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第三話 開拓は順調だけど、やることがたくさんです

一日の初めに大地と川と森のお供えをして、感謝と作業の安全を願う。直ぐにお供えが消えるのもそろそろ慣れてきた。


草取りもほぼ終わり、いよいよ田んぼ作りだ。密かに練習をしておいた土魔法で300坪を一区画として20区画を予定しているが、試しに一区画を作ってみる。


家から少し離れたところの川沿いにタテ33m、横30mの穴を掘り田んぼ原型を作る。四方に畦を作り、その両端に用水路と排水路を作る。その時に出た土の一部を土魔法で粘土質の土に変え、これを均等に田んぼの床面と畦面に塗る。これは田んぼからの過剰な水漏れを防ぐために必要な仕込みだ。


更に土魔法で石を取り除き田んぼに戻す。石は水路の補強に使うよ。これだけやっても疲れないから魔法はとても便利だ。水は水車を作って川から水路に汲み上げる方法を考えている。


出来上がりの確認のため水魔法で田んぼに水を張ってみた。直ぐには分からないので3日後くらいに確認だ。その間に畑を作ろう。


荷車が楽に通れる幅を開けながら、田んぼと同じ区割りで開いていく。これも土魔法で耕していくから簡単な作業だ。出てきた石は丁寧に取り除き、通路の敷石に使う予定だ。邪魔な扱いはしない。そう言えば「自然と共存共栄してこそ人の命が保たれる」と死んだ婆ちゃんの口癖を思い出した。


『ノゾミ~ ちょっと頑張り過ぎじゃない?』

『そうだぞ。俺たちを頼っても良いんだぞ』

『お菓子とお酒を貰ってばかりだもんね』

「リハンもリビもカウスもありがとう」

『俺たちに何かお願いは無いか?』

『何でも良いんだぞ』

『その代り、お酒とお菓子を頂戴ね』

『『それは言わない』』

「じゃ~、露天風呂を作りたいんだけど、協力してくれるかな」

『じゃ~僕が穴を掘るよ』

『ではわし森から石を持ってこよう』

『温泉脈を持ってくるよ』


聖霊様達のお蔭で裏庭に見事な露天風呂がアッと言う間に完成した。しかも一度に10人は入れるほど広い。リハンが言うには飲む事も出来るとかで、取温泉?も出来るようにしてくれていた。


『ねぇねぇ~ 入ってみて』

『気持ちが良いぞ』

『おいらたちも入るよ~』

そうなんだ……って、どうやって入るのかと思ったらいきなり人型で現れた。 

お酒とおつまみも持ち込んで露天風呂完成祝いで聖霊様たちと一緒に楽しんだ。



試作の田んぼに水を張って三日後、聖霊様にお供えをしたあと田んぼの様子を見に行くと水は抜けていなかった。すきどこ層は成功だ。すきどこ層とは粘土質で固めた部分のことだよ。


次は排水口を開いて水抜き。これも成功。しかし、土がドロドロでモチッとした田んぼの土じゃない。

少し粘土質を混ぜる必要があるようだ。これは堆肥を混ぜるときにでもやろうって……堆肥の用意がしてないよ……。


とにかく田んぼは合格点が出せる出来だったので、同じ作業を繰り返し、5日掛けて予定の600坪の田んぼを作り、さらに5日掛けて600坪の畑を作った。



今日は森で林道整備を兼ねて堆肥として使う腐葉土も集めてこようと計画していた。

森に入る前に、いつものようにお供えをして感謝と腐葉土採取のお願いをした。当然お供えは消えた。


林道も荷馬車が通れるほどの広さを保ちながら森の聖霊様が教えてくれた場所に向かって進めていく。上層の腐葉土は風魔法で集め空間に仕舞う。木は伐採でなく土魔法と重力魔法を使い、抜いてそのまま空間に仕舞っていく。残された穴も土魔法で埋め固めて行くことを繰り返し、1日で100mほど進んだ。


抜いた木は根と枝打ちをして丸太にしてから、崩れないように山積に。枝と根は実験で火魔法と風魔法で乾燥出来ないか試してみたら、見事成功したので、燃やして木灰を作った。これと腐葉土を混ぜ発酵させてから田んぼと畑の土に混ぜてれば土の完成のはず……。



「カウス、リビ、リハン。相談が有るんだけど、居るかな」

『なになに?』

『いつも傍で見ておるぞ』

『ノゾミの相談なら聞くよ~』

「相談っていうのは、木を早く乾燥させたいんだ。こないだ火魔法と風魔法で切った枝と木の根を乾燥させることができたけど、かなり時間が掛かってオレも疲れたし、もっといい方法知らないなか?」

『じゃ~ ウィンとラボを連れてきてあげる』

「ウィンとラボ?」

『風と火の聖霊だ』

「えっ、いいの?」

『友達だから大丈夫だよ』

『ちょっと待ってて。直ぐだから』


『そなたがノゾミとやらか? 妾は風の聖霊でセーウィンファーウィンフォーウィンである。ウィンと呼ぶが良い』

『吾輩は火の聖霊でシュタールラボジアン。ラボと呼ぶことを許そう』

「ありがとうございます。私はタカナシノゾミ。ノゾミと呼んでください。これはごあいさつ代わりです」


いつもお供えに使っているお酒とお菓子を備えた。もちろん消えた。


『気を遣わせてすまぬ』

『感謝するぞ』

「粗末なもので恐縮です」

『ところで、カウスに聞いたのだが我らに願い事が有るそうじゃな』

「はい。森から切り出した木を早く乾燥させるのに、お力を貸していただけないかと思っています」

『ほう~ 我らはどうすれば良いのじゃ?』


魔法で試した方法を火と風の聖霊様に話したところ、同じ方法をやってもらえることになった。

さすが聖霊様達というべきか、川に掛けてあった木もすべて乾燥させてくれた。


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