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「ミーシャさん、なんかすみません。オレが虹色の輝石をミーシャさんに渡したばっかりにオレと恋人になってしまって………。」


まさかオレとミーシャさんが恋人になるとは思っていなかった。


ミーシャさんだったらもっとすごい人と恋人になることだって出来ただろう。


それに、もしかしたら既に恋人にしたい相手がいたかもしれない。


それなのに………。


「あっごめんなさい。勘違いさせちゃったかしら?虹色の輝石はね、他人に譲渡は出来ないのよ。つまり虹色の輝石を渡すということはその相手と恋人になりますということなの。(あっちゃー、エンディミオン様私を恋人にするのはいやだったのかなぁ。私はエンディミオン様が恋人になってくれて嬉しいのに。)」


ミーシャさんから虹色の輝石について追加の情報を得る。


どうやら、虹色の輝石は譲渡出来ないアイテムだったらしい。


そのためオレとミーシャさんが恋人になったとか。


あれ?


でも、まてよ。


オレがミーシャさんに虹色の輝石を渡したとき、ミーシャさんは喜んでくれていたよな?


ミーシャさんは虹色の輝石が譲渡出来ないと知っていたのに、喜んでくれたということは………もしかして、ミーシャさんはオレが恋人でも構わないのか………?


「ミーシャさん。オレなんかが恋人でよかったの?他に恋人にしたい人がいたんじゃないの?」


確認するのは、ちょっと怖かったけれども念のため確認をする。


だって、恋人になってしばらくしてから、やっぱりなかったことにって言われたらショックが大きいし。


「いないよ!エンディミオン様だから虹色の輝石を受け取ったのよ。」


そう言ってミーシャさんは頬を真っ赤に染めて、オレから視線を外した。


耳まで真っ赤に染めて恥じらっているミーシャさんはとても可愛かった。


「よかった。あらためてよろしくお願いします。ミーシャさん。」


「ん。よろしくね。えと………ミーシャでいいよ。私たち………こ、恋人なんだから。」


ミーシャさんはそう言って恥ずかしそうに下を向いた。


小さな声で付け加えられた「恋人なんだから」って言葉がいつまでも耳に残った。


そっか。ミーシャさんはオレの恋人なんだ。


「やったーーーーっ!!」


オレは思わず嬉しくて、ミーシャさんをぎゅっと抱き締めていた。







☆☆☆



「優斗!優斗ってばぁ!!」


ミーシャさんと恋人同士になって受かれていたオレに話しかけてくる人物がいた。


マコッチことマコトである。


昨日、オレはミーシャさんとゲームの中で恋人同士になった。


恋人なんて初めての経験だから、嬉しいやら恥ずかしいやらで、昨日ゲームをログアウトしてからも眠ることが出来なかった。


そうして、そのまま朝を迎えることになった。


両親や美琴姉さんが心ここにあらずのオレを見て不審気な顔をしていたのは見なかったことにした。


そうして、オレは今学校に登校している最中だ。


「なんだ、マコト。朝から騒々しい。」


マコトにはキャッティーニャオンラインに誘ってもらってとても感謝している。


しているが、まだオレはミーシャさんと恋人同士になった余韻に浸っていたいんだ。


「なんで恋人!?なんで!!」


ん?


どうやらマコトはオレに恋人が出来たことを知っているらしい。まだ、知らせていないのに。


「情報が早いな。」


素直に感心してそう告げればマコトがこちらに近づいてきた。


「だって!友達に恋人が出来たり何かあったりしたら通知が来るようになってるの!なんでもう恋人が出来てるの!?」


なんだか、マコトが珍しく怒っているような気がする。


丸い瞳がつり上がっている。


「えっと………。」


「ずるいずるいずるいっ!!」


「え………。」


マコトの大きな瞳にうっすらと浮かぶのは・・・涙?


どうしてマコトは泣きそうなんだ。


もしかして、ミーシャさんという恋人ができたのを黙っていたからか?


でも、昨日の今日だぞ。


「悪かったって。黙ってて悪かった。な?泣かないでくれよ。」


「泣いてなんかいないもんっ!!」


泣いていないと言いつつマコトの目からは涙が溢れそうになっている。


困ったな・・・。


こんなときどうすればいいんだ。


「マコト・・・。」


オレはマコトにゆっくりと手を伸ばす。


そうして、マコトの頬に手を添える。


ゆっくりとマコトの頬に添えた右手の親指で目元の涙をぬぐう。


不思議とマコトは抵抗しなかった。


「別に内緒にしていた訳じゃないんだ。ただ、ゲーム内のことだし。急いで報告しなくてもいいかなって思ってしまったんだ。ごめんな。」


「・・・。(優斗ってば反則・・・。ゲーム内だけのことなんだよね?現実では違うよね?)」


マコトはオレの説得が効いたのか、それ以上は何も言わずにオレのことを見ていた。


泣いたからなのか、マコトの頬は少し赤くなっていた。


「マコトはいつも元気いっぱいに笑ってる方が似合ってるよ。」


「・・・知ってるし。ねえ、優斗。その彼女ってゲームの中だけの付き合いなんだよね?」


マコトは頬に添えたオレの手を手で払った。


よかった。もう泣いていなそうだ。


「ああ、まあな。ネカマって可能性もあるし。ゲームはゲーム。現実は現実。全くの別物だよ。あー、でも現実で彼女いないってのも寂しいよなぁ。」


思えばリアルよりもゲームで先に恋人ができてしまった。


これはいいことなのか、それとも虚しいことなのだろうか。


「現実でも彼女作ればいいじゃん。(やった!優斗ってば彼女まだいないんだ。ゲームの中だけなんだね!なら、あたしにもまだチャンスがあるかな?)」


「あのなぁ。簡単に言うけどな、彼女作るってのは難しいんだよ。」


「だよねー。優斗だしね。無理だよね。(あたし彼女に立候補したいなぁ・・・。)」


「マコトっ!おまっ!オレには彼女が出来ないって言うなよ。マコトだって彼氏いないじゃないかっ!」


「いいの!あたしには好きな人がいるんだからっ!(言っちゃった。優斗ちょっとはあたしのこと気にしてくれるかな?)」


やっぱりマコトとはこんな感じで喧嘩っぽいじゃれあいをするのが一番楽しいな。


マコトといると気楽で心地いいんだ。


ほんと一番の友達だな。


「って!好きなやついるのかよ!誰だよ?オレの知ってるやつ?教えろって!」


「やだよ。ぜったい教えないもんねー。(優斗が好きだなんてまだ言えないよ。)」


「オレは彼女のこと教えたのに!教えろって!」


「えー彼女ってゲームの中でのことでしょ?」


「なっ!?マコト!!」


「ベーッだっ!」


マコトはそう言って走って行ってしまった。


あいつってばゲームばっかりやってるのに逃げ足速いんだよなぁ。


でも、ま。いつものマコトに戻ったみたいでよかった。


やっぱりマコトは笑っている方が可愛いし。


って、可愛いってなんだよ。可愛いって。



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