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基礎魔法

 魔法には、基礎魔法と応用魔法が存在する。


 基礎魔法は、土、火、水、氷、風、雷、闇、光、重力などの元素と呼ばれるものを単体で操ることをさす。


 応用魔法は、元素を複数同時に操ることをさす。


「基礎、応用と言うどうしても基礎の方が下に見られがちだがそうではない。基礎魔法は奥が深く時には応用魔法の匹敵する力を持つこともある」


 一度に四十人入れる教室は、二人だけでは、あまりにも広すぎる。

 教卓を囲むように設置された長机の最前列に座るディミータとルギオス。

 魔法陣が書かれた布が天井から垂れ下がっている。


 魔法科担当のゴー・ヌメルが

 カツカツと音を立てながら教卓の周りを歩く。

 その度に掛けている細いメガネが揺れる。

 男の先生だが、乾燥した海藻のようなごわごわした黒髪をうなじ辺りで無造作にくくっている。

 寝不足なのか目の下にはクマがあり、面長の顔の頬は少しコケている。

 黒い布製のローブは肩のところがほつれている。


(先生なんだから、もう少し身なりに気を使えばいいのに)


 と話を聞きながらディミータは、何度も心の中で呟く。


 しかし、ギラギラと光る濃い桃色の瞳を見るとその言葉あっさり消えてしまう。


「では、拾ってきた石を見てもらいたい。別にどうってことないただの石だ。石は、土の分類にはいる。

 今から浮かしてみせるからまあ、見ててくれ」


 ゴー・ヌメルは、右手に持った杖のようなものを振る。


「ライ・ディー」


 ふわっと座っている二人の頭ぐらいの高さまでで 浮き上がる。


「ライは、土属性のものに対して使います。ディーは浮かすときに。しかし、あくまで呪文は言うだけ。大事なのはイメージです」


 クイッと歪んだ針金のようなメガネを中指で押し上げる。


「どのように浮かすかイメージが違えば浮き方も変わります。例えば今は、綿毛のようにとイメージしました。これを弾丸のようにとイメージした場合」


 もう一回手をふる。

 次の瞬間、石が天井目掛けて一直線に飛び上がった。

 カンカンカンっ!!

 と上にぶらさがっていたシャンデリアにぶつかったあとシューッと二人の前に降りてきた。


「このようになります。練習すれば呪文を唱えるだけで無意識にイメージ出来るようになります」


「先生! 杖は必要ないんですか?」


 ルギオスが手を挙げ発言する。

 真面目そうに見えるように顔を作っているが、早く試して見たいと目が語っている。


「杖は必要であれば使います。私が持っているこの杖……正確にはボードの文字を指すものなのですが、私の場合これがあると集中出来るのです。

 杖は、必ずしも木の棒とは限りません。人によっては、鏡や枕、紐を杖として使用する人もいるようです。

 持たないからといって支障が出ることはありません」


 ゴー・ヌメルが杖をふる。二人の分厚い辞書のような教科書がぺらぺらと音をたてて【杖】と書かれたページを開く。


「本物の杖は、とても貴重です。

 例えば、自力で制御できないほど膨大な魔力を持っていた場合、杖がその魔力を調節してくれます」


 ディミータは、聞き流しながら教科書を読む。


 ユニコーンの(たてがみ)、ペガサスの羽、スフィンクスの爪など魔獣や幻獣と呼ばれる生き物の一部を用いて杖の核をつくる。

 それを魔木と呼ばれる木に埋め込むと書かれている。


 魔獣は、飼育が難しい。

 ヒトに慣れず、警戒心が強く捕まえるのが困難である。

 なおかつ、食すものが希少種の動植物のため食費がかかる。


(だから、貴重なのか……)


 貴重という理由が分かり納得する。


「さて、では、お二人共早速試してみますよ」


やったあっ! と小さくガッツポーズするルギオス。


「呪文はライ・ディーです。しっかりイメージしたら唱えてくださいね」


ルギオスは、拳をにぎりしめてうなりながらイメージする。

「ライ・ディー!」

呪文を唱えたが浮き上がる気配は全くない。ルギオスは、諦めずにもう一度イメージする。

「ライ・ディー!」

石はビクともしない。


横目でそれを見ていたディミータもイメージをする。


(綿毛のように……綿毛のようにふわりと浮かぶ)


目を閉じ。浮かんだところを映像でイメージする。


「ライ・ディー」


ルギオスとは違い呟くように呪文を唱える。

手応えがあったが、ルギオスと同じように石はビクともしない。


(いつもだったら出来るんだけどな…………)


首をひねりながら再びイメージする。


「ライ・ディー」


今度こそ。と思ったが石に変化はない。

どうやらルギオスも同じで半泣きになっている。


「できない…………」


ディミータは、あまりの出来なささに心の声が漏れる。


「最初はそんなものですよ。大丈夫です。これぐらいなら直ぐに出来るようになりますから」


ゴー・ヌメルは、にこにこと笑いながら二人を慰める。

ちょうど終業のチャイムがなる。


「これから一週間は、この魔法の練習をします。それでは、今日の授業は、終わりです」

ゴー・ヌメル


ミネルワ学園 魔法科担当の先生。

性格は、温厚で指導に熱心な先生だが、見た目のせいで損している。


髪色:黒

色彩:濃い桃色

身長:172cm

服装:くたびれた黒いローブ


サンプルボイス


☆自己紹介

「ミネルワ学園 魔法科担当のゴー・ヌメルです。生徒から風呂に入れだとか、身なりを整えろとか言われますがこれでも整えてる方なんですがね……。困りました」


☆フリー

「魔法というのはとても奥が深く極めれば極めるほど謎が深まります。その謎を解明するには、私は寝食を削ってもよいと思っています」

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