表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/32

虫の知らせ

 本能のままに血をすする幼い吸血鬼。

 嫌な予感がしてすぐに戻ってきたら……このザマ。


 吸血鬼は、血を吸うと魔力が強くなって回復力もアップする。破れた服のまわりには血が滲んでいたが傷口は綺麗に消えていた。


 さすが、吸血鬼。

 さ、もういいだろ? そろそろ離してやってくれ。


 半場無理やりルギオス君を引き剥がす。


 おや…………ルギオス君……無意識で吸血していたみたいだ。

 己を死なせたいための防衛反応か。

 さて、ディミータは……。こっちも気を失ってるようだ。


 首元の血が痛々しい。

 傷口にそっと手を当てる。

 流血は空気に溶け、二つの傷口は逆再生のようにふさがる。


 証拠隠滅。

 あとは、あの刺客だけど……まあ、いいか。

 さっき、この森全体に眠りの魔法をかけたからそこら辺で寝てるだろうし。

 とりあえず、この二人を先生の寄宿舎まで運べばいいか。


 この二人を同時に運ぶには…………うん。

 二足歩行のこの姿じゃ無理か。なんだかんだ言ってこっちの姿も便利なんだよな。


















 もがきながら意識が浮上していく。ドロドロとしたものがまとわりついて上手く上に上がれない。


「…………」


 遠くの方で男の声がする。


 誰だ? 誰なんだ?


 聞き覚えのないようであるこの声。懐かしいこの声。


 ルギオス……ルギオスはどうなったんだろう。


 ルギオスの苦しそうな顔が頭によぎる。


 ぼんやりしていた霧が晴れ意識が鮮明になる。

 目を無理やり開くと見知った天井が広がっていた。

 体を起こそうとしたが力が入らない。


 ルギオス!? ルギオスは!?


 首元の傷口をさする。

 ない。

 確かにあのとき噛まれたのに。


「ディミータ様? お目覚めですか?」


 視界の中に深緑の長い髪を後ろで束ねた三十代ぐらいの男の顔が入ってくる。

 僕の執事のゼムだ。

 優しいゼムの手が僕の頬を撫でる。


「ルギオスは……ルギオスは……!」

「落ち着いてください。ルギオス様は、無事です」


 ゼムの言葉に胸の奥に火が灯る。


 ゼムの話によると僕は丸二日寝ていたらしい。

 ルギオスは、昨日目が覚めて今はゆっくり部屋で休んでいるらしい。


 不思議なことにあの夜、龍のような声が聞こえ慌てて外に出たところ僕とルギオスが倒れていたらしい。


「ディミータ様。出来ればあの夜の詳細を教えてくださいませんか?」


 僕は覚えてる限りのあの夜のことを話した。


 刺客に襲われたこと、ゴルミスの枝をルギオスに飲ませたこと。

 言うか迷ったけどルギオスが僕の血を吸ったこと。

 それから


「ヒト……ですか?」


 ゼムが不思議そうな顔をして口の中で繰り返す。


 意識が完全に落ちる瞬間、ルギオスを僕から離した人物。

 顔も声も何も覚えていないが僕はその人物とどこかであったような気がした。


「もし、その人物が分かればお礼を申し上げなければなりませんね」


 僕の話が終わると今度はゼムが話し始めた。


「あの夜にディミータ様を襲った実行犯は捕らえました。あと、一週間もすれば裁判が始まるでしょう」


 あぁ……アイツらか……。

 おそらく…………と言うより必ず裏で糸をひいてる奴がいる。

 そいつを…………この手で殴り飛ばしてやる。

ゼム・ターナー


ディミータの専属執事 紳士の代名詞みたいなヒト。


髪色:深緑

虹彩:パステルカラー

身長:176cm

服装:礼服


サンプルボイス


☆自己紹介

「ディミータ様の専属執事ゼム・ターナーです。清く・正しく・優しくをモットーに日々ディミータ様にお仕えしております」


☆フリー

「ディミータ様…………また、あのような冷たい目を……。ルギオス様と仲良くされていたのにまさか、こんなことが……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