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屈強な女戦士 PART1

今回からバトル回です

 光陰こういん矢のごとし。

 このことわざは月日が過ぎるのが早いことの例えを表しているのだが、まさにその通りであって、時間が立つのは遅いようで実は早い。

 単に体内時間の問題だろうと速答で出てくるのがオチかもしれない。要は物事に集中しているのかそうでないかの違いとも言える。

 しかし世界のどこにいる人間であろうと、生物であろうと、無機物であろうと時間は均等に流れている。

 生まれては、短い生の間に事を為し、消えていく。そしてまた新たな命が生まれる。

 地球とは生の輪廻と時間のサイクルの場でもあるのだ。

 だからこそあらゆる生物は短い時間の間に何かを為そうと、何かを残そうと、何かを刻もうとする。

 人間にとってはそれこそが最も生きる為の本質なのであり、本質を遂げる為にあらゆる手段を用いて生きようとするのだ。

 短い人生の間で何をするか。それを見失ってはならない。これこそがこの諺の真意である。

 


 ――時が過ぎるのはやはり早い。




「今夜が約束の日だ。仲介役としての私の役目はこれからは審判となって、神田悠華君と魔女討伐部隊の対決を取り仕切ることだ」

 

 細江中学校の校庭、悠華と奏美が一昨日訪れた食堂の外に位置している中央庭園の隅で、悠華とセレネが永善と合流して対戦のチュートリアルを受けていた。

 夜の校舎というのは実に昼とはかなり違った光景となっており、ミステリアスな雰囲気を醸し出している。

 それと神父と魔女がいるのだから更にシュールな有様だった。

 学校の警備など既にオフィスセキュリティ会社に任せて久しくなるが、誰かに見つかってしまうのではないかと薄ら慌てていた。


「一悶着あったが場所はここのグラウンドを選ぶことにした。何せ君が戦うのは戦闘のプロでもあるし、異物を相手に戦う専門家でもあるしな」

「少しでも此方に有利な状況を作り出す為の策略ね。それでよく相手側が了承したわね、不利なるかもしれないのに」

「魔女討伐部隊にとって戦うフィールドを選定されることは不利にはならんよ。むしろこの学校のグラウンドというフィールドを君がよく知っているかが君の勝利に近づくかもしれん。後は君が魔女の眷属としての力をどれだけ引き出すかだ」

 

 地の利があると言えども成り立ての魔法少女と、戦闘のプロである魔女討伐部隊ではどうにも実力の差がありすぎるのだからか、ある程度は公平でないといけないのだろう。

 しかし、どちらが有利なのか。

 戦闘のプロ三人がかりでようやく対等に渡り合える魔女、それなのに白の魔女セレネの眷属である魔法少女を全滅までに追い込み、そして瀕死にさせた魔女討伐部隊。

 どちらも相当な手練れのはずなのに互いが互いを牽制し合っているのは何故なのか。 

だがここで憶測に基づいた予想をしたところで意味はない。今は魔法少女として戦うことに集中しかない。


「フィールドであるグラウンドには周囲の人間に気づかれないように結界を張っておいた。これでどんなに暴れて戦おうが、外部には伝わらないし、中へ入らない限りには安泰だ。中に入らなければ、な」

「都合のいい設定ね」 

 

 なんという便利の利く結界だ。

 魔法や魔術を使える者は日常生活に便利な手段として応用しているのではないのだろうか。それをセレネに聞いてみようかとしたが、永善に向ける視線が痛ましいので断念することにした。

 すぐに助けてくれなかったことをまだ恨んでるのか。

 他人事になってしまうのだが、眷属であった魔法少女を無残にも魔女討伐部隊の三人によって失われ、命を絶たれる寸前まで残酷な目に遭ったのだから仕方のないことだ。

 五人の魔法少女はみな、悠華と変わらない健気な年頃の女の子だったのだから。

 思春期の女の子が突然にも非現実へと介入してしまい、逡巡しゅんじゅんだって何度も経験し、それでもなお人ではなくなることを受け入れて、人外と戦って。 

 勿論セレネとの信頼関係もあっただろうし、セレネにだって彼女らと共にいた期間は決して短くなく、心を寄せていたに違いない。

 それを打ち砕き脆くも引き裂いたのが三人の襲撃者だ。

 

