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第十四話 マルマン商会

冒険者ギルドで貰った1万ギルを大金だと喜んだが、宿代で半分以上が消えた。仮に外食をしていたら手元には残らなかっただろう。本当の意味で仮払いだった……


今日は街を見て回り、鉱物を売ることが出来そうなら売るつもりだ。その前にギルドに行こう。


「おぅ。待っていたぞ。こっちにこい」

ギルド長に連れて来られたのは昨日の倉庫だった。

「肉以外の買取りという事で査定した。買取り部位は皮と爪。牙と目と魔石だ。全部で55万ギル。それと、これには討伐依頼が出ていてな。その討伐料が15万ギル。合わせて70万ギルだな」

「そんなに貰えるんですか?」

「それから、いまEランクだったよな。サンドワームを倒してEは不味いからな。Bランクにする」

「いや……退治したのはリルだから……」

「そのフェンリルはリルと言うのか。でもお前の従魔だからな。お前の功績だ」


ドメルクさんはそう言うと、俺にギルドカードをそばに居た職員さんに渡した。俺は肉を空間にしまうと、ドメルクさんに鉱物を買い取ってくれるところを聞いてみた。

「うちでも買い取るが、生産者ギルドの方が高く買ってくれるぞ」という事だったので、場所を教えてもらった。


受付に戻ると今回の買取り金と新しいギルドカードを貰った。前のカードと違うのはEがBになっただけだった。昨日まではほぼ無一文に近かったのにいきなり大金持ちだ。ほんと生きていると何が起こるか分からない。


ギルドを出ると街を歩いてみた。さすがは第三の街だけ有って人が多い。それにいたるところに商店がある。そんな中、物産買取りしますと書いてある店を見つけた。店の名はマルマン商会。


その店に入ると、どんな物を扱っているかを見て回った。この店は武器や装備品、衣料に宝石。それに食品といわゆるデパートのような店だった。

「いらっしゃいませ。今日の御探し物はどのようなもので?」

店の者が声をかけて来たから、買取りの話を聞いてみた。

「売れる価値が有る物ならどんなものでも買取り致しますよ。もしお持ちでしたら拝見させてください」と買取りカウンターでなく、応接室に通された。

「見たところ高貴な従魔をお連れの様でしたので、こちらにご案内をさせて頂きました」

「ありがとうございます。実は初めてこの街に来ましたので勝手が良く判っていません」

「ご安心ください。当店は王室の御用も受けております。足元を見るようなお取引は致しませんよ」

そう言うと王室御用の鑑札を見せてくれた。本物かどうかは分からないが、さすがに王室関係の物を偽造はしないだろうと納得させた。


「それで、お持ちになられた物をお見せいただけますか?」

俺は慎重に出す物を考えていた。まずは塩と砂糖だ。砂糖は海岸近くに植えたサトウキビから作ったものだ。サルサ村でも塩より貴重とされていた物だ。

「ほう~ 塩と……これは砂糖ですか……」

「そうです」

「量はどれほどお持ちですか?」

「塩は100キロ、砂糖も100キロです」

「かなりの量をお持ちですね。良ければ全量を買取りしましょう」

「全量ですか?」

「はい。当店で塩は100グラム2000ギル。砂糖は100グラム3500ギルで売っています。その6掛けの330万ギルでどうですか?」

「330万ギル……」

「もう少し色を付けて350万ギルまででしたら出しますよ」

えっ?普通は値切るのに割増しで提示してきたよ……

「いえね、貴方とはこれからも良い関係になれそうなので、ごあいさつ代わりの金額ですよ」

俺はどう答えて良いのか分からなかった。

「昨日、冒険者ギルドにサンドワームを売りに出しましたよね。そういう素材も出来ましたら今後は当店に売ってもらえるとありがたいですね」

そういう事か……いわゆる青田買いってやつか……だけど、なんでギルドでの事を知ってるんだ?


「魔物系の素材は期待されると困ります。昨日が特別なんです」

「では違う素材をお持ちで?」

「その前に確認したいんですが、こんな高額な買取価格を勝手に決めて大丈夫なのですか?」

「ご安心ください。それは大丈夫です。ご挨拶が遅れましたが、私はこの店のオーナーでアラート・マルマンと申します」

「失礼しました、俺はノゾミと言います」

名前を聞いてビックリした。この店のオーナーとは……

破格の対応をしてくれたお礼の意味で鉄と銅の延べ板を見せてみた。


「ほぉ~ これはまた素晴らしい。精製もご自身で?」

「そうです。純度は99,99です」

「最高純度ですか。少々調べさせてもらっても良いですかね」

「どうぞ」


マルマンさんは何処からか計器を持ってくると延べ板を調べ出した。

「これまでたくさんの鉱物を扱ってきましたけど、これだけ純度が高い物は初めて見ましたよ。99,9999の表示を見たのも初めてです。しかも、2種類ともです。精製方法を知りたいぐらいですよ」


さすがにそれは教えられない。


「買取価格ですが、この板は一キロですよね。鉄が一枚5万ギル。銅が一枚6万…いや、7万ギルでどうですか。標準価格の倍を出しましょう」

俺もあいさつ代わりに鉄と銅をそれぞれ20キロずつを売ることにした。取引が成立して塩と砂糖、それに鉄と銅の合計金額374万ギルを受け取り、店を出た。


その後、マルマン商会から密命を受けた一人の男が出てきた。


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