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不適合魔法

ディミータ「ねえ、ルギオス? ルギオスのミドルネームってどういう意味があるの?」

ルギオス「大じい様の名前からきてるんだ。とっても偉大な方なんだ。ディミのミドルネームには、どんな意味があるんだ?」

ディミータ「たしか、神みたいな意味があったはずなんだけど……覚えてないや」

 初の魔法の授業から一週間がたった。

 ゴー・ヌメルが言ったようにルギオスは、石を浮かすことが出来るようになった。


 しかし


「なんで、ディミは出来ないのかな?」


 そう、ディミータは一週間たった今日の授業でも石がビクともしなかったのだ。


「わかんない……。前に見せた魔法なら全然出来るのに…………。だから、先生に呼び出されたのかな」


 珍しく肩から力が抜けてなんとも頼りない声で呟く。

 金の目には不安という文字が浮かんでいる。

 二人は、今、ゴー・ヌメルの部屋に向かっている。

 最後の授業中、フェデルタに放課後にゴー先生の部屋に来てくれと伝言がはいったからだ。


「気をしっかりしてください。ディミータ様」


 あまりにも落ち込んでいるのでついフェデルタは声をかける。

 低い声がディミータを少し安心させる。


「そうそう。案外、先生がその原因を知ってるかもしれないからな」


 赤髪をガシガシとかきながらデニーも自分の言葉で励ましの言葉をかける。


「なんでも得意、不得意があるからな。俺だって剣術とか体を使うことは得意だが、座っての勉強は苦手だ」


 そう言ってニカッとデニーは笑う。

 ディミータは、その笑顔に答えようと曖昧に微笑みがえす。

 前髪が伸びてあの右眼が隠れている。


 コンコンコンコン。

 ノックを四回して返事を待つ。


「どうぞ」


 返事が扉の向こうから聞こえたのでそっとディミータはドアを開ける。


「失礼します」


 いつもの大人っぽいディミータに戻って中にはいる。


「待っていましたよ。ディミータ君。おや、ルギオス君も来ていたのですね。さ、入って入って」


 目を細めゴーは、二人(+お付きの二人)を歓迎する。


 部屋の中は、資料らしきものが山済みになっていたり、筒状になって箱から飛び出している。

 絨毯、壁の色は黒に近い紫や赤でいかにも魔法使いという部屋になっている。


「さて、わざわざ来てもらった理由ですが……ディミータ君、アナタは、授業外で魔法を使ったことがありますか?」


 腰を落としてディミータに目線を合わせ話すゴー。

 近くで見ると顔には細かいシワが沢山刻まれている。


「あります」


 コクっとディミータは首を縦に振る。はずみで髪が目に入りそうになる。


「それは、どんな魔法ですか?」

「植物を成長させたり、蝶のように動かしたりする魔法です」

「そうですか…………」


 何かを考えるように顎に手を当て部屋の壁に作られた本棚に寄る。爪が伸びた手にもシワが刻まれていてゴツゴツしている。


「不適合魔法というのは知っていますか?」

「いえ」


 ディミータは短く返事をする。

 その横でルギオスは、首をひねる。


「不適合魔法というのは、種族によって、または、魂の関係によって生じるモノと言われてます。

 物事にはなんでも相性の善し悪しがあります。

 もちろん、その中に魔法も含まれています。

 ディミータ君。君は、植物以外に魔法を使ったことがあるかね?」


 頭をフル回転させ、今まで使った魔法を思い出す。けれど、ディミータの使った魔法はどれも植物関連のものばかりだ。


「いえ……植物だけです」


 ディミータの真面目な顔が崩れ驚きが映る。

 すると、ゴーは深く頷き本棚から一冊本を抜き取る。


「ここのページをよく読んでおいてください。君は、君自身が思っている以上に特殊だ。それをプラスととるか、マイナスととるかはディミータ君次第だよ」

ミドルネーム


ファーストネーム(名前)、ファミリーネーム(苗字)の間にある名前。

偉人の名前や親の名前から付けられることが多い。


ルギオス・ベネット・レヴィンス

(ファースト)(ミドル)(ファミリー)


ディミータ・ディオニュソス・スミレ二ー

(ファースト)(ミドル)(ファミリー)

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