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第一話 ここは何処ですか?

俺は高梨望(たかなしのぞみ)35歳。入社して13年。初めて地方の支店に飛ばされた。

そこは最近噴火して話題になった火山が近くに在る有名な温泉地で観光客も多い街だ。

オレは指示された通り、築50年超?の木造平屋のボロ社宅?に1人で住んで居る。


家はボロだけど、風呂は広めで温泉が引かれている。しかも源泉かけ流し。少し熱めなので、浴槽に貯めてから冷ます。風呂好きな俺はかなり気に入っている。


趣味は和装。帯を締めると気も引き締まって、スキッとするんだね。今もお気に入りの一着を着ている。それは仕事が休みだからだ。


ただいま仕事に着て行く服を洗濯中。終わるまでのんびりと朝食を食べて居たとき、かなり強い地震に襲われた。揺れが収まったので慌てて外に飛び出したら…… 異世界だった。


俺が今立っているのは一面の草原……微かに聞こえてくる川と鳥の声がだんだん大きく聞こえてくると同時に俺の意識も戻ってきた。後ろを向くとあのボロ家とその奥には森が見えたのさ。


ココはどこだ???


そうだ、家の中は無事か? 慌てて中に入り確認したが、地震の被害を受ける事無くすべてがそのままだった。ただ、不思議な事に、電気も付くし、水も出る。ガスも温泉もそのまま使えた。なぜだ?

ただ、テレビと電話は使えなかった。が、なぜかインターネットは使える。なぜだ!



まずは整理をしよう。


分かっている事……

ココは今まで住んで居た場所ではない事。

家の設備はテレビと電話以外は使える事。

家の前は草原、横には川。後ろは森である事。

あと、視界の中に我が家以外で見える家がない事だ。


分からない事……

ココの場所は何処なのか?

どうして俺はココにいるのか?

他に人は住んでいるのか?

一番分からないことは、この場所が安全なのか?


そのうち分かってくるだろう……


そう言えば、洗濯が終わっていたよな…… 干さなきゃ。

家の裏に回ると、なんと庭まで移転していた。どうやら土地ごと飛ばされたらしい。

とにかく、今は現実を受け入れることの方が重要だ。もう考えるのを止めて洗濯物を干した。


意識を冷静に保ったせいか、喉の渇きを感じてお茶にした。こういう時は温かいお茶が一番落ち着く。


「はぁ~ さて、これからどうしようか…… 取り敢えず、近くを散策してみるか」


森は何が出るか分からないので、野原の方へ歩き出した。ホント何もない。道らしき物すらない。

30分程歩いてようやく1軒の家を発見した。



「ごめんください……。ごめんください……」


返事が無いので、勝手に裏の方に回ってみたら、1人の老人が薪割をしていた。


「すいません。聞きたいことがあるのですが、お話ししても良いでしょうか」

「誰だ。見かけない顔だな」

「すいません。あの、ココはどこですか?」

「おかしなことを聞くな。お前さんはどこから来た」

「えぇ~っと…… 日本と言うところです」

「日本だ? 初めて聞く地名じゃ。どこに在る」

「私もココが何処だか分かれば説明が出来るかも……」


老人はボルトンさんと言い、ココはメルテナ王国のサルサ村で開拓途中の村と教えてくれた。

ボルトンさんも開拓者の一人で、自分で開拓したところは自分の土地になると言う事で、10年前にメルーサと言うダンジョン都市から越してきたそうだ。


「あの…… もう一つ聞いても良いですか?」

「なんだ」

「ココは地球ですか?」

「ぶはははは~~~~ 可笑しなことを聞くな。ここはゴワクと言われとる星じゃよ……って、まさか、お前は異星人か!」

「見たいですね。私は地球人です。先ほどここに飛ばされたみたいで……」

「…………」

「僕も開発しても良いのでしょうか?」

「あぁ~大丈夫だ。もう少し先に役場がある。そこで入植者の登録をしてこい。そうすればお前も入植者だから自分で開発した土地はお前の物だ」


ボルトンさんにお礼を言って、サルサ村の役場を目指した。


役場は集落の中心部にあり、その周りに色々な商店が軒を連ね、村の開発に必要な道具や食料なとを売っていた。だけど、おれはここで使えるお金は持っていないから用無しの場所だ。


役場に着くと入植者登録窓口と書いてある窓口に向かった。

「いらっしゃいませ。入植者登録ですか」

「はい。おねがいします」

「何か身分証明書はお持ちですか」

「……いえ、持っていません」

「では身元登録もしますので、こちらの用紙に記入の上、こちらの水晶に手を置いてください」

「これに触って何か判るんですか?」

「この水晶は書類に書かれた内容の虚偽判定をします。水晶が赤く変色しなければ受理されます」


言われた通り、書類に記入したあと水晶にふれたが変色することなく無事に入植者登録が出来た。今は開拓中という事で本来は必要な登録料が免除だとボルトンさんに聞いたので、ついでに冒険者登録に商業登録。薬師と鍛冶・料理人と思いつく職業全てを登録しておいた。もちろん役場の人に「欲張りな人ね」と笑われたのはご愛敬だ。


役場の人の説明では新規入植者は税金が10年間免除され、その後5年間は収入の1割。その後2割となり、20年後から通常の3割を納めることになり、入植日を証明する証書を渡された。これを納税期に提示すれば特例が適用される。もし無くしても再発行が出来るので安心した。



役場を出て、各種登録カードを貰ったのはいいけど、冒険者カードを作る時に役場の人の反応が俺は気になっていた。とても驚いた表情をしていたのだ。すぐに事務的な表情に戻ったが、果たしてなにを意味していたのか……。


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