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第三十ニ話 新たな開墾依頼が来ました


お酒やうどんが王都を中心に国中に広がって行き、人気も出てきたことでサルサ村は国中にその名を知られることになった。


王宮にはサルサ村についての問い合わせも増えて行き、村長の所には各地からの陳情者が訪ねて来ていて業務に支障をきたすほどだと愚痴を言われた。

陳情のほとんどが開墾の依頼と豊作の秘訣を教えて欲しいと言う事だった。

開墾の依頼は水路や道路の整備が多く、特に水車による揚水は水汲みに苦慮している村からは必ずと言って良いほどお願いをされた。


あまりにも依頼が多いので対応に苦慮した村長にラベルさんが助け船を出したようだ。


「村長。10日間を限度にノゾミさんを派遣するのはどうでしょうか」


ラベルさん…… それって引き受ける前提で話をしてるよ……

俺の意見は聞いてもらえないのか……


「ノゾミ殿。国が豊かになればそれだけ国民の暮らしが楽になり、孤児とか貧民が減ります。これも国の為だと思い、諦めてください」


えっ、お願じゃなくて、諦めなの? 俺だけ諦め??


「依頼地との調整は王宮に担当部署を作りそこで対応をさせますので、直接村長を訪ねて来てもそちらに廻してください」


本決まりだし……俺の意見も聞いてくれぇ~~


「ククク村は引き受けて他を断ることが出来るのですか?」


うわっ、正攻法で来たよ。でも俺はまだまだ味噌や醤油を作って計画が有るんだよなぁ~

依頼を引き受けるとそれが出来なくなるよ……


「では、私はこの件で王宮に行ってきますので、村長はそれまでに訪ねて来られた方に、三日後には王宮に窓口が作られるので、そちらに行くように伝えておいてください。


俺の意志を無視したプロジェクトがどんどん進んでいく……




「国王陛下にご報告を申しあげます。サルサ村とククク村開拓の成功を聞きた国中の村から開墾依頼が殺到しており、サルサ村村長より陛下の保護区管理者への依頼ゆえ、陛下の裁量を仰ぎたいとの事で、出来ましたら、王宮に担当部署を設けその調整を行う事を進言致します」


「あい分かった。国土管理担当大臣。早急に担当部署を作り、その調整に当たらせよ」


こうして王宮内に受付窓口が儲けられ、俺は国からの依頼と言う形で強制的?に国中を回ることになってしまった。



「ノゾミ殿。初めの村はココから東に一日ほど歩いた場所にあるマルサ村に行って頂きます。そこでは近くの川を生かした水路の整備が任務となります」

「はぁ~ 断れないんだよね……」

「はい、すでに国の事業として行われますので、断られると言う選択肢は国には有りません」

「なんかラベルさん楽しそうですね……」

「はい、この度、ノゾミ殿が行う特別開墾事業部の部長を拝命しましたので、必ずや成功をさせます」

「凄い意気込みだね…… ラベルさんも手伝って貰えるの?」

「私はノゾミさんのスケジュール調整と各依頼地との調整も有りますから、王宮に詰めることが増えますね」

「保護区の監視はしなくていいの?」

「それも当部署が担当しますので大丈夫です」


なんか貧乏くじを引いた気分がしてきた……


翌日、リルに乗せてもらってマルサ村にやって来た。

役場に行く前に一通り村を見回ってから村長に面会を申し込んだ。


村長の話ではこの村の作物は水やりが少なくても育つ麦が中心で、買取価格も低く、収益を上げるには麦以外の作物を作る必要があると考え、近くを流れる川から水を汲み上げ、水路の整備が出来れば村が助かると言う事だった。


確かに下見をした時に同じことを思ったが、いかんせん川幅と深さが有る割に流れている水量が少なく、水車を作っても回せるかどうか不安があった。


村長には川の上流に行って調査をしてくる事を告げ、リルに乗って上流へ向かった。


川を上って行くと森に差し掛かった。ここで森の聖霊様にお供えをして森に入るお許しを乞うた。

『ノゾミありがとう』

「リビ。久しぶりだね。なんでここに居るの?」

『この森はね、サルサの森と繋がっているんだよ』

「じゃ~リハンも居るのかな?」

『リハンも居るよ』


聞いて直ぐに俺は水の精霊様にもお供えをした。

『ノゾミだ~~』

「リハン。こんにちは。リハンに聞きたいことが有るんだけど良いかな?」

『なになに?』

「この川なんだけど、どうして水が少ないのかな?」

『それはね、上流で川が塞がれて、森に水が溢れないように少なくしたからだよ』

「そうなんだ。もし塞いでいる物を取り除いたら元に戻してもらえるか」

『いいよ~』


リビとリハンに案内をして貰い、問題の場所にやって来た。


そこには数本の倒木とそれに引っ掛かっている落ち葉などが重なり水を堰き止めていた。まるで自然に出来たダムみたいに……。


俺は防御魔法で障壁を作り、倒木や落ち葉が下流に流されないようにしてから、浮遊魔法を使い丁寧に取り除いて行った。除去作業が終わったところで防御魔法を下から少しずつ解いていく事でダムの水位がそれに合わせて低くなりそれに伴い、川の水位が上がって行った。


防御魔法を完全に解いたところでリハンに本来の水量に戻して貰った。これで水車による揚水も出来るようになった。


リビとリハンにもう一度お礼のお菓子をお供えしてマルサ村に戻った。



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