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第二十五話 ワインの次は日本酒だ

精米したての新米を集会場に持って行く。ここで今日は皆で炊き立てご飯の香りと味を楽しむのだ。


創造魔法で銅を釜に。木でフタを。鉄で釜用の竈を作り薪で炊き上げる。「始めチョロチョロ中パッパ。赤子泣いても蓋取るな」って婆ちゃんが言ってたよな。竈に細く切った薪に火をつけ火が大きくなったら薪をくべ更に強火にする。しばらくすると蓋の隙間から零れる蒸気や泡が出てくる。それが無くなったら一気に薪を取り出し蒸らしにはいるが、今日はおこげを作りたいので火を止める時間を少し遅らせる。火を止めたらそこから20~30分の蒸らしだ。ここで蓋を取るとすべてが台無し。じっと待つ。


この間に、畑で獲れた野菜の漬物を用意した。それと卵としょう油。これはメルーサのよろず屋で貰ったものだ。


脱穀作業を終えてみんなが戻って来た。米の香りに誘われて竈の周りに集まって来たところで、蓋を開けた。


「「「わぁ~~~~」」」


歓声がおこった。


「うぅ~~ 良い香り」

「甘い香りがする~」

「ご飯が光ってるよ」

純白のご飯を見てお腹の虫も泣き出した。


全員にご飯を配り、思い思いの食べ方で食べる。俺は白菜の漬物でご飯を巻いて食べるのが好きだ。

漬物の塩気がご飯の甘さを引き立ててくれる。


新米を存分に堪能したところで、酒作りを提案してみた。


「米からお酒が出来るのですか」

「ワインも驚いたけど、米から作るお酒も美味しいんだろうな」

「国王陛下からも農産物で作る加工品を手伝うように言われていますから作りましょう」


みんな興味もあってか、協力的な意見が多かったから、取って置きの日本酒をみんなに振る舞った。

これはネットで買ったものだ。


「これが米から作ったという酒か」

「ワインとは違い香りが弱いですね」

「なんか水みたいで、酒と言われなきゃ分かんねぇな」

「おいおい、しみったれてないでもっと注いでくれよ」

「これはワインより酒精が強いのでまずは味見程度で」


一口飲んだ後は我先にと瓶の取り合いでアッという間に一升瓶が空になった。


「こりゃうめぇ~ おりゃワインよりこっちが好きだぜ」

「キリとした味とのど越しがたまらんな」

「うへぇ~ 飲んだ後から香りが戻ってきやがった」

「気に入った。みんな。この酒作ろうぜ!」

「「「「「おぉ~~!!」」」」」

「もっとねぇのか。飲み足りねぇよ~~~」

「そうだそうだ。飲み足りねぇ~」


なに? もう酔ってんの? 口調が荒いよ。これが素なのかな?? 

なんてそう思いながら追加の酒をだした。


「ほらよ。この酒はね、塩を少し付けて飲むとさらに美味いんだぞ」

「なに? 塩だと。聞いた事ねぇな」

「なんじゃこりゃ! 酒が甘くなったぞ」

「ほんとだ、こりゃ美味いわ」

「塩は少量ね。欲張ると辛いだけだからな」

「細かい事は気にするな! 美味けりゃ良いんだよ」

「しかしよぉ~ こんな美味いもんなら作らないって法はねえよな」

「そうだそうだ。みんなで作ろうぜ」


酒精が強い分、回りも早いからか、呑んべぇたちの宴は収まるどころかヒートアップしていった。

やはり百聞は一見にしかず。飲ましてみる方が説得力はあるな。と内心ほくそ笑んだ。


結局。一升瓶10本をみんなで飲み干した。途中、こっそりタブレットを使いネットで購入したくらいだ。


翌朝は女性陣や子供たちが畑に水やりをしていたが、男組は……使い物にならなかった。二日酔いで起きれないようだ。今頃頭を抱えているのだろうと想像をするだけで可笑しかった。


昼頃になってやっと動けるようになった男組に、籾摺り(もみすり)をして貰う事になっている。

籾摺りとは脱穀した稲穂から籾を取り除き玄米の状態にすることだ。来年用の種籾を残して全部。これは水車小屋での作業になる。しかし量が量なので終わるのに数日は掛かるだろう。

ちなみに、藁は半分を程残して籾と一緒に焼いて灰にする。これが肥料になる。


男組が籾摺りをしているその間に俺は酒作りの準備をしよう。なにせ酒蔵から作らないといけない。それと仕込み桶に蒸し器具に放冷機。ネットで調べは必要な物を用意して行く。


問題は酵母菌だ。ネットでは天然酵母の作り方で果物を使った方法が載っていたが、これを酒でも使えるのかが疑問だが、これは使えると言う前提で話を進めることにしよう。ご都合主義だけど良いよね。誰も気にしないよね。いや、気にしないでほしい……。


今回は干した山葡萄が有ったのでそれで作ることにした。


手始めに行ったのは酒蔵作りだ。小物を揃えても置く場所が無いし、一番大変な作業だからだ。ネットで色々な蔵の写真を見てはイメージを膨らませた。なにせ、どれだけ精妙なイメージを作れるかがポイントだからだ。特に麹室は温度と湿度管理が大事だと書いてあったので、温泉と地下水を利用して調節が出来るようにイメージを構築して、あと、蔵の中に仕込み用の井戸もいるな。

とにかくワインを作るより大変そうだけど、すでにワクワクしている。


イメージが構築されたところで創造魔法で材木を加工して組み立てて行く。壁は稲架で使った竹を割いて土壁の芯にして、そこに藁を混ぜた土を塗り固める。いつも思うが創造魔法が無ければ何もできなかったと思う。


蔵が出来たら仕込み桶作りだ。樽作りよりイメージが作りやすいので思ったほか簡単に出来た。

あとは細かなものが特に面倒な事は無かった。後は仕込み始めるだけになった。


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