「ルールとしては相手が戦意をなくして敗北を認めるか、または戦える手段がなくなるかだ。但し命を奪うような行為はあくまでタブーだ」

「別に私がアイツらを殺す訳ないわよ。あちらの方なら私を焼いて斬って串刺しにでもするかもしれないけど」

「それは……どうかな」

「どういう意味よ」

「別に何でもないさ。それよりも君の主である魔女からさっさと眷属としての力を得た方がいいのではないか? 約束の時間までわずかだ」

 時間は十一時五十五分、今日から明日へ移り変わろうとするのにあと5分である。今日が終わったとしても明日はいつも通りの時刻に授業が始まるので、今から起こる対戦には終わってほしいことを願うばかりだ。

 ……悠華次第ではあるものの、そもそも明日を迎えられるのかが慎重なところだ。


「では私の可愛い悠華、今からもう一度、魔法少女としての力を貴女に譲渡するわ」


 永善の時とは打って変わって、子を溺愛する親のように可愛がるセレネ。

 すると、その白く穢れのない手がオーケストラの指揮者のように振るわれる。


「今度は魔法少女の力を半永久的に譲渡するからいつでも戦える」

「あまり、あの服装には慣れていないんだけれど……それでもやるしかないわね!」


 オーケストラの指揮者の如く振るわれた手がいきなり止まるや、光の粒子が悠華へと纏って包み込む。

 その後に六芒星と十字架を合わせた紋様の魔法陣が地面から湧出する。


「これが魔女による眷属への力の譲渡、そして覚醒の時か……まさに奇跡」



「我が眷属に与えるは浄化の理、万物を照らす輝きとなる導きの栄光を尊く受け、衣の如く着たまえり」



 魔法陣が刹那として悠華の全てを包んだ。


「っ……!」


 視界が白い光に覆われて何も見えなくなり、彼女は目を閉じて終わりの時が来るまでじっと待ち続けた。

 闇に覆われた瞬間、彼女は暗黒宇宙に放り出されたような無重力に襲われた。

 ――暗闇の視界の向こうに見えるのは、上品な髭を蓄えた男性と悠華に似た顔つきの女性。

 どちらとも暖かい眼差しで、寄り添いながらこちらを何も言わずに微笑んでいる。

 お父さん、お母さん。

 そう読んだ時、悠華のほおを涙が伝い、苦痛の表情へと歪める。

 ――私はお父さんの子で生まれたかった。でも私はお父さんの子なんじゃない……! 

 ――お母さん、その笑顔を向けないで! 貴女は私を貶めた。この胸に傷ついた心は消えない! お父さんを裏切った母なんてこの世から消えてしまえばいい!

 あの日から彼女を蝕み続ける呪いが吐瀉としゃ物に似た流動体となって絶え間なく吐かれる。

 ――私はお母さんのような下劣な存在じゃない! 下等な人間でも低俗な人間でもない! 貴方と同等の人間にはなりたくない! 

 だからこそ上を目指す。上を目指すために完璧であろうとする。高位の存在へとなる為に、唯一絶対の正しき者へとなる為に、至高の座に立つ為に!

 瞬間、視界が暗転して次に見えたのは、穏やかな風が吹くユリの花畑だった。

 ――ここは……?

