力とは
1時間は歩き回っただろうか。
俺は流石にくたくたになり、途方もなく続く壁を見上げて、
力尽きそうになっていた。
はぁ、鞄が重い…。腹減った。
これは俗に言う『異世界召喚』なんだろうか…。
そんなバカげた考えすら浮かぶ神経になってる、自分の冷静な判断に呼びかける。
雪近と近藤…。大丈夫だろうか。
俺の事は置いてちゃんと、家に帰れてるだろうか。
雪近、きっと心配しまくってくれてんだろうなぁ。
俺はふと、今まで近づく事すらしなかった壁が気になった。
とぼとぼと歩き壁に背中を当てて、
これを通過できれば、OKって事だよな…。
くるっと向き合って、そっと壁に耳を当ててみた。
ひんやりと冷たさが頬に伝わる。
それと同時に、莫大な情報だろうか頭の中に走馬灯の様な映像、文章、さまざまな物が駆け巡り、
俺は壁に掌をあて、言葉を一言発した。
『スサノオ』
目の前の壁が光り輝き、ぱらぱらと分子が砕け散る様に、光っては消え、光っては消えていく。
『ありがとう。見せてもらったぞ、そなたの力。』
その言葉が頭の中で響いて誰かにそっと触れられた気がした。
俺の意識もどこかに消えていった。
ちょっと、中二っぽい展開になってきましたが、
これからやっと、本編始ります。
引き続き、お付き合いください。