第四話 創造魔法に挑戦です
今日も聖霊様達に感謝を込めてお供えです。やっぱり直ぐに消えました。もう慣れました。
堆肥も出来上がりいよいよ混ぜ合わせをする。田んぼには少量の粘土質も加え、畑にも堆肥を混ぜる。
これも土魔法と風魔法でできた。聖霊様達と魔法のお蔭です。わずか10日で2反の田んぼと2反の畑が出来あがった。あとは水車作りです。
丸太を創造魔法で製材していき、なぜか使えるインターネットで見た「揚水水車」をイメージして作り上げた。ほとんどコピーに近い。付帯設備もそのまま採用って感じで川から用水に水を上げることが出来るようになった。ホントに魔法は素晴らしい。何でもありの展開には欠かせないチートだ。
製材をしたので橋も作ろうと時代劇に出てくるような木製の橋をイメージして出来上がったのは橋梁も欄干もしっかりした頑丈な橋だった。もちろん荷車が通れるだけの幅はある。
何度も言うが、魔法は便利だ。ご都合展開に持ってこいのチート。感謝。
だけど、創造魔法を使えば、田んぼも畑も林道も……ってまだ途中だけど、イメージをすれば出来るから初めからそうすれば良かったかもと思ったけど、魔法の練習になったからそれもアリかと思い直すことにした。
ここまで出来れば一段落と、今日の作業は終わることにした。一仕事したとは温泉だ。汗も流せるし疲れも取れる。そう言えば最近は夜になると森の動物たちが温泉に入っているのを目撃している。これも共存共栄譲り合いだ。だから俺は夕方までに入って夜は遠慮するようにしたんだ。
温泉から出ると、遠くにボルトンさんの姿が見えた。
「これは何じゃ~。どうなっとる??」
「ボルトンさん。いらっしゃい」
「おい。もうここまでやったんか」
「はい。さっきこの橋も出来ました」
「出来ましたって……この広さは尋常じゃねぇな」
「魔法の練習を兼ねてやってたらこうなりました」
「畑の土も良い状態だ。腐葉土と木灰か……ちゃんと中和されとる」
「こっちの沼みたいなのは何だ?」
「こっちは田んぼです。水田ともいうけど……」
「初めてみるな。何を作るんだ?」
「米ですけど……」
「米? この辺じゃ作っとらんやつだな。ところでこのデカいのは何だ?」
「これは川から水を汲み上げるための水車です」
「これも作ったのか……」
「はい。田んぼに水は必須ですからね。横に川が有るんです。使わない手は無いですよ」
「裏には温泉も有りますよ。入っていきますか?」
「温泉??」
ボルトンさんを温泉に案内したらここでも口を開けまま固まっていた。
「源泉かけ流しです。しかも飲めますから体の中からも健康になれますよ」
「……お前さんとこはどうなっとるんだ」
「いろいろ試しながらやってたらこうなって……」
さすがに聖霊様の力だとは言えないから笑って誤魔化しておいた。
「ところでお前さん……これだけ広い畑を一人で管理できるのか?」
「……出来ないかも」
「ははは…… どうじゃ、人に貸すとか、雇うとかしみたら」
「あっ! それ良いかも。じゃ~もっと…… この100倍位は広げようかな」
「おいおい…… 村か街を作るつもりか……」
「それは大げさですよ」
「まぁ~ 好きにするが良い。ここは開拓した分がすべて自分のもんだからな」
温泉はまた入りに来るわと言ってボルトンさんは帰って行った。
当初計画した田んぼと畑は完成した。これからまだ100mで止まっている林道作りだ。
今までは土魔法と風魔法を使っていたが、今回は創造魔法を展開して前回行った作業の一連をこの創造魔法でどこまで出来るかためしてみようと考えた。
始めは1mの範囲で展開をしてみた。結果は成功。次に2m・3mと展開していき、5mまでは難なくできたが、それ以上は俺の気力が持たなかった……。
休憩をはさみながらも今日は300mまで仕上がった。
一日の疲れを取るのはやはり温泉だ。お湯の中でせせらぎの音と鳥の声を聴いていると、時間さえも忘れる至福の時だ。この至福を味わっていたところに一匹のオオカミが温泉に入ってきた。
『お主がノゾミか?我はこの森に棲むフェンリル。森の主と言う者もおる。名はリルフォングサンダール。リルと呼ぶが良い』
「タカナシノゾミです」
『森の聖霊殿から話は聞いた。一つお主に頼みがあって参った。聞いてもらえぬか』
「……俺に出来ることなら」
『実はこの森の奥に泉がある。その泉はこの森に棲む者たちの命の水でもある。それがいま枯渇しようとしている、それでは森に棲む者が生きては行けない、そこでお主にはその原因を調べて欲しい』
「えっ、そんなの分かんない……」
『ならば見に来てくれるだけでも良い。もしかしたら何かわかるかも知れん』
「力になれなくても怒らないでくれよ。それで良いなら見に行くよ」
『それでよい』
「わかったよ。今日は遅いから明日の朝その泉に案内してくれ」
『かたじけない。では明日迎えに来る。頼んだぞ』
「本当に、原因が判らなくてもその先は知らないからね」
『分かっておる。安心せよ』
翌朝、リルの案内で泉にやってきた。