 風が吹く度にユリの花が揺られ、悠華以外誰にも知れないままにたおやかにその華やかさを全うしている。その様子は見る者をいつまでも留めようとして、その地から離さないように魅了している。今までに何度も植物園やフラワーランドや細江中学校の中央庭園でユリを見たことがあるが、ここだけはそれらとは違って孤独というか寂寥感が募ってくる。

 ――そういえば私が生まれた日にお父さんがユリの花を見て名づけたんだっけ。

 ――この子の名前は……悠華だ。いつまでも永遠に私達の花として美しく可愛くあってほしい意味で悠華にしよう。

 今は家庭が崩壊してしまい、一度も顔を合わせることのなくなったお父さんが名づけてくれた、穢れのなき清くて尊い名前。

 私の名前は悠華。唯一の、私だけの名だ。


「霊名の如く我は眷属に名を与える――その名はリリウム・セラフィー!」

 

 そう叫ぶや悠華を包み込んでいた魔法陣がガラスのように粉々に砕かれて消えていった。光の粒子もあらゆる方向に拡散して消滅していく。

 そこにいるのは魔法少女としての力を得た悠華だ。

 変化があったのは、その見た目だ。先ほどまでの学生服とは異なる服装に身を窶している。

 ストレートロングだった髪はポニーテイル調に整えられており、その身体に纏いし服はセレネの純白のドレスを模したミニスカートのドレススーツである。革靴ではなく踵の高いニーハイブーツ、手首にはユリの花をイメージしたリストデコレ、腰には大き目の結わえられたリボン。

 白の魔女セレネに影響されてか、全ての装飾がほとんど白に統一されていた。


「リリウム・セラフィー……」

 

 嗜めるようにその名を呟く。


「それこそが貴女の魔法少女としての名よ」

「なかなかいいのではないか。まさか魔女から熾天使の名を与えられるとはな……酔狂じゃないか。それにしても――」

 

 永善が悠華をまじまじと見つめてくる。

 本人としては神父だから如何にも考察をしているのだろうが、これが別人であればセクハラに値する。


「な、何よ。この衣装に変なものでもあるわけ?」

 

 しばらくしたのちに顎に手を当てて顔を背けた。

「……その衣装、フフフ、フフ。フハハハハハハハハ。その衣装で戦うというのがとんでもなく可笑しく思えてな」

「な!? 仕方ないじゃない! 魔法少女として戦うには夢のある衣装で戦うのが常識だってセレネが言ってきたんだから!」

「悠華、その衣装とても似合うわよ」

「そのスカートと言い、ブーツといい、その姿で戦うことができるのか? フフフ、私にはとても戦えるとは思えんがな……フハハハハ」

「笑うなーーーーー!」

 

 深夜の校舎に響いてしまったがそれを聞く者は永善とセレネを除いて誰もいるはずはない。いるとすればそれはグラウンドにいる襲撃者の一人かもしれない。

 予想外に時間を食わせてしまったが、約束の時間よりも少し遅れたところで相手は一つも気にしないだろう。彼らは一般人とは異なった環境、異なった組織で活動している者達だ。時間は裕にあるはずである。

 ――どちらかが勝手も同じだ。



 戦士アテナ。

 180メートルもある長身の女戦士。

 褐色に焼けているその肌は太陽の光を沢山浴びてきたことの証。

 背中に担ぐのは巨大な鉞。

 所々で露出されている腕や太ももや下腹からは鍛え上げられた筋肉が剥き出しになっている。

 深緑しんりょくの森のような色合いのショートカットと、動物の骨を研磨して作ったと思われるアクセサリーが印象深い。

 この女戦士が白の魔女セレネの眷属である5人の魔法少女を全滅させ、セレネを瀕死に追い込んだ襲撃者の一人。

 多分、戦闘のプロであるが故に色々と紆余曲折があって最初に戦うのが彼女になったのだろう。それを知るのは彼らと仲介した永善なのだが、誰が最初に相手になったとしても結局は戦うことに変わりない。

 むしろ予想していた範疇だ。アテナもアーヴェインも血の気が多いだけになりふり構わず戦うような連中だからきっと策はないはずだ。

 最初が騎士であったら厄介かもしれなかったが、アテナならばまだ善戦できる方だ。

 しかし。

『姿の出で立ちはその者の能力や内面を映すけれど、見た目ばかりに捕らわれるのは危険よ』

 と言っていたセレネの忠告がどうにも脳裏から離れない。そればかりを気にしては何も始まらないので、アテナが待っているグラウンドの中央へと急ぐ。


「ふ! は! やぁぁぁぁぁぁぁぁ! てえええぇぇぇぇぇぃ!」 

 

