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エピローグ

パーティ会場を抜けて、廊下に出た。

3年前までよく通っていた道を進み、とある部屋へ向かう。

誰もいないとわかっていながらも一応のマナーだと思いノックをすると、意外にも中から返事が返ってきた。

「やっぱクリスくんか。成人おめでとう。」

「ありがとー。なんかあんまり実感ないけどね。」

「そんなもんでしょー。ただいつも通り年をとっただけだもの。」

この部屋は以前アルトゥールが使っていた部屋で、部屋には彼の姉であるリーゼがいた。

部屋の中は未だ当時のままになっている。

「あれからもう3年…か。上手くやってるかな?」

「アルくんなら大丈夫よ。何てったって私の自慢の弟だもの!」

「そうだよね…おれもちょっとは成長したと思う?」

「そうねぇ。少なくとも今のクリスくんの日常をアルくんが見たら驚くと思うわ。」

そう言って彼女はにっこりと笑った。

再び部屋のドアを誰かがノックした。

部屋に入ってきたのはブルーノだ。

「おー、やっぱここか。ってリーゼもいるのな。こんなとこで浮気かぁ?」

「やめて!そんなことしたらおれがアルトに殺されちゃう!」

ブルーノはアルトゥールがいなくなった後、彼の仕事を引き継いだ。

ついでに、クリストハルトが救世主の旅から帰ってきたときにはちゃっかりリーゼと付き合うことになっており、近いうちに結婚する予定だそうだ。

「そんなことより、客だぜ。」

そう言ってブルーノの後から部屋に入ってきたのは…

「「!!!」」

「久しぶり。元気してたか?ってかこの部屋そのままにしててくれたんだな。だったら直接ここと繋げばよかったぜ。」

「ア…「アルくん!!!」」

クリストハルトより早く、リーゼがアルトゥールに飛びついた。

「もう…もう会えないかと…うぅ…最後のお別れもちゃんとできなかったし…ぐすっ…また会えて嬉しいよー!」

「ギブギブギブ!!!」

リーゼは泣きながらアルトゥールを締め上げている。

そろそろ落ちそうだ。

慌てて彼女を宥めて、ようやく話ができるようになったのは約10分後のことだった。


「変わんないねー。」

「お前もな。」

2人はあれからのお互いのことを話した。

クリストハルトはあの旅の後から少しずつ公務に参加するようになったこと、苦手な勉強もちゃんとするようになったこと、フロレンツィアとカタリーナがまた城に住むようになったこと、コンラートとローザが結婚したこと、ディーターと良い友人になったことなど、話題は尽きない。

ブルーノの話の部分では久々にアルトゥールの素晴らしい足技を見ることができたが、最終的にはちゃんとおめでとう、と祝っていた。

アルトゥールはアニムス界のことを話してくれた。

「基本的にはこっちと変わんねーよ。ただ技術的には少し向こうの方が進んでるかな?」

そこでふとクリストハルトは別れる前の一連の会話を思い出した。

聞いてもいいのだろうか?

「ところでアルくん、旦那様とは上手くいってるの?」

迷っている間に、リーゼが直球で聞いてくれた。

やはり彼女は強い。

「旦那じゃねーよ!俺は認めてねーし女にもなってないだろ!!」

確かにアルトゥールは相変わらず可愛かったが、男のままのようだ。

もしかしたら…と思っていたので、ほっとしたような、でもちょっとつまらないような、と思っていたら、アルトゥールに睨まれた。

「じゃあ帰ってきたの?」

そう尋ねると、彼は微妙な顔をした。

「そういう訳じゃねーよ。…こっちと違ってあっちの城は割とギスギスしてて、権力争いが絶えない感じだ。隙あらば…って感じだな。アイツは周りが敵だらけの中頑張ってるし、味方になってやりたい…とは思う。」

どうやら仲良くはやっているらしい。

じゃあ結婚してあげれば?というと、それとこれとは話が別だと怒られた。

試しに自分に置き換えてみろと言われて、確かにそうだなとクリストハルトは思った。

「ってかどうやって戻ってきたの?儀式の直後しか道は繋がらないはずでしょ?」

その質問に、アルトゥールは固まった。

何か聞いてはいけないことだったのだろうか?

その時、突然第三者の声が聞こえた。

「そりゃー俺とせっ「うわー!!!なんでテメェがここにいんだよ!!!」」

アルトゥールが慌てて男の口を塞いで叫んだ。

クリストハルトはその男に見覚えがあった。

先程までアルトゥールが話していたアイツだ。

残念なことに名前は一度聞いたきりだったので忘れてしまったが。

それより。

クリストハルトはリーゼとブルーノを見た。

彼の聞き間違えでなければ、男はとんでもないことを言いかけたような気がするのだが。

2人はクリストハルトと同じ考えらしく、神妙に頷いた。

「おめでとう。大人の階段を上っちゃったのね。」

「今夜は赤飯かな。」

3人は暖かい目で2人を見ている。

「変な誤解すんじゃねーよ!!!お前もわざとだろ?!そんな言い回しフツー使わないだろ?!」

「失礼な。俺はアルトが少しでも恥ずかしくないように接吻、とちょっと高貴な感じに言おうとしただけだ。」

「どっちにしろ余計なこと言ってんじゃねーよ!」

彼は羞恥に耐えながら、必死に真実を説明した。

「つまり、寝てる間にキスされて?」

「そのお陰でアルトが調べてた異界に渡る条件が揃ったから急いで渡ってきた、と。」

「条件は王族の人間の体液を取り込むか何かかしらね?」

アルトゥールは自暴自棄になって頷いた。

いっそ既成事実でも作ってやろうかと思って、と悪びれもせず言い放った男には、リーゼから容赦ない制裁が下された。

つまり。

「今回帰ってきたのはただの家出ってこと?」

アルトゥールはそっぽを向いている。

どうやら図星のようだ。

「そういえばカタリーナここにいるんだよな?向こうと行き来できることもわかったし、カタリーナさえよければカタリーナと結婚すれば良いじゃん。」

話をそらすために口にした言葉だったが、アルトゥールには思いの外ナイスアイデアに思え、自分を誉めてやりたくなった。

しかし、

「あー、カタリーナなぁ…それはそれは立派なレディに育ってるよ…」

「あの子は未だにアルくんが理想って言ってる上に、立派な肉食系だからねぇ…下手したらアルくんが食べられちゃうかも☆」

「マジか…」

最後の手段も奪われて、アルトゥールは項垂れている。

「お、アルト、時間だ。帰るぞ。」

「…仕方ねぇな。じゃあまた来るな。」

レオナールの言葉に、アルトゥールは意外にもあっさりと従った。

王子としては尊敬しているのだろう。

以前クリストハルトに対してもそうであったように。

「うん。またね。」

「ちゃんとちょくちょく帰ってきてね!」

「強く生きろよ!」

それぞれに別れの挨拶をして彼らは帰って行った。

「今日一番のお祝いだったかも。」

クリストハルトは楽しそうに笑った。

きっとこれからはもっと2つの世界は身近になるだろう。

もしかしたら次に会うときは彼が立派なレディになっているかもしれない。

そんな未来を夢見ながら、クリストハルトは今日もがんばろうといつもの日常に戻っていった。

はじめまして、はねうさぎです。

この度は本小説を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

読んで下さった皆様のお陰でとても楽しく書くことができ、無事に完結させることができました。

初めての作品なので、読みづらい所も多々あったと思います。申し訳ありません。

今後はもっと成長できるように頑張りたいと思います。

もしよろしければご意見、ご感想等頂けるととても嬉しいです。

ここまで読んで頂き、本当にありがとうございました。

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