二人で夜空をみた。
明日から吉見くんが、遠くにいっちゃうんでしょ?いいの?
自問した。
闇色をした空に星が散らばっていた。
「いいの」
私は夜空を見上げ、宇宙を感じた。
夢も希望も、すべて丸呑みにしてしまいそうな、ブラックホールのような壮大な暗闇がそこにはあった。
告白できずに、終わってしまう。
すべてあの闇に吸収されてしまう。
私は胸が苦しくなるのを感じた。左手で自身の左胸を、抑えた。なんだろう、この気持ちは?むずがゆいような、こそばゆいような、抑えきれない気持ちは?
「やっぱり、このままじゃあきっと後悔する」
「え?」
「いや、気にしないで。今の独り言だから」
「うん、わかった」と知人はうなずいてくれた。そんな知人は私の唯一の理解者だ。ありがとう。感謝してる。
二人で、夜空を見上げたまま、将来のことを語り合った。
希望的観測だったけれど、なんだか、話したら心が和んだ。
「吉見くん。あなたがいなかったら私、これまでの生活が嫌になっていたと思うの。だから…」
「だから?」
私は目頭が熱くなって、涙のしずくがこぼれおちるのを感じた。
「だから、お礼をしたいの」
私はメッセージカードとプレゼントを渡した。
「いままで一緒にいてくれて、ありがとう。遠くに行っても、たぶん、わすれないと思う。この手紙は、は、恥ずかしいから、もし、吉見くんに彼女ができたりしたら捨ててほしいの」
彼はにっこりと微笑みながら、メッセージ入りの紙袋を受け取った。「じゃあな」と言って私に背を向けた。
その後ろ姿が消えるまで、ずっと見つめていた。