番外編5話 観光誘致を考える
今年も残り僅かになりサルサ村も心なしか忙しなくなってきている。なぜかと言うと今年は暑い日が多く、その影響で作物の育成に影響出た事で僅かながらも収入が減ったのだ。王家の直轄地で免税になっているとは言え、減った分の穴埋めに正月用品の制作販売に余念がない。
これも今後の国益に繋げる重大な仕事なのだ。それは今やサルサ村は特産品開発の試験地となっていてここで開発された商品は製造や栽培に適した町や村に本格的に引き継がせた事で領地内での収入格差がかなり縮小されてきていた。
お陰で国から良いように使われてた特別開墾事業部は廃止され、俺もやっと楽が出来ると安堵したのも束の間で、新たに観光開発企画部が設立され、他国からの観光客を誘致しようとなり、そこに参画するように国王陛下より勅令が下ったのだ。
俺にとって観光と言えば温泉目的の小旅行だ。温泉に入って旨いものを食いながら酒を飲む。名所・旧跡を見るより早く宿に入って温泉を堪能したかった。だから温泉地に転勤になった時は喜んだし、転勤先の家にも温泉が引いて有ったのは嬉しかった。その後、地震でこの地に飛ばされたときにも温泉が使えた事だけには感謝したのを思い出していた。(1話参照)
とにかく、ちょっと脱線したが観光と言えば温泉なのだよ。
そう言えば、この村の人たちも当初から当たり前のように俺の家の温泉に入りに来ていたよな……
よし、国内で温泉が出る所を探してそこの特産品作りを体験してもらえるような場所を探そう!
「あい判った。ではサルサ村にある温泉を利用し、バター作り体験を実験的に売り出すことにする」
「陛下、ちょっとお待ちください。何もサルサ村で無くても良いのでは無いですか?」
「その方の地では何か問題があるのか?」
「はい。大ありです。サルサ村の温泉は俺の家の裏有ってですね、観光客に開放できる設備では有りません」
「そうか。では早急に整備させよう。それで良いな」
「…………」
こうして徐々に俺の休息の場所が無くなって行くのであった……
新作の連載をはじめました。
タイトルは『神界の上皇陛下は人間界で宿屋を営んでいる』です。
温泉宿を舞台にしたお話です。良ければお読み頂けますよにお願いを申します。
新作には作者マイページからお越しください。お待ちしています。