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変わってる

 テント作りは意外に簡単だ。

 何せ、元々必要なものは全て入ってる上に子供でもできるような簡単なもの。

 手順はこう。


 >>1テントは小さく折りたたまれているのでそれを取り出す。

 >>2テントを作りたいところに向かって思いっきり投げる。

 >>3テントを地面に固定する。

 >>4完成。


 な。簡単だろ? これは、ジャンプテントと呼ばれるもので短時間でテントが完成するグッツだ。

 テントの中には、寝袋も付いている。

 色も紺、迷彩、土色、深緑、ピンク、白、水色と豊富で若い女性にも大人気!


 …………なんで、テントの宣伝やってるんだろう……。

 これが売れたところでなんの得にもならないのに。


 ふぅ。


 こんな話はさておきディミータたちは、テントを作ったあと木の実を探しに再び森に入った。


「あ、ルギオス! これ、ゴルミスの木じゃない? 念のために取っておこうよ」


 ディミータが見つけたのは、解毒作用のあるゴルミス。下の方には毒がある木。

 見た目はツルツルしてるけど触るとゴツゴツしているのが特徴。


「う〜ん……でも、高くて上の方に届きそうにないんだけど……」


 ルギオスは眉を八の字にさせて木を見上げる。


「ルギオス、木登りできる?」

「いや……出来なくはないけど……自身ない」

「僕もだよ」


 う〜んと二人は同時に唸る。二人とも腕を組んで同じ方向に首をひねる。

 その姿がとても可愛らしい。


「なら、ディミ。日が沈んでからもう一度ここに来ようよ。それなら、取れるからさ」


 ぱっと表情がかわりルギオスがディミータに提案する。


「いいけど……でも、どうして?」

「ひ・み・つ!」


 不思議そうな顔をしたディミータを置いてルギオスはさらに奥へと進む。


 吸血鬼……なるほど。そういうことか。


「いっぱい集まったな!!」


 一時間ほどで持ちきれないほどの木の実を収集した二人は、テントに戻っていた。


「肉に魚にフルーツ!! うん! うん! なかなか贅沢じゃないか!」


 ルギオスはとても満足そうに頷く。


「そうだね。見たところ肉も魚も燻製(くんせい)になってるけど……どっちから食べる?」


 ディミータはルギオスにそれぞれを見せながら問いかける。


「やっぱり肉だろ!! あ……でも、これどうやって焼く?」

「枝に刺して焼く? もちろん川で洗ってから」

「そうするか……あ、これなんてどうだ? さっき、森で見つけて持ってきたんだ。杖みたいでカッコイイだろ?」


 ルギオスは、木の実の山の中から二本の先が尖った枝を取り出した。


「ホントは、火の中を掻き回すように持ってきたんだけどね」


 ルギオスが肩をすくめて言う。

 パチパチと音を立てて燃える火はだいぶ小さくなっている。


「僕は、それを川で洗ってくるね。ルギオスは、薪をお願い」

「わかった!」


 辺りはだいぶ暗くなってきているので薪を補充しに行くならいまのうちだ。


 それにしてもあの二人はやっぱり変わってるな。今までの王族の子供は野宿することすら嫌がってたのに。

 虫がヤダのベッドで寝たいだの。挙句の果てには、シェフの作った料理以外食べないだの。

 そういう姿を見るのも一つの楽しみだったんだけどな……。

 昼間、ディミータに喧嘩を売ってきたあの子供の方が面白そうかもな。

 確か……商人の息子だったかな。親が反対派の。

 ちょっと、イタズラでもしてこようかな。

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