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番外編 1話 せんべいを焼こう

サルサ村で何度目かの新酒の仕込みが始まろうとしていた。杜氏のサム君とニト君が俺の所にやって来て、もっと美味い酒を造りたいから教えて欲しいと言ってきた。今までは純米酒を主体に作って来て新たな挑戦をしたいのかも知れないと思い、吟醸酒と大吟醸酒の存在を教えてあげた。


2人とも直ぐに食い付き、いきなり大吟醸は難しいだろうと吟醸酒を造ることにした。

これは米の精米歩合で決まってくる。吟醸は精米歩合が60%以下で大吟醸は50%以下の事を言う。

因みに純米酒は精米歩合80%だ。ただ、精米歩合が小さくなればなるほど米が割たり乾燥し過ぎたりして精米自体が難しくなる。


ただ、ニト君から不満が出て来た。

「せっかくのお米を小さくし過ぎるのが勿体無い」と言うのだ。そこである提案をした。せんべい作りだ。先ほども述べた通り、精米歩合を小さくすればするほど米が割れたりして使える米が少ななくなる。そこでそれらを集めて臼で米粉を作り、それでせんべいが作れる。


作り方はちょっと手間がかかるけど難しくは無い。


米粉に熱湯を加え良く捏ねる。捏ね終わったら蒸し上がり易くするために適当にちぎって歪な形にしてから30~40分程蒸す。


蒸し上がったら撞きの作業だ。冷めないうちにツヤと滑らかさが出るまで搗く。その後、熱をさげるために水に漬け、人肌までさましたら水から取り出し、表面の水分を生地に練り込む。


約15グラム程の重さに切り分け、直径5センチ程になるように薄く伸ばしたら天日で3日程乾燥させる。ここで重要なのが、両面からしっかり乾燥させることだ。


そして最後の工程に入って行く。それは焼きだ。


本焼きの前に50~60度の温熱で1時間程温めてから弱火でじっくり両面を小まめに返しながら焼いていき、しょう油を付けてもう一度軽く焼いたら出来上がり。


しょう油もサルサ村で造っているのですべての材料は揃っているから問題はない。



ニト君を納得させるために作ったせんべいを試食してみた。草加せんべいまで堅くは無いが歯ごたえも十分なせんべいが出来上がったので、早速ニト君にご馳走をしてあげた。


「堅いけど美味しい。これが米の粉からできるの?」

「そうだよ」

「これを造ればお米も無駄にならないんだね?」

「そうだよ」

「僕、サム君と一緒に吟醸酒造ってみる」



その後、吟醸酒とせんべいはサルサ村の新たな特産品となり国中から買い付けが殺到し、ククク村の兄弟杜氏が「師匠。吟醸酒の作り方を教えてください」とサム君とニト君の元にやって来たが、吟醸酒の前にせんべいの作り方を伝授されたのであった。


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