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未来への手紙

作者: 尚文産商堂

『やあ、この手紙を読んでる頃、僕はもういないだろう』

そんな書き出しで綴られていたのは、もう200年も昔の手紙。

たまたま遊んでいて見つけたタイムカプセルに込められたのは、昔の、それも大昔の祖先からの手紙だった。


『僕は、木枠楽多(きわくらくた)。君は一体いつの子供かな。運が良ければ、僕の名前は聞いたことがあるかもしれない。でも、多分ないだろうね』

自分は知っている。

200年も昔の人だけど、教科書に載っているほど有名人だからだ。

第1次宇宙戦争における、地球防衛軍総隊長として、防衛軍総元帥の肩書で作戦を行ったからだ。

それに勝てた地球人類は、太陽系全体を支配下に置いた。

『僕がこうして手紙を書いているのは、ずいぶん昔、今から30年前の人へ宛てるはずだったことを書いておきたいからだ』

ということは、230年前だ。

『君たちが知っているかは知らないけども、ちょっとまえ、大きな戦争がおこった。僕も死ぬかもしれない。それであっても、僕の子孫は命のリレーを続けていくだろうから、この手紙を案s人して託しておきたい。それが、僕の最初の願い』

確かに、英雄の血筋は、守られている。

自分の名前が木枠だから、それがはっきりとわかる。

『次に、長崎聖美という女性について。この手紙を書こうと思ったきっかけだ』

長崎聖美さんは、180年ほど前の地球防衛軍担当大臣となり、閣僚に名を連ねた人だ。

当時は戦争が終わったばかりで、軍備縮小の流れを受けていた。

その一方で、さらに地球の影響圏を拡大するという方針をとっていたこともあり、軍備は微減となっていた。

彼女もまた、教科書に載っている人の一人である。

『彼女は、僕の初恋の人だ。同じ高校にいた彼女に、僕は告白をした。ただ、玉砕したが、それ以後はいい友人として、いてくれた』

それは初聞きだ。

一緒の高校だったなんて…ただ、そもそも高校とはどんなところなんだろう。

自分の時代には、高校なんて言うところはない。

初等教育校、中等教育校、そして高等教育校の3種類だけだ。

初等、中等、高等と略すから、似ているのは高等か。

『彼女に一つだけ、言っておきたいことがある。それは、まだ好きだと言うことだ。ずと、ずっと好きだと言うことだ。でも、彼女に振られたから、もう踏ん切りがついた。僕は僕の道を歩むことにしたい』

それが、自分へとつながっていると思うと、すごいことだと思う。

血筋は続いているようだ。

「ねえねえ、何見てるの?」

そこへ、自分の彼女がやってくる。

「おじいちゃんのおじいちゃんの、さらにおじいちゃんぐらいが遺したタイムカプセル。君のずっと祖先だと思う名前も乗ってるよ」

「えー、本当に?」

そう、彼女の名前は長崎朱美(ながさきあけみ)

おそらく、長崎聖美さんの子孫だ。

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