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序章
夢を見る。
知らない土地。
知らない人たち。
知らない気持ち。
幸せになる為に剣を取った。大切な人を守るために命をかけた。
巨大な影に剣を振るい、勇気を奮った。
でも結局・・・
「ゆき・・・・はな」
目の前で散って行く命。
「 」
名前を叫び手を伸ばすが、僅かに届かず大切な人は闇に呑まれた。
闇の中で巨大な目が私を見つめている。
目が歪み、何処からかクックックと低い声が聞こえてきた。
笑っているのだ。大切な人さえ守れないこの私を。
笑うがいい。馬鹿にするがいい。
お前はこれで終わりなのだから。
巨大な目を目掛けて一直線に駆けだした。
これで終わりにする。これで終わりに。