表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/48

Seraph von falschgeld 

 三人目の相手にして凶悪な傭兵――世界各地で戦争を幇助ほうじょすることを生業とし、ビジネスとして経済活動を行う民間軍事会社「リーガル・モントルー社」の傭兵――であるギルバル・イブン・アーヴェインとの対戦は終焉を告げた。

 奏美を人質に取られ、魔法とは対照的に縁の遠い現実的な銃火器を使用した傭兵を相手に、嗜虐性を帯びた理不尽に圧倒されながらも打ち勝つことができた。

 ――途中で謎の攻撃が状況と攻勢を反転してチャンスとなったのだが。

 とはいえアーヴェインを含めて十三人もの傭兵を次々と倒し、危うく合成麻薬を注入されそうになった奏美を救出し、チェーンソー型に変化したバスタードソードをし折り、「熾天使セラフィンエイル」を展開させてアーヴェインを関門せきと海峡へと落としたのだ。

 結果としてリーガル・モントルー社の傭兵たちを駆逐することに成功し、奏美を助けることができたのだ。

 しかもアンジェ戦の後で引き裂かれていた奏美との絆も、彼女を守ることで以前の仲の良い親友としての関係に修復することもできた。

 魔法少女という存在を人外なるものから英雄なる存在と見做すことで。

 もし彼女が更に悠華を嫌うようなことがあれば、アンジェ戦以上の暴走を起こして取り戻しのつかない事態に陥ってるかもしれない。そうなっていたら予想もしない最悪な結果が待っていただろう。

 大質量のチェーンソーを身体に貫かれても尚抗い続けて、人質の親友を救おうとした悠華の果敢な勇姿に心を打ったのかもしれない。

 ――奏美は屈強な傭兵たちの腕の中で意識が途絶えていたために、悠華の勇姿を目視していたのかは謎ではあるが。

 一年前の入学式の後に親友となり、他人に対する信頼を失いかけていた悠華と意思をぶつけ合って結んだ絆はそうそう簡単に切れることはないということか。

 しかし前述した通りに奏美は傭兵たちによって絞首されかけていたためにダメージは大きく、悠華自身の疲労もあって学生寮に戻ることにした。

 その日の夜はアンジェ戦と同様に相方を背負って学生寮に戻った悠華だが、背中で安心しきった笑みを浮かべて眠る奏美が自分の手を握っているのに気づき、瞼と胸がじんわりと熱くなるのを感じた。

 思えばこの時こそが魔法少女リリウム・セラフィーとして、守りながら戦うことの大切さを実感できた体験なのかしれない。


 昨日の夜、とは言っても翌日の午前(何かデジャブ)から悠華と奏美は休養を取っていた。

 その日は二人とも同じベッド(悠華のベッド)の上で手を繋ぎ合いながら寝ていたので、強い信頼関係を何気に誇示していたのだが寮生が知るはずはない。存在するとすれば間違いなく同居人(合法)のセレネしかいないが、彼女は何故か部屋にいなかった。

 結局のところ、悠華は全てを奏美に告げることにした。

 親友だからお互い秘密はナシだとか、というワケではない。セレネと隠していた事実がこれ以上隠せないから、ということでもない。

 奏美が悠華の抱えていた重みを共有したいからと答えたからだ。

 きっと彼女は悠華に対して「信じれない」と言ったことの罪悪感に苛まれていたのだろう。事情を知らないとはいえ、一方的で勝手な讒謗ざんぼうを吐いてしまったことに悩んでいたのだ。

 だからこそ奏美は悠華が負ってきた重みを共有したいと願った。

 そんな彼女の切実な願いに応じて悠華は今までの出来事を打ち明けることにした。

 

 既に瀕死だった、白の魔女セレネを路肩で発見したこと。

 一時的な正義感に駆られて彼女を助けるために契約したこと。

 迫害を恐れ、強大な魔力が込められたジュエルハートを狙うともがらから逃げ出してきたこと。

 セレネの命を狙う三人の襲撃者に殺されかかりそうになり、そこを偶然通りかかった神父に助けられたこと。

 以前に魔女の眷属である五人の魔法少女が虐殺されていること。

 魔法少女リリウム・セラフィーとして戦うことになったこと。

 そして褐色の女戦士アテナ、バチカン市国の騎士団の師団長アンジェリーク、リーガル・モントルー社の傭兵アーヴェインとの戦いを。

 

