になるために、財閥令嬢の家に住み、同じ学校に通うことになった。


まだまだ未熟者で誤字脱字があったら、報告していただけると幸いです。


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