半分
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エルフ族とオーク族の二つの種族がともに暮らす国。
それが、スミレニー王国だ。
国の歴史はまだ浅く、つい八年前に建国された。
というのも元々、エルフ族とオーク族は川を挟んでそれぞれの国をもっていた。
その頃は、特に問題もなく良い関係を築いていた。
だが、十九年前に勃発した世界大戦により両国の国交に亀裂が入り関係は最悪になってしまった。
戦争は一年後に終戦を迎えた。両国は徐々に関係を修復し、その十年後に国交回復の最終段階として国を一つにした。
オーク族 第一王女 ディミラリー・アニー・スミ
エルフ族 第一王子 クロミータ・セルロス・レニー
二人の結婚により誕生した国がスミレニー王国だ。
現在、スミレニーには国王はいない。
なぜ、王国と付いているのに王がいないのか。
それは、エルフとオークのハーフであるディミータが初代国王となり、国民を導くことになっているからだ。
それは、建国と同時に宣言されたことだ。
ディミータは、現在五歳。
成人までの残り十五年間は、王は不在。
その間の政治は、国民から選ばれた代表とディミータの父と母が中心となって行われる。
ディミータは、成人するまで王になるための教養を付けなくてはならない。
それは、彼がどんなに拒もうが周りが許さない。
ディミータは、三歳の時からこのミネルワ学園に入園している。
三歳から五歳を幼等
六歳から十二歳を小等
十三歳から十五歳を中等
十六歳から十八歳を高等
と言う。
それぞれその年齢にあわせた教育を受けることになっている。
基本エレベーター式に上に上がっていくがあまりに成績が悪いと留年もある。ちなみに、三回留年すると退学になる。
入学資格は、世界中の王族・貴族全てと一般市民の中でも上流階級の子供。
中等からは、各国にある学校の中で飛び抜けて成績が良い者が編入してくる。
主に受ける講義の内容は、五つ。
人前に出るには欠かせないマナーの授業。
晩餐会などで披露するための芸術の授業。
理科や社会といった普通科目の授業。
万が一の時のために体術・剣術の授業。
そして、魔法の授業。
これら全て入園から卒園まで受ける。ただし、魔法については小等からだ。
「ディミータ様。少し急がれた方がよろしいかと」
フェデルタの低い声が石でできた白壁の廊下に響く。
「なんで?」
ディミータは、すっとぼけた声でたずねる。
「次の授業は、来年のクラスの顔合わせです。今とは違い各国の王族たちのクラスとなります。このペースでは、開始時刻に間に合いませんよ」
小さな背中に視線を送る。
「部屋はどこだっけ?」
歩くのをやめてディミータは、フェデルタに聞く。
「東棟の二階。大樹の間です」
ディミータは、頭の中で学園の地図を広げる。
現在地は、西棟の中庭。歩いていけば、最低でも十分ほどかかる。しかし、授業はあと五分で始まる。
「フェデルタ。奥の手を使うぞ」
ディミータは、スタスタと早歩きで壁に向かう。白い小さな手を壁にはりついていた青々としたツタの植物に向かって伸ばす。
眉を寄せ、何か言いたそうな顔になるフェデルタ。刃物を喉元に突きつけられても動じない彼が表情を変えるのは珍しい。
「無駄だと分かってますが、他の方に見られる可能性がありますよ?」
「遅れるよりマシだ。ほら、行くぞ」
ディミータは壁から一部を剥がし、東棟の方角に向ける。しぶしぶ、両手の間にディミータが入るようにフェデルタもツタを持つ。
「ビューチュン!!」
ディミータが叫ぶと金に近い黄緑の光が彼の両手から溢れた。
ツタは、メキメキと音を立てながら巨大に成長していく。あっという間に西棟の赤い屋根まで大きくなる。
二人は振り落とされないようにしがみつく。
一気に成長速度が早くなる。グングンと伸びていき三十秒ほどで東棟の中庭に着いた。
「ここからなら、嫌でも二分前で着くさ。さ、行くぞ」
ツタは、シューっと空気が抜けるような音を立てながら小さくなっていく。
フェデルタは、誰もいないことを確認してから呑気に歩くディミータについて行く。
だが、先程の庭でその一部始終を見ていた者がいた。
油っけのない乱れた黒髪に針金のように歪んだ眼鏡。
既に植物は元の姿に戻り何事も無かったかのような顔をして壁にへばりついている。
ペンだこのできた右手でツタを何かを確かめるように触る。
うっすらと靄のように残る魔力の痕跡。
「神童……」
呟きは風によって消えた。
新キャラが居ないので今回は、お休みです。はい。