 他にも様々な出来事を綿密に述べたのだが、奏美はそれらを全て「途方もない話だね」と発言してしまった。

 ……確かに途方もないが、そうやって丸めてしまうとこれまでの苦労は何だったのかと泣き出したくなる。

 でも奏美は直後に「でも悠華の重荷を共有できてよかった」と笑顔で呟いてくれたので、一応は頑張った甲斐はあるのかもしれない。

 非現実に突入した悠華と奏美がいつもと変わらぬ日常の中で笑い合えてるのだから。



「はいはいはーい、今から髪の毛を洗いますので魔法少女さんは大人しくしてくださいねー! シャワーの湯はちゃんと調整したけど熱かったら言ってね」

「奏美……別に髪なんて一人で洗えるから子供扱いしないでよ。それにここまで奉仕しなくても……ひゃああっ!?」

「あららら? 水が出たみたい。ごめんごめん、もう少ししたらお湯が出るから」

「うううううーーーーーー! 奏美が確認しなかったせいで水を思いっきり被ったじゃない。バスタオル以外何も羽織ってないんだから気をつけてよ」

「今度はちゃんとお湯が出るって。それじゃ、これから悠華の髪を洗うね」

「ん……ご丁寧にお願い」

 すると奏美が握っていたシャワーの噴出孔から出ていた水がお湯へと変化した。

 

 何をしているのかと問われれば言わなければならないのだが、彼女らは学生寮のシャワールームでこれからシャワーを浴びようとしていたのだ。

 魔法少女リリウム・セラフィーとして連戦連勝した悠華を、救出された本人の奏美がその苦労と働きを讃えるという形で奉仕をしているのだ。

 奉仕という言葉だと意味合いが異なってくるが、「お礼をしたいから私に何でも頼んで。むしろやらせて」と奏美が鼻と鼻がくっつきそうな勢いで迫ってきたので反対する余裕なく了承したわけである。

 しかし、「何でも頼んでいいよ」と言われたのはともかくとして、奏美に何を頼むのかどうも悩んでしまう。

 その間にも「早く! 早く!」とせがむので「じゃあ、私と一緒に特撮映画でもじっくり見よ」と頼んだら、本当に受け入れてしまった。

 今回視聴した特撮映画は東宝の「ゴジラ対ヘドラ」と大映の「ガメラ対ジャイガー」だったが、この二作品はどちらともショッキングなシーンがあるので、奏美は目を瞑って背けるかもと思っていた。だがこの娘は至極真面目に視聴し、ショッキングなシーンが放映されても一度も背けることなくガンガン見ていた。

 特撮のグロテスク表現なら大丈夫という耐性を持つ悠華でも、怖くて泣きたくても必死に耐えて見る奏美の状況を哀れに感じ、途中で見るのをやめた。

 シンプルなのを頼もう、と肝に銘じた悠華は一旦部屋に出てから考察することに決めた。

 七時からは学生寮の専用カフェテリアで朝食時間帯となるので、二人共々行って和食メニューを頼むことにした。

 そこで二度目の頼みを施工し、「奏美の好きなものを一つ寄越して」と頼んだ。だが、奏美は元々頻繁にダイエットする気質なので何ら効果はなく、好物の鮭を惜しむことなく寧ろ喜ぶように悠華に寄越したのである。

