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ゴーイングマイウェイ  作者: 円寺える


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第39話

 真奈が大河を好き。


 その話を聞いてから、羽菜は自然と二人を気にするようになった。

 じっくり見るというよりは、二人一緒にいるところを見ると、「そういえば」と思い出してそういう目で見てしまう。


 最近、真奈は大河と一緒にいることが多い。


 意識して二人を見るようになったから、ではない。本当に、二人でいることが多くなった。

 前は四人一緒にいるか、羽菜と真奈と大河の三人という場面が多々あった。しかし大河と真奈の二人という場面に出くわしたことはない。

 羽菜の知らないところで二人一緒にいたのかもしれないが、想像できなかった。

 それくらい二人で一緒にいるというのは珍しいことだった。


 真奈が頑張っているのだろうか。

 それとも、もしかして大河もそういう気があるのだろうか。


 どうしても気になってしまう。けれど真奈に聞けないし、大河にはもっと聞けない。

 聞けるとしたらそう、悠太のみ。


「黒木と大河が気になるの?」


 放課後、悠太と二人で教室に居残り課題をしていたとき、羽菜は気になり聞いてしまった。


「いや、分かってるの。聞いちゃ駄目だよね、でも気になって…」


 好奇心と良心の葛藤で羽菜は眉間にしわを寄せた。

 悠太は課題をする手をとめた。


「黒木も頑張ってるからね。それだけ大河のことが好きなんだよ」

「そ、そうなんだ。確かに大河くん、優しくなったもんね」


 最近ではなくずっと前から好きなのだが、その辺りは本人から聞いていないのか。

 大河が好きで君に近づいたんだよ、実は今も。とは言えない。


「悠太くんは真奈ちゃんから色々聞いてるんだよね」

「色々ではないかな、僕も聞いてないこととかあると思うけどね」

「そっかぁ。私はあまり聞けていないから、気になるなぁ。あ、悠太くんから聞こうとは思ってないからね?ちょっと気になっちゃって」

「わかってるよ。黒木が羽菜ちゃんに言えるようになるまで待ってあげてね」

「うん」


 とはいえ、真奈が羽菜に話せることなどもうないだろう。

 大河が好きと羽菜に言ったのが限界だろう。大河の想い人に詳細なんて話せるわけがない。話せるようになったときは、きっと真奈と大河が付き合ったときだろう。そのときは、真奈がまだ羽菜と友達でいるかどうかも怪しい。


 真奈を本気で親友だと思い、真奈を思って好奇心を抑えて応援する羽菜。

 何も知らず清くて健気な羽菜がなんとも愛らしい。

 もし事実を知ったらどうなるのだろうか。

 泣いて泣いて、そのあとはどうなるのだろうか。

 裏切られたと陰で泣き、そして自分が慰める。


 そんな想像をしていると、いつの間にか羽菜の顔が間近にあった。

 思わず顔を逸らす。


「悠太くん、聞いてるの?」

「ご、ごめん」

「もう、悠太くんの話をしてたのに」


 いつの間に話題があの二人ではなく自分になっていたのか。

 苦笑して話の続きを促した。


「本人に言うことでもないと思うんだけど」


 言いにくそうに前置きをする羽菜。

 自分の話とはなんだろうか。


「最近、その、女の子から悠太くんの連絡先とか住所とか色んなことを聞かれるんだけど、どこまで答えていいのかな?」

「あー」

「さすがに住所や連絡先は駄目だと思うんだけど、好きな食べ物とか好きな番組とか、そういうのってどこまで話していいのかなって」


 眉を下げて聞く羽菜に、優しいなと思う。

 これが真奈であれば「本人に聞いてくれる?」の一言で解決だ。

 羽菜は優しいから断ることができないのだろう。今まで濁してきたが、後が絶えないため悩みになっているのか。


 校庭から聞こえてくる女子の「キャー」という声に、遠巻きで自分を見ながらキャッキャと興奮する女子の声が重なる。

 その興奮した勢いで羽菜に詰め寄る姿も容易に想像できた。


「テキトーに答えてくれたらいいよ。僕、嫌いな食べ物とかないし、テレビ番組も羽菜ちゃんが見てるものだし」

「そ、そうなの?」

「うん。羽菜ちゃんが興味持ってるものは僕も知りたいから、羽菜ちゃんが見てるテレビ番組は僕も見てるよ」


 超美形の笑顔と発言で羽菜は顔を赤くした。

 こういうのがモテる所以だろう。


「ゆ、悠太くん、あんまりそういうことは言わない方がいいと思う」

「どうして?」

「だ、だって」

「だって?」


 そんなこと言ったら、女の子は勘違いしそうだよ。

 もしかしたら、悠太くんは私のことを好きかもしれないって。


 しかしそう言えば「じゃあ羽菜ちゃんも勘違いしたんだ」となる。


 小学生の頃はあまり詳しくなかった恋愛だって、中学生になり悠太に気のある女子から色々なことを聞かれ、言われると、疎いままではいられなかった。


 悠太くんは不誠実ではないから、不特定多数の人に言うわけない。

 でも、安易にそんな発言をするのはよくない。


「もしかして羽菜ちゃん、今ドキってした?」

「し、してない!」

「本当に?」

「悠太くん、手がとまってるよ。課題しよう」

「はは、そうだね」


 顔がすべてではない。そんなことは分かっている。

 実際に綺麗な顔の人間が綺麗に笑うと、顔がすべてではないなんて考えは吹っ飛んでしまう。

 綺麗なものは綺麗。

 でも見た目じゃなくて中身も優しいから、モテるんだろう。

 やはり悠太は完璧だと羽菜は思った。


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