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プロローグ

あきらは毎日が苦悩で仕方なかった。

未だ寝ていたいというのに朝早くから叩き起こされて、学校へ向かわせられ、大して意味もない朝課外の授業を強制させられ、やるせなく足りない分の睡眠を机に伏して補う。

これが1日の始まり。


 


彼、古田彰ふるたあきらは、県内でもトップの進学校に在籍する生徒の一人だった。

彼の周りは、皆今後の進路に向けて(その大部分が大学受験に合格するために)授業に必死に着いていこうとしていた。

そんなクラスの雰囲気を部分的にぶち壊すのが古田クオリティだ。常に授業そっちのけで夢の世界へとダイブしていた。


そこに、教師の怒号が飛んでくるのだ。



「おい!!? なめとんのか貴様は!?」



びくん、と静寂な空気に張り裂けんばかりの乱暴な怒りが襲いかかり、あきらは目を覚ます。

夢見心地に、雲のシュークリームに乗って旅をしていたのが、スポンと足場が抜けて地面に激突したかのように。



「え。ええ。。と。はい?」



クラス一同拍子抜け。皆が真剣に授業を受けてる中、寝ぼけたセリフを口にする彼に、くすくすと嘲笑の声が漏れる。見慣れた光景だ。

クラスでは笑いものだが、このやりとりは彼が所属するクラスの名物みたいにもなっていた。


古田みたいにはなりたくない。だから必死に勉強するし、まじめに授業をうけるのだ。彼は浮いていたが、クラスメイトとかどうでもよかったので大して気にしなかった。



それよりも、今日の更新分は面白かった。

更新分? 何のことだって? 小説だ。インターネットという仮想空間の中に生み出された「小説投稿サイト」で日々何かしら新しい物語が蓄積していくのだ。

あきらにとっての現実は、、名前も知らない小説家の描いたファンタジー小説の舞台にほかならない。彼にとって決められた日常は其処には一切なく、常に何が怒るかわからない展開や物語の組み合わせ、そして魔法や冒険という未知のものに対する挑戦が、自らの感覚を奮い立たせているのだ。


学校? 授業?

そんなものに比べて、思いのままに描かれた冒険の世界とは、なんて生き生きしているのだろう。

誰にも理解されずに孤立してる現状と比べ、主人公にはなんて気心知れた友人たちが集まってるのだろう。と。

憧れの思いを抱くと同時に、少し羨ましくもあった。



自分にも、このような世界を描くことが出来るだろうか?

いや、かなり無謀だろう。なにせ今までやったことすら無いのだから。

だけど、やってみたい。自分の思うままの世界を形作ってみたい。



あきらは考えていた。

考えながら、雲の上で居眠りしていた。



そして、叩き起こされて授業に呼び戻されたのが冒頭の場面・・・



(...あれ? 何か大事なことを考えてたきがするのだけど)



そこに飛んできた教師の一言が



「寝るな。其処に立っとけ。俺の授業を聞け」



???



可笑しいと思わないだろうか。それを強制される言われはないはずなんだが...

周りは周りで何か奇異なモノを見る視線だし〜、うーん、気持ちはわからなくもないけどね〜。何の疑問も持たずに真面目にやってるんだね〜。

って、僕も真面目にやんないと将来保証されないとか言われるけど、いやー、現実にこんな必要ないこと無理に学ばされてもなぁ〜。変な世の中だね〜・・・


なんて想ってても口に出しては言わないから、まぁ波風立てずに従っておきますか...





そして、朝早くから夕方まで、人間の活動時間のほぼ大半を、授業という名の茶番劇の舞台でただ一人居眠りするという昼夜逆転ライフを過ごすのであった。

本番は家に帰ってから。あきらにとっての現実は、インターネットの世界に作られたあの冒険の舞台なのだ。

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