 これでは意味がない。何かしら効果的なお礼を奏美にさせることはできないか。

 そうでなくては奏美は満足しないだろうし、いつまでもその気に浸させていると体がムズムズして痒くなるような気分になる。

 そんな時に彼女は身体に乾いた汗が纏わりついているのを感じた。

 そこで悠華は「シャワーでも浴びようかな……」と思わず呟いたところ、奏美が「私が洗ってあげるわ!」と押し寄せてきたので、彼女の望むままにしたというわけだ。

 学生寮のシャワールームは三十人くらい一斉に使用でき、その上で一つの個室のスペースが三人くらい入れるスペースとなっている。

 だから悠華と奏美が一つのシャワールームに入っても当然スペースはある。

 とはいってもシャワールームなので腰掛けはないので立った状態で洗うことになるわけになっているが。

 そこから今に至る。


「どこか痒いところはない? あったら遠慮なく言って」

「ないけど……奏美って美容師の資格でも持ってるの? 何だか髪の洗い方がヘアエステみたいですごく気持ち良いんだけど」

 

 その通りだ。奏美の髪の洗い方は根元から毛元まで手に絡みつかせて、ゆっくりと優しく綿密に洗っていくというものだった。


「これくらいは当然だよ。女の子の髪を洗うんだから丁寧に扱わないと痛むでしょ? それに悠華の髪って結構繊細だから懇切丁寧に洗わないとね。そうじゃないと手入れも大変だろうし、ドライヤーがけも相当時間かかるしね」

「そうだったかな……?」

「そうだよ。最近は悠華の髪が傷んでいるから心配だったんだよ。手入れには念入りにしていた悠華が疎かしているなんて有りえないし。だからちょうど悠華の髪を洗いたかったんだよね」

「へぇ……」


 奏美の悠華に対する優しさを読み取り、感慨深いものを感じる悠華。

 藍色の肌触りの良い髪を再び指に絡めて洗髪剤を奥深くまで染み渡らせ、そしてシャワーで隅々までお湯で流す。

 そんな動作の間、悠華は期間の少なかった童心に返っていた。

 ――裕福な家庭の神田家にいた頃はメイドと呼ばれる侍従に髪を洗ってもらいドライヤー掛けまでしてくれたのを覚えている。それは小学六年生まで続き、侍従たちの手捌きは全く無駄のないものだったが、比べてみれば間違いなく奏美を選ぶ。

 侍従たちと奏美とでは、実力は侍従が上でも思慮の面で奏美の方が更に上だ。

 所謂いわゆるこれが「思いやり」の力である。

 それを言わしめるほど奏美の手解きは悠華にとって気持ちの良いものだった。


「はい、髪の手入れはこれで終わり。今からボディソープで背中を洗うけどいい?」

「ふみゃ~、いいよ~」

「ふふっ、悠華ったら」


 あまりの気持ちよさに悠華は立ったままウトウトと睡魔に襲われそうになったが、蒸気で湿っていた顔を振るわせることで振り払う。

 羽織っていたバスタオルを背中だけ奏美に取り払わせ、彼女のお気に入りのボディソープが泡を発生してペタペタと背中に塗られていった。

 髪の手入れがヘアエステの美容師クラスならば、体の手入れはマッサージの指圧師クラスだ。

 ボディソープを塗っている間にも奏美が各部のツボを押してくるのだ。


「結構、丁寧やるじゃない……そこまでやらなくても私はいいのに」

「私を守ってくれた魔法少女さんは連戦で疲れているんだから徹底的にやらないと。それにこれくらいはやらせてくれないと気が済まないわ」

「え……う、うん。ありがとう」


 ボディソープなのかシャンプーの残りなのか判別できぬ白い泡が二人の身体を包んでおり、顔にもいくつか付いていた。

 

「そう言えばさ、気になることがあったんだけどね……聞いてもいいかな?」

「もう、いきなりどうしたの? 急にトーン落として」

「悠華から大体のことを聞いてほとんどは飲み込めたけど……悠華はいつまで魔法少女として戦い続けるの? 今のところは魔女さんを襲う人もいないけど、もし再び現れたら悠華はまた戦うの? それが連鎖したら――終わりはあるのかな……」

