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忌み子の王子

本編です。


少しでもいいなと思ったら必要以上にアクセスするか、レビューを書いてください。

┏○┓



 差別とは何故生まれるのだろうか。


 自然界で暮らす動物たちは、差別など行わない。


(食うか食われるかの関係だったらこんな面倒なことしなくてもいいのだろうか)


 肩まである金髪を一つに結んだ少年がぼーっとひらひら舞う一匹の薄桃色の蝶を見ながら考える。

 中央に大きな木が四つに別れた花壇の花々を見下ろしている。


(なんてつまらない世界なんだろう……)


 木にはられた蜘蛛の巣に引っかかり(もだ)える蝶。

 皮肉にもそれは、美しい。


(まあ、この()()も喰うか喰われるかの関係なんだけどね)


 そっと目を閉じる。

 結んだ髪が風に吹かれる。

 それを合図にゆっくり獲物に近づく蜘蛛。

 それは、ハンターそのもの。


「やーい! 忌み子の王子がいるぞ!!」

「ホントだ!! 卑しき血の王子だ!!」


 身なりのいい数人の男の子たちが少年を指さしてにたにたと笑っている。

 容姿に反してとても下品な笑いだ。

────醜い。


(ずいぶん暇なヤツらだ)


 少年はふぅとそのほんのり赤い唇からため息を漏らした。

 かさりとまだ青い木の葉が風に運ばれて少年の足元に落ちた。

 男の子たちには、目もくれず木の葉に息を吹きかける。


(蝶になれ)


 そう心の中で呟くと木の葉が羽化した蝶のように頼りなくふらふらと手の中から飛び立った。

 行くあてのない蝶は少年の周りを飛ぶ。

 疲れだろうか蝶は、少年の横にとがった大きな耳にとまる。


「君たち」


 透き通る幼さが残る声にビクッとする男の子たち。


「次の授業は、剣術か体術の授業だろ? 騎士になりたいのならこんな所で油を売ってないで練習をした方が将来の役に立つと思うよ」


 そして、座ったまま笑顔を向ける。


「い、行くぞ……!!」


 バタバタっと訓練場に向かう同学年の下級貴族の子供を見送る少年。


 彼らは、にこりと言うよりにた〜と笑った顔に逃げ出したのではない。

 彼の右眼に恐怖を覚えたのだ。


 左眼は、どこにでもいそうな金色の綺麗な瞳。

 しかし、右眼は、白目であるはずが黒く小さな金色の虹彩がポツンっと浮かんでいる。


「人の顔みて逃げるようなら言わなきゃいいのに」


 立ち上がった衝撃でカサっといつの間にか木の葉に戻った蝶が落ちる。


「他族から一目おかれるエルフ族も僕の前ではみっともないな」


 木の葉にちらっと目をやりふっと口元を緩ます。


(みんなこんなふうになっちゃえばいいのに)


 子供とは思えないぐ恐ろしい顔。ぐしゃっと木の葉を踏む。

 ふと視界に入った自分の前髪の毛先をつまんでひっぱる。


(伸ばそうかな…………。そっちの方が変なやつに絡まれなくて済むし)


「ディミータ様」


 重低音の男性の声。

 名前を呼ばれた少年は、声の方を見る。


 体格のいい体は鋼のような筋肉に包まれていることが甲冑の上からでもわかる。

 短く刈り上げた黒髪に相手を威圧するような灰色の瞳。

 日に焼けた彫りの深い顔はキリッと引き締まっており自然と近寄りがたい雰囲気を出している。

 歳は、二十代後半といったところか。


 フェデルタ・レミ スミレニー王国 騎士団 第一部隊 隊長である。


 そして、この少年 スミレニー王国 第一王子 ディミータ・ディオニュソス・スミレニーの専属騎士である。


「なんだ? フェデルタ」


 ディミータは髪を触るのをやめて服を整える。


「そろそろ次の授業です」

「そうか。行くぞ」


 先程逃げていった男の子たちとは、反対方向に歩きだす。


「はっ」


 短い返事をし、歩き出したディミータに足を向ける。

フェデルタ・レミ


異名:魔の番犬

髪色:黒

虹彩:灰色

身長:182cm

服装:王家の紋章が入った銀の甲冑


サンプルボイス

☆自己紹介

「はじめまして。わたくしディミータ様の専属騎士を努めさせて頂いてます、フェデルタ・レミです」

☆フリー

「あまり感情を表すのが得意ではないので、よく初対面の方に怖い印象を与えてしまいます。自分は、そんなつもりは全然ないのでご安心ください」

☆フリーその2

「ディミータ様は、優しい方です。それと同時に敏感な心をお持ちです。どうか、あまり奇怪な目で見ないでください。お願いします」

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