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第四十五話【最終回】 あっという間の10年

俺がサルサ村に移転して10年を迎えた。最年少のキミーちゃんとサントくんも今年で15歳の成人を迎えた。


午前中だけ始めた勉強会もいまでは午後も含めた学校にして、読み書きだけでなく加工品の実地研修や貿易の仕組みなども教え、人材の育成にも力を入れて来た。おかげで近くの村からも入学希望者が増えた事から国の教育機関として各地に作られた。


サルサ村の開拓もかなり進み、農業に酪農にとメルーサ国内でも代表的な農村地域となり、そこから作り出される新たな加工品は国中の村に地域毎で割り振りされ特産化と品質の競争をさせることでどの村も収入が上がり貧民層が減少してきた。


俺はと言うと、数々の功績に公爵にとの声もあったが丁寧に断ったことで、陛下から姫を降嫁させるので好きな姫を選ぶこととなり、一番年の近い姫をもらい受けることにした。


ところが、この姫様が見かけによらず働き者で、しかも王女という事を鼻にも掛けず村の住民や森の住民とも上手くやっている。どころか、率先して作業に加わる程の働き者だった。ただ、難点を言えば、俺がサボっていると直ぐに怒り出だすのだ。


そして、ラベルさんが俺のことを殿下と言い出した。姫を嫁に貰ったけど、王族に入ったわけじゃないと否定しても殿下と呼ぶ。あとから知った話だけど、俺が姫に婿入りして王族の末端に名前が載せられたとか…… 陛下に嵌められた気分満載だ。


それに伴い、保護区の管理人がハモン殿下から俺になり、ラベルさんも俺の補佐から執事長となりますます口うるさくなっていった。


だけど、これもすべて内内の事として村の住人には俺からは話していない。



おとなりククク村では酒作りの代表地域の座を確立し、杜氏のポロン君とデカド君の兄弟には弟子入り希望者が集まり、後継者の育成にも力を入れているが、お前たちの大師匠は俺の師匠であるサム君にニト君だと必ず教えていて、サルサ村のお酒が俺らの基準だと憚らないようだ。


ボンボ村でも鮮魚の流通が成功し、バターや菜種油。ジャガイモ菓子の成功もあり、正直、サルサ村より高益を上げているが、サルサ村にだけは頭が上がらないと格安で商品を分けてくれる。


そんなこんなで俺がして来た事…… まぁ~ させられた感が強いけど、確実に実になっていることが嬉しい。まだまだ特別開墾事業部は存続していて今も依頼が来ている。


だけど、初めは手助けしか出来ないけど、その後のみんなの頑張りを見たり聞いたりすると、俺にも刺激となり、ほんの少しの知識だけど全部を吐き出しても良いとさえ思えてくる。



サルサの森では正式にレッドが主になり、リルは俺と一緒に国中を走り回ってくれている。

そして、これからも一緒に回ることになっている。


いつも本作をお読みいただきありがとうございます。

このお話はいったんこれで完結とさせて頂きます。

短い期間でしたがお付き合い頂きまして、ありがとうございました。


また、新作「クリーニング屋ですが、補修スキルで最強に」をアップしています。

良ければこちらも合わせてお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n0894ft/

大波 れん


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