「それは……」


 奏美の言いたいことはごもっともである。

 悠華がセレネの眷属として契約し、魔法少女となった経緯いきさつはやはり一時的な正義感によるものだ。

 彼女が「死にたくない」「生きたい」と願ったから。それなのに「死ぬのが当然か」と諦めたから。「愚劣な存在」という言葉に苛立ちを覚えたから――魔法少女となった。

 その後に魔女を討伐しようとした三人の襲撃者と対面し、その伝手つてで一介の神父と自称する永善と出会い、セレネの代わりに戦った。

 白の魔女のセレネは表向きは迫害を恐れ、ジュエルハートを奪われないように亡命してきたと言っているが真意は定かではない。

 彼女を襲う勢力は永善が用意した対戦フィールドで全て退けることに成功したが、それが終わりだとはとても思えない。

 もしかしたら第二の刺客が来るかもしれない。戦士アテナはともかくとして、バチカンの騎士団は別の騎士を差し向け、リーガル・モントルー社は約束を破って報復に来ることだってあり得るのだ。

 奏美の言葉の意味するところの「戦いの連鎖」はどこまで続くのか。その果てに終わりはあるのか。

 いつかは魔法少女としての役目を終える。

 戦いの果てにその命を落とすか、或いは魔女からの契約を断ちきって一般人に戻るかの二つしかない。


「大丈夫。もしそんなサイクルに陥ったとしても私は抜け出してみる。だから今はセレネの魔法少女として戦うわ。どんな敵が来ても――この手の中にある魔法で打ち払うから」

「でも! それだと悠華が――」

「わかってる、いつまでも戦うわけじゃない。必ず生き残って眷属から普通の人に戻るから。そうじゃないと奏美と一緒にいられないし、それに今みたいに二人でシャワー浴びたいし、奏美の手製のスイーツをこれからも食べたいな」

「……うん、そうだね! あ――手が止まっててごめん。続けるね」 

 

 洗髪に続いてマッサージ(みたいな)療法でツボというツボを押されて気持ちよくなっているところ、悠華はとある異物を背中で感じた。


「ん……!?」


 それは奏美がマッサージ(みたいな)療法を終わらせてボディソープをシャワーで流している最中であった。バスタオル越しとはいえ、二つの柔らかい玉がムニュッと背中に触れたのだ。


「ねぇ……奏美って胸大きくなってない?」

「胸? ああ、そういえば最近キツいなと思って測ってみたらサイズがCにランクアップしてたのよ。中二でこの成長は嬉しいなー! ダイエットしてたから小さくなるんじゃないかと心配してたけどとっても嬉しいな」

「へ、へぇ……Cかぁ……私なんてまだAなのに……」


 背中を洗い終えた直後に、首から下の隆起の違いを見比べる。

 悠華は―――ツルーン、ペターン。

 奏美は―――ウフーン、アハーン。

 無理矢理谷間を寄せたところで実力の差は目に見えていた。

 思春期はとはいえ相応または以上の成長見せている奏美に、悠華は実体のない敗北感を味わうこととなった。

 だが上には上がいる。もしセレネがシャワールームに入ってきたとしたら、とんでもないボリュームの双丘が眼前に迫ってくるであろう。どこか母性を含んだ一面もあるので厚いハグをされると絶対に窒息死と精神的な敗北死は免れない。

 そんな時、悠華の理性がプツリと切れた。

 

「中学生でこれの大きさだから高校生の頃にはスゴい大きさになってるかも!」

「くっ……ソウネ、私とは違って成長の見込みはありそうだから、その成長エネルギーを分けてもらおうかな……ウッヒッヒ……!」

「ちょ、ちょっと、どうしたのよ! 悠華……?」


 ボディソープを両手に絡みつかせて泡を引き立たせる悠華。その手の動きがクネクネとうねっていていやらしいこの上ない。しかも悠華の表情は口元が引きつっていて犯罪者の目をしている。