 彼女は何ともはりきっているのか腕立て伏せを繰り返し、時にはその鉞を振り切っていた。

「■■■■■■■~♪ ■■■■■■■■~♪」

 

 時には何処の国かもわからぬ言葉で聞いたこともない歌をアカペラだけで歌っている。

 きっと彼女の故郷の歌なのかもしれない。

 既に非日常へと突入しているはずなのに、彼女はさも当然そうに鉞を振るう。


「早く、行くしかないか……短時間で決めるしかない!」


 改めて――非日常の対戦へと突入する。


「や、やぁ……こんばんは」


 間の抜けた挨拶になってしまった。

 しかし、こちらが約束していた時間よりも少し遅れてしまったのだし、相手は先にいたのだからどうしてもこうなってしまうのが仕方ないか。

 悠華の言葉に反応し、女戦士――アテナは


「んん? おお、やっと来たじゃないか。待ってたよ!」


 と以前会った時よりも確かに明るい語調でそう言った。


(えぇ……この人、こんな明るい奴だったかな)

 

 襲撃の際、彼女は如何にも獲物を狙う目つきでこちらを攻撃していたのにも、今のアテナには微塵もそのような目つきはない。ただの人と相違ない。


「あの、会ったときと雰囲気違いません?」

「ああ、そりゃぁ仕方ないさ。あの時の私は本気モードに入ってたからねぇ。それと白の魔女の眷属であるマホーショージョのチームプレーに翻弄されていたから、ブチのめすのに集中してピリピリしてたのさ。それに……」

「それに?」

「あのアーヴェインと騎士様にはうんざりしていたんだよ。いつもは一人か同族の戦士達と共に標的を狙っていたからね、利害の一致とか職業仲間だとか言って勝手に手を組まれるのは嫌だったんだよ。アーヴェインは汚くて非道な手を使うし、騎士様には矛盾だらけの理想とプライドを魅せられてそりゃもう面倒だったさ」


 この女戦士、異郷の人間にしてはやたら流暢に日本語を喋って愚痴を漏らしている。

 どこで日本語の会話力を習得したのだ。


「だからあのエイゼンとかいう男の提案にはこちらの方から賛同してもらったよ。胡散臭い奴と一緒に戦うよりも一人だけで戦う方がマシだからね」

「それほどまでに戦うのが好きって事なのね。今更驚かないけど」

「アンタとは確かにそうだけどね、アタシはお前を倒しにきたわけじゃないからね。白の魔女セレネをブチのめして、あるじに献上するまでの事さ。お前さんはそうだな、仲間にしたいと思ってる」

「……何て?」

 

 順序を踏まずに直接的に戦士はそう言った。

 仲間にしたいとはどういう事なのだろうか。


「意味が全然わからないわよ。大体、あなたは問答無用で襲ってきたじゃない、今度は何を!」

「アーヴェインと騎士様の前で言えなかっただけだよ。そうさねぇ、アンタは魔女の眷属だ。知っての通り、魔女はその存在だけでもかなりの力を持つ人外の人間だ。でもねぇ人外の者ってのはどこに行っても迫害されている事が多いから、住む場所がないのさ。ならばアタシの住む故郷に来ないかい? アタシの故郷はこんな筋肉の鍛えられた女ばっかりじゃなくて迫害された者も住んでいるのさ。みんなが協力し合って故郷を作り上げて守る……それがアタシらのルール」


 一度、間を置いてからアテナは聞く。


「お前さん、アタシらの仲間にならないかい?」

「………………………私が貴女の仲間になればセレネは二度と襲わないとでも誓うの?」

「それは違うさ。セレネはちゃんとブッ潰して依頼主に献上する、その後にお前さんを仲間するだけだよ」

「じゃあ交渉決裂ね」


 話にならない。

 そもそもお互い敵である以上、勧誘したところで無駄なのだ。

 相手を見て物を言ってほしい。


「私が魔法少女になったからって別に住む場所を追われているわけじゃないわ。私は一人の人間だし、勉強も運動も最初からできるわけじゃない。ただ努力を怠らないだけ。それに……」


