番外編 2話 ククク村の新商品開発
現在、ククク村で造られる日本酒はサルサ村の3倍近い量になっていた。村で造られる米のほぼ全量を酒にしているからだ。しかしそれでも需要を完全に満たしていないせいか田んぼ面積も年々増やしていた。その度にノゾミが呼ばれ開墾していた。他の村や町からも王国の特別開墾事業部を通じて開墾要請は来ていたが、協力関係を結んでいるククク村が近い事も有り優先されていた。
そんな中、今回もククク村から相談事が舞い込んできた。それは糠の処理だ。藁や籾は肥料にしているがそれだけで十分な量になるため糠を持て余していた。
ところが、サルサ村で酒米の精米途中で出てくる米粉でせんべいを作り売り出したのを聞き糠も使い道が有るのでないかと村長のクダンは考えていた。そこで自ら試行錯誤するよりノゾミ殿に丸投げ……じゃない、頼ろうと考えたのだ。
ではサルサ村では糠をどうしているかといえばすべて肥料になっている。
糠の使い道ね……無い事は無いけど、それをするには新たな設備が必要になる。そうすると建設も請け負う事になり、開墾事業部からの依頼が捌けなくなる事は必定。どうした物か……。
だけど、ククク村で新しい商品が売れたらサルサ村の収入にも繋がるわけで損はないか……。
出した結論として、米油の製造を提案することにした。新しく作るのは油を搾るための設備だ。さすがに酒の搾りと同じところでは出来ないからだ。
ただ、俺の記憶では圧搾法では現代の抽出法より出来高が少ないけど、ここではそこまでの設備が出来ないからこれはしょうがないことにしよう。
クダン村長に提案してみたら速攻で了承され新たな水車小屋に圧搾機をつけ米油の抽出を開始する。
工程としては篩に掛け大きなゴミや米片を取り除き、糠から水分を飛ばすために大鍋で温める。念のために言うが、焼くのでなく温めるのだ。その後、冷まして乾燥させた糠を布で包みゆっくり圧を掛け、油を抽出していくだけだ。抽出された油は茶色く少々匂いも有るが酸化しにくいので保存はしやすいはずだ。
搾りカスの糠は畑の肥料としても売り出したらどうかと合わせて提案して置いた。
これでコクのある米油とボンボ村で造っているあっさりした菜種油と植物性油が出揃ったことになる。
ククク村の米油はやはり量が少なくボンボ村産の菜種油と同様に高価なものとなった。しかし動物性油が主流だった王国に新たな特産品が加わった。




