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ゴーイングマイウェイ  作者: 円寺える


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第33話

 放課後に学校の図書室で勉強しようと羽菜と悠太は話した。

 羽菜は当然、放課後になると悠太と図書室へ行こうと席を立った。しかし悠太は女子の集団に捕まっており、なかなか解放されそうにない。

 悠太が羽菜に気付くと、囲っている女子に「ごめんね」と謝罪を入れ、羽菜の方へ行こうとした。しかしその中にいたリーダー格の女子はそれを許さず、悠太の腕を掴んで羽菜の方を向いた。


「水野さん、ちょっとだけ悠太くん貸してくれない?」

「え、っと」


 羽菜としては早く悠太と図書室へ行きたかったし、先程悠太が謝りを入れて離れようとしていた。まさか引き留められるとは思っておらず、困惑した。


「駄目かな?ちょっとだけ、いい?」

「あ、うん….」


 そこで断れる羽菜ではない。

 悠太の方を見ると、羽菜に向かってごめんねのポーズをしていた。


「じゃあ先に行ってるね」


 それだけ言って、一足先に図書室へ向かった。

 教室を出る間際、悠太の腕を掴んでいた女子の満面の笑みを見て、もやっとするものがあった。


 廊下を歩き、人が減った校舎から出て一人寂しく図書室へ入った。

 図書室を利用している人はほんの数名。どれも先輩で、羽菜は隅の席に座った。


 鞄を開けて教科書とプリントを取り出し、今日出された課題を終わらせようとペンを握った。


 しかし、どうしてももやもやが消えず、プリントに名前だけを書いてペンを置いた。


 なんだろう、すごくもやもやする。


 自分は何か嫌だと感じているのか、何か気になっていることがあるのか。

 もやもやの正体が気になり、自分に素直になって先程のことを思い出す。


 何か気になったのだろうか。


 悠太くんが離れようとしていたのにそれを拒んだ子。悠太くんは私と約束していたし、あの場から離れるのは分かってたのに、引き留めたのがちょっと、嫌だったかも。だって、悠太くんは私と一緒に図書室で勉強する予定だったのに。悠太くん、私と一緒に行こうとしてたのに。引き留められて、ちょっとだけ嫌だったかもしれない。

 あとは、そうだな、教室を出る前に見た子の笑顔がなんだか、嫌だ。私と悠太くんが約束してたのに、悪気なさそうにしてた。あの子に謝ってほしかったのかな、私。

 でも、いいよって言ったのは私だし。

 悠太くん、もしかして囲まれてたの嫌だったのかな。私が無理にでも一緒に行こうって言うべきだったのかな。昨日も一昨日も女子に囲まれて疲れてそうだったし。

 悠太くんが来たら、聞いてみよう。


 自分の中で整理し、もう一度課題と向き合い、問題を解いていった。


 課題を解き終わり、授業の復習も終わり、予習をしないようにしている羽菜はすることがなくなり本を読んでいた。


 悠太くん、遅いなぁ。見に行ってみようかな。でもすれ違ったら嫌だし。


 本を読んでいるが悠太のことを考えてしまい、なかなか先に進めなかった。

 髪の毛をくるくる触ったり、本を読んだりして待ち、羽菜が教室を出てからおよそ一時間が経つと思われたころ、悠太が図書室に入ってきた。


 ようやく来た悠太を見て、羽菜は笑顔で手を振った。


「ごめん、遅くなって」

「いいよ」


 既に先輩たちは図書室から出て行ったようで、羽菜と悠太以外誰もいなかった。

 申し訳なさそうな顔をした悠太に「全然大丈夫だよ」と付け足した。

 羽菜の目の前に座り、やはりどこか疲れているように見えた羽菜は聞いてみた。


「女子に囲まれるの、嫌だよね?」

「うーん、嫌っていうか、困るな。今日みたいなことがあると特に」

「そ、そうだよね。ごめんね、私がもっと一緒に行こうって言えばよかったのに」


 自分の積極性のなさと、強く言われると言い返せない弱さのせいで悠太を困らせてしまっている。その事実に申し訳ないと強く思った。


「いや、羽菜ちゃんは何も悪くないよ。むしろこんなに待たせて、本当にごめんね」

「私は、課題とかして待ってただけだし….」

「僕ね、羽菜ちゃんと勉強してる時間好きなんだ。会話なくて、ただお互い勉強してるだけの空間がすごく好きなんだ。もちろん、喋ってるときも好きなんだけど。だからちょっと、今日はへこんだなぁ。だって久々だったでしょ、二人で勉強会するの」


 羽菜も悠太との勉強会は好きだったし、悠太がそう思ってくれてることが嬉しかった。

 悠太の言う通り、久々の勉強会だったため、楽しみにしていたのも事実。

 だから悠太が引き留められたとき、嫌だった。


「今度から僕も気をつけるよ。やっぱり先に約束してたのは羽菜ちゃんだし、これからはちゃんと強く言うよ」

「うん」

「だからまた勉強会しようね」

「うん!」


 その後、しばらく図書室に籠り悠太は課題を、羽菜は読書をした。

 そして二人で学校を出た。


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