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罰ゲーム

「それで罰ゲームってなんですか?」


 不機嫌そうな顔をしてフェデルタはアンニャに聞く。

 アンニャを含めた残りの四人はフェデルタが描いた絵を見て笑っている。

 デニーとアンニャに至っては腹を抱えてゲラゲラ笑っていたせいで、呼吸困難を起こしかけている。


「もう一度聞くけどこれ何?」


 呼吸を整えながらアンニャはフェデルタに聞く。


「……鳥です」


 いやいやながらも答える。


 鳥には……というよりそもそも動物には見えない絵。それを見てアンニャはまた笑い出す。


「フェデルタ……誰にでも不得意なことはあるから大丈夫だよ」


 笑いを堪えながらディミータはフェデルタをフォローする。


「ある意味これは才能だよ!! 自信を持ってよカタブツくん!!」


 バシバシ硬い鎧を叩きながらアンニャもフォローになってないフォローをする。


「あの……質問に答えてください」


 ムスッとした顔でフェデルタは再びアンニャに問いかける。


「え、あ、罰ゲーム? そうだな……考えてなかったけど……そうだ! あたいの似顔絵描いてそれをカタブツくんの部下に見せるってのはどう!?」


 ニヤリと顎に手を当てて微笑むアンニャの姿は悪役そのもの。


「正直、嫌ですけど同僚や部下はそのこと知ってますしいいですよ」


 いいですよといいながら全然笑ってない。それどころか目に殺気が宿ってる。


((目が笑ってない!!))


 アンニャ以外の三人の心の声が重なった。


「あ! どうせならみんなであたいを描いてくれ! 正面はカタブツくん担当で他は好きにあたいを囲って描いてくれ! 制限時間は今からチャイムがなるまでな!」


 そう言ってどっから持ってきたのかキャンバスとイーゼル(キャンバスを立てる道具)を四人に配る。

 机を端に寄せスペースを作る。ドカッとアンニャはその中央に椅子を持ってきて座る。

 男たちは黙って椅子で円を書いて座った。フェデルタが正面、ディミータが右、デニーが後でルギオスが左側を描く。

 四人は黙々と手を動かす。静かな教室に鉛筆を走らす音だけが響く。




「それで描いたのがこれですか? 隊長」


 いつもは親しくしている同僚のサザンがフェデルタの肩に手をかけて例のデッサンを眺めて聞く。

 フェデルタは眉一つ動かさず黙秘を続ける。


「え、で、そのアンニャって子は人狼なんですよね?」


 サザンは舐めるようにフェデルタが描いたアンニャのデッサンを見る。

 骨のような手足に亡霊のような光のない目と口。


「いや、正確には狼ではなく猫らしいんだ。その証拠にほら、俺の描いてる尻尾は細いだろ?」

「ごめん、俺それただの線だと思ってた。だってさ、線一本じゃ尻尾ってわかんねぇーって!! 隊長!!」

「隊長はやめろ」


 サザンが隊長と呼ぶときは決まってフェデルタを馬鹿にしている。


「ぶっちゃけ、これ、なんか呪い(まじない)かけたでしょ? でなきゃこんな絵かけないだろ」

「俺の才能は全て剣にある」


 ギロっとフェデルタに睨まれたのでサザンは首をすくめる。


「ちなみにこれがディミータ様の絵です」


 カバンから取り出したキャンバスをサザンに渡す。

 フェデルタよりヒトかつ女性だとわかる横顔。


「お前……子供に画力が負けるってどういうことだよ」

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