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第五話 泉の枯渇は水脈の問題かも

問題の泉は確かに水が減っていた。枯渇も時間の問題だろう。


俺は使えるチートを確認した。地面師、透視か……敢えずこれだな。透視で泉を見てみた。

う~ん……今一つ掴めん。泉の周りを確認しながら回ってみよう。


しばらく進んでいくと急に違和感が襲ってきた。透視で辺りを見ても何も分からなかったが、違和感だけは強くなっていく。もう一度自分のステータスを見てみると、時戻り・時昇りと言うのが有った。

「これってもしかして過去が見えるとか?」などと思ってイメージを合わせてみたら。2か月くらい前にこの辺りで起きた地震の風景が見えた。


「リル。湧水が止まったのは何時ごろかわかるか」

『気が付いたのは1か月位前だ』

「その前に地面が大きく揺れなかったか」

『確かに揺れたことがあったな。それが関係あるのか』

「多分な。確認するから待っていろ」


俺は地中深く透視するイメージを構築した。見えてきたのは水脈だったろうと思えるかなり太い横穴だった。俺はその横穴に沿って森を歩くこと暫し。すると大きな岩が水脈を堰き止めている箇所を発見した。「やっぱりな……」思った通りだぜ。原因はこれに間違いないと断定した。


「わかったぞ。地下の水脈がここで堰き止められているから水が泉まで届かなくなっていたんだ。枯渇の原因はこれに間違いないだろう」

『元に戻せるのか?』

「俺には出来ないけど、大地の聖霊様に戻せるかどうか聞いてみることは出来るぞ」

『頼む。聞いてもらえるか』


「大地の聖霊カウス様。お出まし願えますでしょうか」

『居るよ~ ノゾミ~ 僕に用事?』

「はい。実は2か月程前この辺りで起こった地震により地盤の変化が起こったようで、この先にある泉に通じていた地下の水脈が岩で堰き止められてしまい、枯渇しかかっています。その泉は森に棲む動物達の命を繋ぐ大事な水です。その岩を退かすことが出来たら泉に水が戻り、森に生きる物達が安心して暮らせます。そのためにカウス様のお力を貸してください」

『いいけど、お菓子くれる?』

「はい。手持ちがこれだけしかないので今はこれで」と手持ちのお菓子を供えた。

『ありがとう。ちょっと待っててね』と言うが早いか、お菓子が消えた。


しばらく待っていると地面が大きく揺れた。


『ノゾミ~ 終わったよ。おっきな石が邪魔してたから無くしてきた。だから、今度地面が揺れてもお水は止まらないはずだよ』

「ありがとうございます」

『じゃ~泉に水が戻って来たか見に行こうよ』


聖霊様を先頭に泉まで戻ってくると水位が徐々に上がって来ていた。


『大地の聖霊様。吾輩は森の主。フェンリルのリルフォングサンダールと申します。この度はお力をお貸し頂き感謝致します。この森に生きる者を代表してお礼を申します』

『ノゾミの願いは断れないよ。泉が復活して善かったね』

「カウスさま。ありがとうございました」

『気にしなくていいよ~ ノゾミに頼られたから嬉しかったよ』

「明日もお供えしますね」

『楽しみにしてる~』



『ノゾミ殿。此度は助かった。ありがとう。礼を申す』

「いや……俺は原因を調べただけだから。でも解決して善かった」

『聖霊様に頼めたのは原因を見つけてくれたノゾミ殿のお蔭だ』

「たいした事じゃないさ。あと、すまんが俺の家まで案内してもらって良いか」

『そのような事は当然だ。他に何か礼をしたい。願いは無いか?』

「そうだな……俺も森の入り口に住むことになったから、森の住人達と仲良くしたいかな」

『お安い御用だ。今でもノゾミ殿の所に有る温泉を使っている者も居るからな』

「そうそう、もっと多くの住人達に使ってもらって良いんだぞ」

『分かった。皆にはそう伝えておこう』

「おう。よろしくな」

『他には無いのか?』

「……あっそうだ。少しで良いから森の恵みを分けて欲しいかな。」

『欲が無いな。いつでも好きなだけ持って行け。森の恵みは我等だけの物ではないからな』

「ありがとう」

『しかし、それだけでは不十分だ。近いうちに取って置きの場所に案内しよう。そこはノゾミ殿が好きにすると良い』

「ありがとう。気持ちだけもらっておくから。そろそろ家まで案内を頼む」

『吾輩の背に乗るがよい。送っていこう』

「それは助かる。遠慮なく乗らせてもらおう」



リルは走るのが速かった。途中なんども落ちそうになるところ必死にしがみついて耐え切った俺は凄い。もう二度と乗らないと密かに誓ったことはリルには内緒にしておこう。


「送ってくれてありがとうな」

『気にするな』

「じゃ~ 気を付けて戻れよ」

『何を言っておる』

「はぁ? 森に帰るんだろ」

『吾輩もココに住むぞ』

「えっ? 森の主がここに住んでどうするの?」

『構わん。森は次代の主候補に任せる。教育も兼ねてな』

「でも、この家ではリルは大きすぎては入れんぞ」

『大丈夫だ、吾輩は小さくもなれる。この通りだ』

そう言うとシェバード位の大きさになったリルがいた。


『これからよろしく頼む』

「…リルのご飯はどうすれば良いんだ?」

『心配するな。森に出る魔物を狩ってくる』

「そうなんだ……じゃ~好きにしたらいいさ」

『ではそうするぞ』


狐に摘ままれた感じもしなくもないが、我が家に犬が住み着いた……


『吾輩はフェンリル。犬と一緒にするではない!』




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