焚き火
ディミータ「…………豚の体脂肪率は15%。だから、アイツらは豚じゃない……」
ルギオス「ディミ、さっきからなにブツブツ言っての? ちょっと怖いよ……」
ディミータ「豚の体脂肪率は15%。豚の体脂肪率は15%。豚の体脂肪率は……」
ルギオス「聞いていないし……というか、めっちゃ怖い!!」
ディミータの言った通りしばらく歩くとエメラルド色に光る川があった。
真ん中辺りはかなり深くなっているようで濃いみどり色になっていた。
しかし、水事態がとても綺麗なのでそこまでしっかり見える。
「綺麗…………!」
あまりの美しさにルギオスの口から溜息にも似た声が漏れる。
「ルギオス、水をくもう。この川の水は飲んでも平気だって先生が言ってたからね」
ディミータはリュックを背中から下ろして革でできた水筒を取り出す。
ルギオスも同じようにリュックから水筒を出す。
「ルギオス、水筒貸して。俺が二人分の水を汲んでくるからルギオスは荷物を見張ってて」
「わかった。はい、頼んだぞ」
ディミータは、ルギオスから水筒を受け取り靴と靴下を脱いで川に入る。
春とはいえ水はまだ冷たくオマケに川底の石が氷のようで足先が一気に冷たくなる。
ディミータは、ある程度の深さのところで水筒を川に沈める。
(これぐらいかな)
ある程度溜まったら水から出してもう一つを沈める。
ディミータが水を汲んでいる間にルギオスは、植物図鑑を取り出してどの木が薪に適しているのかを調べる。
(このサカラサの木が良さそうだな。よく燃えて薪に向いてるって書いてあるし)
サカラサの木は、水分をあまり含まず、着火性がいいめ初心者でも簡単に火をおこすことが出来る。
「はい、ルギオス。水」
川から上がってきたディミータがルギオスに水筒を差し出す。
「ありがとう。……ディミ、大丈夫? とっても手が冷たいけど」
受け取る際に当たったディミータの手はとても冷たかった。
「川の水が思ったより冷たくて……火にあたりたい気分だよ」
ディミータは頼りなく微笑む。
「なら、待っててくれよ! 今、木拾ってくるからさ!」
ルギオスは、早口でそう言うと植物図鑑を片手に森に入っていった。
「止めるまもなく行っちゃった…………」
仕方が無いのでディミータはリュックからタオルを出して足の水を拭き取る。
小さな白い足の指は赤くなっている。
(そういや……火はどうやっておこすんだろう…………)
薪を集めても肝心の火をつける道具がない。
(あ、でも……たしかフェデルタが木を擦り合わせたらいいって言っていたような……)
確かにその方法で火をおこせなくはない。しかし、初心者、しかも体力のない子供となるとおこせる確率はかなり低くなる。
「ディミ! 沢山拾ってきたよ!」
ルギオスが大小様々な枝を両手いっぱいに抱き抱えて戻ってきた。
「ねえ、ルギオス? 火はどうやっておこすの?」
するとさっと顔色が変わって
「考えてなかった…………」
と呟いた。
「…………ディミ、どうしよう? マッチとか持ってる?」
「持ってないけど、火をおこすやり方ならフェデルタから教えてもらったよ」
ぱあっとルギオスの顔が輝く。
「ほんと!? あぁ〜よかった! さ! やり方教えて! 俺がやるから!」
ディミータは、フェデルタに教えてもらったとおりにルギオスに教える。
しかし、初心者、しかも体力のない子供に火をおこすのは至難の業。
果たして、彼らは火にあたることができるのかな?
小さい男の子のことをたしか、ショタって言うんだよね。
つまり、ディミータとルギオス君ってショタなのか……。個人的にこの時期が一番子供らしくて可愛い時期だと思ってるんだけど……やっぱり、育つ環境が違うとああなるのかな。
ルギオス君は、可愛げがあるけどディミータはほとんどそういうところみせないからな……。
ディミータみたいな澄ました顔よりもルギオス君みたいにころころ表情変わるほうが絶対、子供としての魅力があるのにな……。
はぁ……反対派が消えたらあのねじ曲がった性格も治るのかな……。