 奏美や学校のクラスメイトの笑顔を思い出して答える


「私にはいるべき場所と大切な友達がいるから」


 公言した後、しばらくの沈黙が生まれた。


「そうかい、そうかい。実に惜しいねぇ……まだマホーショージョに成り立てだからいけるかと思ったけど、あくまでもそうと言うか。ま、戦うんならそっちの方が楽だけどね!」


 叫ぶや突然として鉞を担ぐ。その目は襲撃時と同様の獲物を見るような鋭い目だ。


「魔女をブチのめす前にまずはアンタをブチのめしてやるよ!」

 体躯が相当大きいにも関わらず、人とは思えない速さでこちらへと駆けてくる女戦士。地面を踏み鳴らしているというか、地面を踏み砕いてる感じで走っている!


 巨大な質量の鉞の一撃が振るわれた。


「うわっ!」


 反射神経というか魔法少女になったのか、アテナの振りがスローモーションのように見えて、後ろへとジャンプした。

 その後に響いたのは大地の吠える音だった。

 先程までに踏んでいた地面がクレーター状に陥没しており、鉞の刃が振りされている部分が粉々に砕けていのだ。


「なんて破壊力なの……!」

「フン、外したか! 一撃でブッ潰せるとは思ってないけど、せめてアタシを楽しませてくれよ? こっちが攻めてるだけじゃつまらないからね」


 その通りだ。永善が用意してくれたチャンスなのだ。こちらが攻撃しないでどうするのだと言うのだ。

 しかし、厄介なのはやはりアテナが担いでいる鉞だ。あの鉞がある以上、迂闊に近づくことができない。


「魔法少女なんだから、せめて魔法の一つでも教えてもらえれば良かったわ!」


 身体能力だけで戦うのは――できるかもしれない。

 先ほどから思っていたのだが、魔法少女に変身してからどうも体が軽く感じられる。

 身体能力が高くなっているのか?

 確かに鉞の振りがスローモーションに見えたし、ジャンプした時に自分は三メートル以上も飛躍していたはずだ。

 テレビで見た魔法少女と同等に、いやそれ以上に強いような気がする。


「来いよ、セレネの眷属!」

「ならば……こっちだって!」


 アテナが走ってきたように悠華も走り出して突撃する。やはり身体能力が向上しているのか、驚くほどの速さでグラウンドを走る。


「こんなに早く走った事ないのに……!」

 

 いつもは五十メートル走を七秒台で走っていたのだが、この状態ならば六秒台、いや五秒台、いやそれ以上の速さだ。

 オリンピックも夢じゃないかも。と、思ってしまった。


「魔法が使えないのならマホーショージョでも何でもないさ!」


 距離を詰めてきた悠華を見据えて鉞を視界全面に振るうアテナ。

 それがどうだと言うのだ。


「こんな攻撃が当たるわけないわ!」


 どれ程、鉞が大きかったところで意味はない。

 なぜならば、武器や兵器はより大きい物体へと攻撃するのが当然だ。

 鉞よりも体の小さい悠華にその攻撃は当たらない。

 振っていた鉞が当たらない範囲――つまりはアテナの下半身に潜り込むようにしてしゃがんで、そこから起き上がる。


「っ!」


 これは予想外と言わんばかりに目を疑うアテナ。

 悠華=リリウム・セラフィーは拳を握りしめて突きだす。


「喰らえ、通称リリウム・ゴッドハンドパアアアアァァァァァァァァァンチィィィ!」

 

 すぐに考えたばかりの技名を叫んでアテナの鳩尾みぞおちへと拳を叩き込む、。

 瞬間、ドオォォォン! と空気の層が悲鳴を上げて摩擦するのが聞こえた。 

結構長くなりましたがまだまだ続きます。

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