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王子様は森がお好き

ディミータ「ルギオス。ルギオスには、不適合魔法があるの?」

ルギオス「あるよ。水属性が苦手なんだ」

ディミータ「水? 光じゃなくて?」

ルギオス「光も苦手だけどほら、光ってそんなに使わないだろ?」

ディミータ「それはヒトによるんじゃない? まあ、確かに日常では使わないよね。でもなんでなの?」

ルギオス「吸血鬼って水が苦手なんだ。詳しく言うと流水。流水には、魔を流す力があるからなんだってナサルが言ってた」

 昼間の森は明るく空気も美味しい。


(やっぱり、森は好きだ)


 ディミータの心は自分でも驚くほど弾んでいた。

 足取りは軽く後ろにルギオスがいなければスキップで森の中へ進んでいっているだろう。

 背負ったリュックも心做(こころな)しか軽く感じる。


「ディミータ…………速いよ……」


 いつの間にか小走りになっていたようでディミータよりも重い荷物を持ったルギオスが肩で息をしながら追いかけてくる。

 プラス自分のリュックも肩に背負っているので黒の前髪がべっとりとおでこに張り付いている。


「ごめん、ルギオス」


 立ち止まってルギオスが追いつくのを待つ。

 途端に体が暑くなり汗が吹き出してくる。

 髪の毛の隙間からつーっと汗がうなじを通って背中へ流れて行った。


「ディミータ……俺たち…………今、どこに……向かって……るんだ?」


 ぜえぜえと息を整えながらルギオスはディミータに質もする。


「川を探してるんだ。ほら、水が流れる音が向こうから聞こえるだろ?」


 ディミータは、さらに森の奥を見る。

 ルギオスは耳をすませてみたが、それらしい音は聞こえない。


(ディミは耳が大きから聞こえるのかな?)


 ルギオスはじっとディミータの大きな横に突き出た耳をみる。


「? ルギオス? 僕の顔に何か付いてるの?」


 じっと自分を見てくるのでディミータは不思議に思って問いかける。


「あ、いや……ちょっと歩き疲れて……」


 とっさに誤魔化しルギオスは目を逸らす。


「川に着いたら水をくもう。テントは、川の周辺にはろう」

「分かった……。分かったけど少し休憩しよう」


 ふぅ〜っと息を吐きながらペタンっとルギオスは短い草の生えた地面に座り込む。

 肩からリュックを下ろして解放感に浸る。


「重いならこの食料と交換する? 僕、結構力あるし」


 ディミータもルギオスの隣に腰を下ろす。


「エルフ族だけじゃなくてオーク族の血も入ってるからね」


 オーク族と聞いてルギオスが頭に思い浮かべるのは、肌が緑色で大きな牙とお腹が出ている豚のような男。

 恐ろしくてあまり好印象を与えない不気味な姿。


「ねえ、実際のオーク族ってどんな感じなの? ディミのお母様はオーク族なんでしょ?」


 そう。ここで間違えてはいけないのは、母がオークだということ。


「オーク族って聞いたら大抵の人は、豚みたいって思うでしょ?

 まさにその通り。体脂肪率は、豚並みの15%なんだ。

 女性でも同じぐらいだからスタイルいいヒト多いんだよ」


 少し誇らしげに胸張りディミータは話し出す。


「オーク族とエルフ族っていうのは、本当は同じ種族だったていう話もあるんだ」


 ルギオスは、目を見開く。


「え、そんなことってあるの? オーク族ってなんだか凶暴なイメージがあるし…………逆にエルフ族は、優しいイメージがあるんだけど……」


 言葉に気をつけながらルギオスは驚きを口にする。


「オーク族の悪いイメージって実は、全部戦時中のものなんだ。

 だから、僕はできるだけそのイメージを無くしたいんだ」


 ディミータは空を見上げた。木々の隙間から青い空が見える。


「そろそろ移動しようか。はやくテントをはって寝る場所を確保しなくちゃね」


 パッパっとズボンを叩きながらディミータは立ち上がる。

 ルギオスも同じように立ち上がる。


「そうだな。火もおこさなくちゃいけないから、枝も集めたいとな」

「そうだね。あ、そっちの荷物持つよ」

「ありがとう。じゃ、俺はこっち持つから」


 二人は荷物を交換して歩き出す。

 とその時。


「よう、ディミータ様じゃねーか。なあ、その食料よこせよ」


 ガサガサっと音がして草むらをかき分けてディミータより一回り大きい五人の少年が現れた。

今度、神話をまとめたやつ出そうかな。

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