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蝶の魔法

魔法


科学では証明できないある程度の法則によって起こる現象のこと。

魔術ともいう。

魔力を持つものにしかできない。

「ナサルに怒られた」


 ぷぅーっとほっぺを膨らませてぷりぷり怒っている。

 長い廊下には誰もないないのでルギオスは、素のままである。(後ろにいるフェデルタとデニーは忘れられている)


 授業中にほぼ寝ていたからだよとディミータは、喉まででかかった言葉をゴクンッと飲み込む。

 曖昧な笑顔を作り、別の話題を持ち出す。

「それより、明日の授業に使う石、ちゃんと用意した?」

「忘れてた…………」


 明日は、初の魔法の授業がある。そこで、石を使用する。と言っても、先生に用意しておけと言われただけで何に使うかは二人とも知らない。


「魔法の授業って何するのかな?」

 少し頬を赤くしてキラキラした目でディミータに話しかける。

「そんなに楽しみ?」

 ディミータは、普段から魔法を使うので特に何も感じていない。

「そりゃもちろん!! だって俺、まだ、使ったことないもん!!」

 その言葉に驚くディミータ。

「え? 使ったことないの?」

「え、もちろん」

 二人の間に変な空気が流れる。

 だんだんルギオスの顔に尊敬という文字が浮かび上がる。そして思いっ切ったように

「あの…………良かったら見せてくれない?」

と言った。

 ルギオスはじっとディミータを見つめる。

 きらきら……きらきら……と熱い視線がディミータに突き刺さる。


「見る…………?」


(ディミータってあんな顔するんだな…………)

 ディミータが魔法を見せてくれると言うので二人は中庭に移動している。

 ルギオスの頭の中から先程見た真っ赤に照れたディミータの顔が頭に残って離れない。


(いつもは、大人っぽいディミータにも子供ぽいところがあるんだな)


 完全に自分も子供だということを忘れてうんうんと頷く。


「なんで、ルギオスは、魔法を使おうと思わなかったの?」

 ふと、ディミータが話しかけてきたので慌てて頭から赤面のディミータを追い出す。

 ディミータはそれに気づかず不思議そうに尋ねる。


「習ってないから」


 即答する。通常、魔法は学校でならい身につけるもの。だから、使えると言ったディミータに聞きたいことが山ほどあった。


「なあ! 魔法ってどうやって使うんだ!? 杖とかいるのか!?」


ルギオスの赤い宝石が乱反射して眩しい。


「杖は…………使わないかな……」

「じゃあ、呪文は!?」

「……言うときもあるかな」

「じゃあさ!! じゃあさ!! 初めて魔法を使ったのはいつ!?」


 ルギオスはマシンガンのように次から次へと質問する。


「いつ……だったかな……」


 最後の質問は、覚えてなかったので言葉を濁す。


 中庭につくとディミータは庭を見渡した。

(魔法…………って言ってもなにするかな……)

 花壇の花、中央の木、草の中に潜む虫……。

(とりあえず、簡単なあれにするか)

 ディミータは、ルギオスを置いて木の下に行く。

(まあ、少し派手にやるか)

 目を閉じて深く息を吸う。四秒吸って七秒息をとめ八秒かかって息を吐く。吐くたびに自然の中に溶け込むイメージをする。


「綺麗……」

 ディミータの体が徐々に金色の光に包まれていく。

 とても幻想的で美しい。


 ディミータと同じ光が花壇の中からふわっと出てくる。

 ルギオスは遠くて分からなかったが全て花びらだ。


「蝶になれ」


 凛とした声が花びらたちに合図をかける。

 光が弾ける音がして光の中から蝶が飛び出てくる。

 羽が花びらの蝶たちは、ひらひらとディミータの周りを飛び続いてルギオスの周りを飛ぶ。


「すごい…………!」

 本物の蝶のように動くそれを見て息をするのも忘れる。

「なあ! 俺にもしえてくれよ!」

 ルギオスは、興奮して駆け寄りディミータの手を握る。

「え……でも……僕、やり方わかんない……」

 ルギオスから目をそらす。

「? 出来てるから教えれるだろ?」

 不思議そうにルギオスは首をかしげる。

「いや……感覚でやってるから…………。その……自分でもよく分からないんだ」

 ますます不思議な顔になる。

 ディミータは、わかりやすく説明するために例え話を考える。


「うーん……ルギオス、君はどうやって呼吸してる?」


 まだ、生物的なことを知らないルギオスは答えに困る。

「わかんない……」

 眉を八の字にしてディミータを見る。

「僕もわかんない。でもね、呼吸はできてるでしょ? それと同じなんだ。だから、教えることが出来ないんだ」

 しゅんとルギオスの肩の力が抜ける。

「…………ごめんね」

 なんだか申し訳なくてディミータは、謝る。

「うんうん。それより、ありがとう! 俺にもいつか、あんなことできるかな」

 ルギオスは気持ちを切り替え笑顔を作る。

「きっと出来るよ! あ、ちょうど中庭に来たんだし石、拾って帰ろうよ」

 ディミータもつられて笑った。

魔力


魔法の元のようなもの。

多ければ多いほどより強い魔法が使える。

増やすことが出来るが、素質の問題もある。

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