未来の王たち
「それでは、これで修了式を終わる」
講堂に響く野太い男の声。
黒い少しひしゃげたとんがり帽子を被った老人が姿勢を正して腰をおる。
それに合わせて全校生徒たちも礼をする。
ルギオスと出会ってから一週間が過ぎた。
今日は、一年が終わったことを示す修了式。幼等と小等は、同じ日に行う。
皆、今晩から家に帰れるのでそわそわしている。
生活指導の先生から言われた春休みの過ごし方をちゃんと聞いていた者は少ないだろう。
「春休みは何をして過ごすんだ?」
出口付近でディミータは、ルギオスに声をかけられた。
「今のところ特に何もないかな」
歩きながらディミータは答える。
「そっか……。俺らが普通の家系だったら長期休暇でも会えたんだけどな……」
残念そうに目を伏せるルギオス。
最初の堅苦しい喋り方は、すっかり抜けている。その証拠に一人称が私から俺に変わっている。
彼らは王族のため無闇矢鱈には会えない。
王族同士が会うというのは国際ニュースになるほど大きなことなのだ。
「別に二週間なんてすぐさ」
慰めるようにディミータは言葉をかける。
「やーい! やーい! 忌み子の王子!」
二人の世界に下品な声が飛び込んでくる。
スっとディミータから感情が消える。
「行くぞ、ルギオス」
その声は、先程ルギオスと仲良さそうに話していたときと全くの別人だった。
ルギオスの顔からも自然に感情が消える。
「君たち。それは、僕の友人であるディミータ王子に向けての言葉か?」
キッと上級生らしいエルフの男の子たちを睨みながらルギオスは言葉を続ける。
「僕の友人を侮辱するということは、僕にも侮辱してることなんだが」
ルギオスを見て顔から血の気が引いていく男の子たち。他国の王子を侮辱したとなれば最悪国際問題になる。
「ルギオス。行こう。あんな奴ら相手してたら時間の無駄だ」
ディミータが耳打ちしてから、歩き出す。
ルギオスは、もう一度睨んでから歩き出した。
デニー・ザラ
レヴィンス王国 騎士団 第一部隊 隊長
少々ガサツな所があるが、口は硬い。
酒が弱いくせに酒好き。
相手の心を開くのが得意で後輩からしたわれている。
髪色:紫に近い赤毛
虹彩:茶色
身長:186cm
服装:王家の紋章が入った甲冑 私服は後輩たちいわくオッサンぽい
サンプルボイス
☆自己紹介
「俺の名前は、デニー・ザラ。短くて覚えやすいだろ? これからよろしくな!」
☆フリー
「ルギオス様は、正義感が強くていつも変なことに首を突っ込みたがる。それがいいとこでもあるが、同時に治さなくちゃいけないところだ。
自分からトラブルを巻き込んで命を落とされることだってあるからな。
まあ……言っても五歳だからな……。そういう難しいことはまだ、わかんないんだろうけどな」