 これから起こる事態を察してか、奏美はじわりと後退りをする。その度に悠華が一歩ずつ踏み出してきた。


「ま、待って。わ、私に何をするつもりなの? 今ここで止めればとがめないわよ。だ、だからすぐに止めなさい」

「フフ、フフフフフフフ! さぁ貴女の罪状を数えなさい。貴女はこれまでに私を何度も怒らせたわ。その罪、その体で払ってもらうわよ!」

「や、やめて……落ち着いてよ、元々はと言えば悠華が言い出すのが原因じゃない! 私は何にも――」

「へぇ、そうやってとぼけるのね。でもその自慢のCカップの胸を私の前で誇示したのはまさしく奏美よ! その胸、直ちに捥ぎ取るわ!」


 自身の裸身に纏わりついていたバスタオルが脱げ落ちても気にせず、悠華はまるでどこかの怪盗三世のように跳躍し、奏美のバスタオルを剥ぎ取ってその裸身へと触れて押し倒す。


「やぁ、ちょ、やめ! 掴まないで! きゃ、きゃああああああああああああああああああああああああ!!」

「あは! あははははははははははははは! 離してと言われて離す馬鹿はいないわ! 大人しく捥ぎ取られなさい! 私と同様に板になるか、左右非対称になるかのどちらかに選びなさい!」

「板!? 左右非対称!? 何気に恐ろしいことを言ってるよ! ううぅ、いやぁ……悠華ったら揉み方がいやらしい……」

「揉まれて気持ちよくなってる奏美に言われたくないわああああああ!!」


 シャワールームに絶叫と笑い声が響くものの、彼女ら以外にシャワールームを利用する者などこの場には誰もおらず、ただ木霊となって消えていった。

 脚が絡み合い、柔らかそうなお腹が触れ合い、板と山がぶつかり合い、二人は組んずほぐれつの格闘を続ける。

 目が焦点を失っている悠華の取っ組み合いに奏美は抵抗し、やがて彼女の身体を突き飛ばしてシャワールームから出ようとする。


「逃げるなあぁぁぁぁ!」

「捕まったら恐ろしいことが起きるのは確実なのに、逃げない方がおかしいよおおおおぉぉぉぉ!」


 何も羽織ってないままで(全身のほとんどが泡で塗りたくられていたが)シャワールームのカウンタードアを開けて逃げようとした瞬間、奏美の顔面が何かとぶつかった。


「うぉふっ!」

「待て、奏美ったら……あ……!」


 追撃を仕掛けようとした悠華が理性を取り戻してトーンを下げた。それはシャワールームの外で待ち構えていた存在に気付いたからである。

 その者も同様にシャワーを浴びようとしていたのか、バスタオルを羽織った姿である。

 奏美は第三者の胸元のバスタオルに顔を埋めていたのだ。

 セレネの豊満な双丘に負けない圧倒的なボリュームの賜物が奏美を低反発で押し返していた。


「この時間帯は誰もいないから汗を流そうとしてたのに……誰かが騒いでるかと思ったら貴女たちだったのね」

「あはははははは……今日もよいお日和ですね、美堂先輩」


 そう――細江中学の風紀委員の三年生の美堂千世である。

 普段は眼鏡をかけている印象が脳裏に焼き付けられているので、外した状態の千世の素顔が何とも別人に見える。レンズで強烈な威厳を与えるツリ目が今ではどうも可愛らしい。

 だがやはり本人は普段と変わらぬ雰囲気で、というか怒りのオーラを噴出させながら悠華と奏美を睨み据えていた。

 眉間に皺さえ寄せている。これはあとが怖いぞー。


「神田悠華二年生、伊崎奏美二年生……細江中学の生徒とは思えない、はしたない姿でシャワールームの個室で何をしていたのかしら……? 是非聞かせて貰いたいわね」

「ははは……ヤバいよ、悠華」

「ははははは、ソウデスネー。そういえば……美堂先輩は何カップなんですか?」

「Fカップよ」


 冗談のつもりで質問したのに真面目に答える千世の態度に悠華は非常に困惑した。

 ――この後、バスタオル一枚で風紀委員の説教が長々と続けられることとなった。

 

 ――上には上がいる。

 そのことが説教の後で得られた経験だった。


 

え……と……(;-_-;)

今回はまとめ回として書く予定だったんですが、このように百合な展開を書いてしまいました。すみません。

長くなったので話を分けることになりました。多分三つくらいに分けて書くのでしばらく時間がかかりそうです。

そのあたりをご了承できればありがたいですね。では次回に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